ホワイトハウスの記者会見で記者らがバイデン大統領に対し、シリア空爆によってイラン政府にどのようなシグナルを送るつもりか、と質問した。これに対しバイデン大統領は「違法行為は容認しない」と回答した。そして、しばらく間をおいて、「用心したまえ」と付け加えた。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は空爆の合法性について次のように説明した。
国内法の観点で、大統領はこれらの行動を実行に移す際、米兵を保護するという自らの全権に従った。標的は……今後数週間の間に追加攻撃が実施されるリスクを封じ込めることを目的に選定された……国際法の観点で、米国は自衛権を行使する形で行動した。これは国連憲章50条に記載されている通りだ。攻撃は脅威に対抗する上で必要不可欠なもので、先に加えられた攻撃に見合うものである。
国防総省のジョン・キルビー報道官によると、米軍はシリア空爆について衝突防止ラインを利用してロシア側に事前通知していたとのこと。記者会見の中でキルビー報道官は「通達義務としてやるべきことは継続するが、自国の軍防衛のためにやるべきことも継続する」と発言し、強硬姿勢への理解を求めた。一方、国防総省からの事前通知についてロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、空爆実施の数分前に連絡されたと状況を説明し、そうした連絡は「まったく無意味」と指摘している。
米空軍所属のF15戦闘機2機は現地時間で25日深夜、シリア東部でシーア派武装勢力が使用する施設にミサイル攻撃を実施した。サウジアラビアのテレビ局「アル=アラビーヤ」によると、この攻撃でシーア派武装勢力「カタイブ・ヒズボラ」と「カターイブ・サイード・シュハダ」の戦闘員22人が死亡した。これら2つの武装勢力は、シリア政府軍側で国際テロ組織「ダーイシュ」(=IS、ロシアで活動禁止)のテロリストと交戦している。
国防総省によると、F15戦闘機はあわせて7発の高性能ミサイルを発射し、9つの施設を完全に破壊したほか、2つの施設に損壊を加え機能停止状態とした。国防総省はこれらの施設を破壊したことにより、イラク領における武装勢力の活動を阻止できるとしている。また、この攻撃は自衛を目的としたもので、米軍、および有志連合軍を将来的に保護するものになると説明している。
シリア空爆後、米軍は報復の可能性が高いとして、警戒態勢を数日間にわたって強化するようイラク駐留軍に命じている。