オリンピック2020は8月8日に閉幕したが、その結果をめぐる論争はまだ終わっていない。今回のオリンピック大会で謳われたのはすべてにおける平等であったが、その一部は達成された。また東京五輪大会を法的にバランスの取れたものとして保障するため、規則にもやや訂正が加えられた。
問題となった張本氏の発言とは?
日本ボクシング連盟は「多様性を否定するような発言」に抗議
日本ボクシング連盟の内田定信会長は、11日にオンライン形式で開いた東京五輪報告会で、番組での出演者の発言に対し抗議文を送ったことを明らかにした。
抗議文では、「ボクシングは、オリンピック競技の中でも歴史が長く、技術・戦略・戦術を駆使する競技で、殴り合いではありません」と述べられている。
また会長は、今回メダルを獲得した選手たちは、「競技の強さのみならず、謙虚な立ち居振る舞いや、他人への配慮ができる素晴らしい人」であるとし、「男性だから、女性だから、ではなく、ボクシング競技を通じて『人間力』が養われた結果」を手にしたと述べた。
言動不一致?
東京五輪では、「多様性と調和」が主要なスローガンとして掲げられ、「あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩する」と謳われた。しかし、どうやら、この言葉に込められた意味を誰もが理解しているわけではないようだ。
サンモニの張本氏、ついにやっちまった感がありますが、なぜそういうことを言ってはいけないのか、なぜその場で番組側がリカバリーできなかったのか、きちっと総括して噛み砕いて説明しないと、この番組のコアファン層は分からないかもですね。森前会長発言と併せてぜひ。https://t.co/UuJJKCNhIy
— 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) August 11, 2021
この話題に対するコメントの数は、この記事を執筆している時点で9,000件を超えており、張本氏に対する批判の声が高まっている。張本氏の不用意な発言は、ソフトボール選手の金メダルを噛んだ名古屋市の河村たかし市長の振る舞いと比較されている。
「「棒で球を引っぱたいて走るだけの競技が好きな人がいるんだ」と野球のことを嘲られたら、この爺はどんな気持ちがするのか。女子ボクシングに対する「無関心」「軽蔑」がこの人のコメントによくあらわれている。」
「ボクシングはスポーツだし、殴り合うとか喧嘩みたいな表現はどうかと思う。男性は良くて女性は変みたいな言い方と金メダルだからあっぱれって、選手に対して失礼だと思う。あまりに暴言ばかりでコメンテーターとして不愉快。」
「先日の森さんもそうですが、年齢がいった人に女性蔑視発言が出るのは、本人たちの生きてきた時代的に思考回路が出来上がっているから。大変かもしれないが、公に出す前に教育するしかないと思う。「時代が変わったので、女性を古いステレオタイプで語るコメントはやめてください。例えばこういうのはアウトです。でないともうテレビ局的に出演はお願いできません」と。事前に教育、大切です。」
この番組が放送された数日後に、テレビ局も張本氏本人も謝罪したが、状況は複雑なままとなっている。インターネットユーザーたちは、世間からの大きな批判がなければ、張本氏は自分の発言に問題があったことを認識していなかったのではないかという意見が後を絶たない。しかし、何れにせよ、こうした意見の交換が、こうした問題に人々の注意を向けさせ、すべての世代を啓蒙していくことになるのは間違いない。