6月9日、立憲民主党、日本共産党、国民民主党の野党3党は、内閣不信任決議案の提出について議論することで合意した。3党は党首会談を開き、その正当性について検討する。
野党は、菅内閣の新型コロナウイルス対応が後手に回っていることを問題視している。また新たなコロナ対策の議論を継続し、新たな措置を講ずる必要があるとして、今月16日までとなっている今の通常国会の会期を3ヶ月延長するよう求めている。野党は自民党と公明党がこの提案に応じなければ、内閣不信任決議案を提出するとしているが、党首討論で衆議院解散、総選挙について問われた菅義偉総理大臣は、最優先はコロナ対策だと述べるにとどまった。
今は選挙に適した時期でないことは明らかである。国内では新型コロナワクチンの接種が大体的に進んでおり、また多くの市民が反対の声をあげているにも関わらず、五輪大会は依然として開催される可能性が高い。徹底したコロナ感染防止対策を講じつつ、伝説的な日本のホスピタリティを発揮し、スポーツ大会として高いレベルで、五輪を開催するというのは菅総理だけでなく、政府や日本オリンピック委員会の課題となっている。またこれは政府だけでなく、日本全体の名声に関わる問題なのである。
極東研究所、日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、野党の不信任決議案が提出されたとしても、可決されることはないだろうとの考えを示す。
「自民・公明の連立与党の議席が大多数を占めていることだけを考えても、決議案は否決されるでしょう。現時点で、野党は与党に比較しうるほどのブロックを形成できていません。比較的、結束力があった民主党が解党したあと、野党は弱体化し、分裂しました。また、与党内でも批判的なムードが高まり、五輪の開催やコロナ対策に関しても、与党議員から厳しい質問が出されるようになっています。問題は、解散がいつ行われるかという点で、任期満了後の10月である可能性もある一方で、9月に実施される自民党総裁選前になる可能性もあります。菅総理は自身に対する批判を避けつつ、野党の結束を阻止するため、会期の延期はしたくないと考えています。わたし個人の客観的な予測では、解散はオリンピック・パラリンピックの開催後になると思います。そして多くのことが、五輪の開催に左右されると思います。五輪開催後、コロナの感染が爆発的に拡大したり、新たな感染の波が到来した場合には、秋にも新たな総理を目にすることになるでしょう。ただ、それが誰になるのかというのはまた別の問題です」。
日本は、先進7カ国(G7)を含む他の国々に比べて、新型コロナワクチンの接種が進んでいない国の一つである。英国コーンウォールでは、2年ぶりにG7首脳会合が対面式で開かれ、日本からは菅首相が出席した。昨年のサミットは米国で予定されていたが、新型コロナの感染によるパンデミックにより中止となった。そこで今回のサミットでも、コロナ対策が主な議題として扱われた。今回の首脳会合のスローガンは「ビルド・バック・ベター・ワールド=より良い世界の再建」。日本、そしてその他の国々はこの課題を成し遂げることができるのか?その答えは、時が示してくれるだろう。
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