ゲッツェ氏によると、ロシアと米国はドイツ領土で「ガス冷戦」を展開しており、これを通じて欧州のエネルギー市場に入り込もうとしている。同氏は、米露のこの競争ゲームで、ドイツは「地政学的なボール」になったと指摘している。
ゲッツェ氏によると、ドイツの環境団体DeutscheUmwelthilfeは、米国産LNG(液化天然ガス)のドイツへの供給は環境に大きな損害を及ぼすと伝えている。米国からの巨大なタンカーが通過するために、エルベ川の川幅を広げる必要がある。タンカーに搭載されるガスは極めて爆発性が高く、輸送先の港には大規模な化学プラントがあるほか、近いうちに放射性廃棄物貯蔵施設も建設される。また港は自然保護区に隣接している。しかしニーダーザクセン州当局は、これは「気候中立な社会に向けた」重要なステップだと主張し、米国からのLNG供給を全力で推進しているという。
ゲッツェ氏によると、学者らはLNGまたはパイプラインを通して供給される天然ガスが自然に与えるマイナスあるいはプラスの影響についてまだあまり知らない。多くは、エネルギー資源の採掘方法、輸送距離、その後の処理方法に左右されるという。最大の問題は、パイプラインや掘削現場からのメタン漏れだ。
この意味において、パイプラインで輸送されるガスには、米国で水圧破砕法と呼ばれる手段でシェールガスが採掘される際にみられるリスクはないという。水圧破砕法では、土壌や地下水を汚染する化学物質が使用される。さらに、LNGを米国から欧州に輸送するために大量のエネルギーも使用される。ガスはまず冷却して液体にされ、その後、特別な装置によって再びガスに戻される。
ゲッツェ氏は、ロシアのガスに関しては輸送および採掘中のメタン漏出量に関する正確なデータはないが、全体的により環境にやさしいと考えられていると強調している。
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