この地震は1929年に初めて記録された。これは深発地震と関連しており、地球のマントルの奥深くで発生している。
研究者らは、この地震が高い圧力によってエネルギーの爆発が起こり、それが波となって伝わっていると考えていたが、この圧力の高い地点と深発地震によって発生する横揺れの間に関連性を見いだすことができなかった。
そこで研究者らは、地表から400〜700キロメートルの深さで高い圧力がかかると、カンラン石がスピネルと呼ばれる密度の高い鉱石に相転移する点に着目した。この相転移の際にはカンラン石の体積が減少し、石の縁が伸びてパンケーキのような形に変化する。また、その際に横ゆれが発生することがある。これまでは、カンラン石は対称性を保ったまま変形しながら膨張すると仮定されていたため、横方向の地震波は発生しないと考えられていた。しかし、この対称性が崩れることが明らかになった。
研究者らは、カンラン石の相転移におけるエネルギーは、ネーターの定理に基づいていることに気がついた。カンラン石の形が変化する部分では、相転移の伝播領域が大きくなるために必要なエネルギーは最小限に抑えられる。そして、カンラン石の体積が圧力により変化する際、雪崩のような不安定性が発生する。すると、追加のエネルギーは必要とされずに体積は変化していく。研究者らは今回、この地震の伝播を促すのは体積変化に作用する圧力によるものであることを突き止め、深発地震のメカニズムを明らかにすることができた。