ロシアの名門ワガノワバレエ・サマースクール、日本人参加者の声

© 写真 : Vaganova Ballet Academy Summer School 2021 in Saint-Peterburgサマースクール 
サマースクール  - Sputnik 日本, 1920, 14.09.2021
サイン
ロシアの芸術の都サンクトペテルブルクにあるワガノワバレエアカデミー。創立から283年の伝統を誇り、ロシアに数ある国立バレエ学校の中でも、妥協を許さず、常に教授法を刷新する質の高い教育で知られている。卒業生は、マリインスキー劇場をはじめ、ロシアや世界の有名劇場で活躍している。このアカデミーの3週間のサマースクールに、日本でのオーディションを通過した12歳から18歳までの計30人が参加した。サマースクールは正規留学の選考も兼ねており、本気でダンサーを目指す参加者にとって貴重な機会となった。
サマースクールの時間割は多彩で、毎日とても忙しい。先生たちと少しでもコミュニケーションをとるためのロシア語のレッスンから始まり、クラシックバレエのテクニックやポワント、コンテンポラリー、キャラクターダンス、ヒストリカルダンス、演技法に加え、ティアラ(頭飾り)作りといったユニークな授業も行なわれた。ほとんどの生徒達が普段はクラシックバレエのレッスンしか受けていないので、ロシア式の総合的な教育は新しい経験だ。
サマースクールには、バレエ界のレジェンド、ファルフ・ルジマートフなどビッグゲストが次々と登場。マリインスキーバレエ団のウラジーミル・シクリャロフをはじめ、一流ダンサーから直接指導を受けるという夢のような機会もあった。
サマースクールの最終日には、試験を兼ねた舞台でこれまでの練習の成果を披露した。ひとりひとりに修了証が手渡され、感極まって涙を見せる参加者もいた。
日本人参加者の指導にあたった、ワガノワバレエアカデミーで約15年間教師をしているエレーナ・ザバルカンスカヤ先生はエールを送る。
「学びたい、うまくなりたいという願い。そういう気持ちをもっていることが最も大事で、その気持ちに努力を重ねれば前進が生まれ、一日一日と、良くなっていくのです。日本人は規律正しく、言われたことをこなそうと一生懸命になります。バレエではこれはとても大事で、私はバレエ教師としてそういう日本人の特徴が気に入っています。」
© 写真 : Vaganova Ballet Academy Summer School 2021 in Saint-Peterburgサマースクール修了式
サマースクール修了式  - Sputnik 日本, 1920, 19.10.2021
サマースクール修了式
宮城県から参加した中学3年生の加藤佑奈さんは、コンクールで入賞したことがきっかけで参加資格を得た。ロシア行きが決まった時は「言葉にあらわせないくらい嬉しかった」という。クラシックバレエのレッスンでは、あらゆることについてこと細かく指導を受けた。ロシアの町並みがすっかり気に入った加藤さん。「今後はロシアに留学してロシアのバレエ団に入りたい」と新たな目標ができた。
白鳥の湖 - Sputnik 日本, 1920, 12.09.2021
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愛媛県から来た松岡花音さんは初めての留学とあって、ロシアに来る前は少しさみしい気持ちだったが、来てみるとさみしさを感じるひまもなく毎日が過ぎ、「あともう一週間いたかった」と話してくれた。毎日楽しみにしていたクラシックバレエのレッスン以外に、ヒストリカルダンスが特に面白かったそうだ。
平井かりんさんは、宮崎県でロシア留学経験のある先生のもとで学んでいるので、ロシアバレエは身近なものだった。「先生から色々聞いて、大変だと思っていましたが、思ったより寮がとてもきれいで、他の参加者とも切磋琢磨して頑張れたから、生活で困ったことはありませんでした」と振り返る。初めて受けた演技のレッスンは最初は恥ずかしかったが、とても楽しかったと話してくれた。
© 写真 : Asuka Tokuyama試験を終え、ほっと一息つく平井さん、松岡さん、加藤さん
試験を終え、ほっと一息つく平井さん、松岡さん、加藤さん  - Sputnik 日本, 1920, 19.10.2021
試験を終え、ほっと一息つく平井さん、松岡さん、加藤さん
サマースクールの企画・運営にあたった日本ワガノワバレエ協会代表理事のアンドレイ・オルロフさんは、胸をなでおろす。ロシアでひとりのコロナ感染者も出さずに、無事に帰国の途につけたからだ。参加希望者はたくさんいるが、経験上、一度に引率できるのは最高で30人まで。今年はコロナ禍での実施とあって日本からのスタッフを増やし、感染対策を万全にしてきた。
オルロフさん自身、ロシアでバレエダンサーとして活躍し、来日してからは、踊りのかたわら日本に総合的なバレエ教育を広める活動を続けてきた。
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「クラシックバレエにおいては、テクニックだけではなく、頭脳、考え方、演技、音楽、すべてが大事です。日本でバレエを教えていて、子どもたちに簡単な質問をしても、例えばチャイコフスキーが誰か知らないなど、答えられない子が多い。バレエはかわいくて綺麗、という気持ちで始める人は多いですが、それだけで終わるのではなく、もっと勉強の機会があればより良く踊れるようになるはずです。」
バレエに必要な総合的なレッスンを日本でオーガナイズするには教師が足りないため、今のところ、ロシアに行くのが最も効率がよい。しかし近い将来、日本でも同様のレッスンが受けられるようにしたいと考えている。オルロフさんは「ダンサーを目指す日本人の子どもたちがより価値のある経験を積めるように、機会を提供していきたい」と話している。
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