2020年の末、世界の総人口は平均1.23%増加し、78億人以上となった。しかし国別に見ると、人口が増加している国もあれば、減少している国もある。
ロシアは15年ぶりの大幅減少
2020年の人口減少について、大多数の専門家は、その原因は、社会的な要因ではなく、新型コロナウイルスの感染拡大だと指摘している。1990年代の経済危機に際しては、生活水準の急激な低下が出生率の低下を招き、ロシア人1人あたりの出生率は平均1.157人となった。人口再生産には出生率2人を維持しなければならないことから、再生産を拡大するには女性1人あたりの出生率を平均2.1人とする必要があるのだが、1990年代に生まれ、2000年代に親になった人の数は単純な人口再生産を確保するのに十分ではなかったということである。
2021年1月の時点で、ロシアは人口の国別ランキングで9位に位置しており、その割合は世界人口の1.8%となっている。
一方、ロシアにおける新型コロナウイルスによる死亡者は7万500人に達した。別の国と比較すると、たとえば米国では43万人以上、日本では5万5,000人、中国では4万6,000人が死亡した。
AI(人工知能)を使って出生率の向上を目指す日本
2020年の人口減少は日本でも避けられない問題となっている。日本は現在、人口の国別ランキングで11位、世界人口の1.61%を占めている。
2020年、日本の人口は、移民の流入を加味しても1万1,665人減少し、1億2,650万人強となった。日本政府は人口減少の主な原因は出生率の低下と見ている。日本の若年層は仕事に忙しく、またバーチャルな世界で過ごす時間が長いことから、リアルな恋愛関係を築き、結婚して子どもを産む機会は大幅に減少しつつある。また高度に発展した現代社会において、子どもを持つ必要性も弱まっているのが現状である。
専門家らは、出生率に関する状況を変えなければ、日本の人口は今世紀末には2分の1以下になるだろうと予測している。そこで、日本政府は婚姻率と出生率の向上に繋げようと、スマホのアプリや出会い系サイトでAIを使ったマッチングサービスの導入に乗り出し、その事業に20億ドルを拠出するとしている。BBCはこれについて、AIシステムが各ユーザーの個人的な性格や嗜好、社会的地位などを考慮し、「理想の」パートナーを選んでくれるものだと説明している。
米国では国勢調査で人口増加率の低下が判明
専門家によれば、米国では、移民の制限と出生率の低下により、すでに数年にわたって人口増加が緩やかになりつつあると指摘している。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大がさらにこの状況に拍車をかけた。スペイン風邪(1918〜1920年)の蔓延のときでも、米国の人口増加率は0.49%と2020年よりも高かった。
新たな人口政策に取り組む中国
現在、中国の人口は世界最大で、その割合は全体のおよそ18.4%である。しかし、中国政府は2020年にも引き続き見られた、人口の高齢化を背景にした出生率の低下傾向に懸念を示すようになっている。専門家によれば、生産年齢人口の急速な減少が、経済、社会発展の脅威となっているという。そこで中国政府は、2021年から2025年の新たな5カ年計画を取りまとめ、より多くの子どもを持つよう財政的、社会的な支援を行なっていく意向である
統計によれば、中国の人口は2020年、0.52%、つまり740万人増加し、およそ14億人となった。
しかしそんな中、世界保健機関(WHO)は、新たなウイルス(ニパウイルス、NiV)の感染拡大を警告しており、これが人口問題の積極的な解決の障壁となる可能性はある。ニパウイルスによる感染の症例はすでに南アジアで確認されている。
関連ニュース