非感染性コロナウイルスがつくられる
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米国とスイスの研究者らが、コロナウイルスレプリコンを作成した。これはウイルスと同一だが、非感染性で研究に役立つ自己複製RNA。学術雑誌サイエンスに論文が掲載された。
専門家らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のような感染性ウイルスの影響を研究するために、バイオセーフティ実験室の厳格なプロトコルに従ってそれを行わなければならない。作業はウイルスのライフサイクルのほぼすべての側面を複製するレプリコンによって単純化することができる。それらは通常、RNAゲノムを試験管内のDNA断片にクローニングすることによって作成され、そこから合成されたRNAが得られる。しかしコロナウイルスのRNAは非常に長い。そのため、2020年にノーベル生理学・医学賞を受賞したチャールズ・ライス氏が率いるロックフェラー大学(米国)とベルン大学(スイス)の研究者らは、コロナウイルスのゲノムの断片を、試験管ではなく、パン酵母の中に小さな断片として「収集」するという別のアプローチを取った。得られたゲノムには、ウイルスが細胞に侵入して感染することを可能にするSタンパク質(スパイクタンパク質)を組み立てるための「説明書」を除いて、ウイルスを複製するために必要なすべての情報が含まれている。
得られた粒子は細胞に侵入することができるが、その感染力はウイルスの1回のライフサイクルに制限されている。
研究者らは、彼らのレプリコンが、その多くがまだ知られていないコロナウイルスの機能に関する詳細を明らかにしたり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の薬の効果を確認するための試験に役立つことに期待している。
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