対話ではなくミサイル発射:北朝鮮を対話に引き戻せるのか?

© AFP 2023 / Jung Yeon-je対話ではなくミサイル発射:北朝鮮を対話に引き戻せるのか?
対話ではなくミサイル発射:北朝鮮を対話に引き戻せるのか? - Sputnik 日本, 1920, 09.11.2021
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11月1日と2日、韓国代表は、北朝鮮との対話再開と朝鮮半島の非核化について日米高官と電話会談を行った。北朝鮮はパンデミックでほぼ完全に孤立し経済状況が悪化する中、軍事力の強化を続けている。北朝鮮が新型ミサイルの発射実験をしているとき、韓国の李仁栄統一相は国連世界食糧計画のデヴィッド・ビーズリー事務局長と会談を行い、北朝鮮への人道支援について話し合っていた。
8月、李仁栄統一相はソウルで行われたKOREA GLOBAL FORUM FOR PEACEのオープニングで、北朝鮮はCOVID-19、制裁、天災のせいで支援が極めて必要な状態にあると述べ、韓国やアメリカなどの関係各国に対し、対話のための理想的な環境が整っていなくとも、北朝鮮との対話を再開するよう呼びかけた。
弾道ミサイル(資料写真) - Sputnik 日本, 1920, 19.10.2021
北朝鮮の弾道ミサイル、飛距離は430-450キロメートル=聯合ニュース
10月末、ロシアと中国は、北朝鮮の国民の生活水準を向上させるため、対北朝鮮制裁を部分的にでも緩和するよう国連安全保障理事会に提案した。逆に、アメリカのバイデン大統領は、朝鮮半島の核拡散リスクは消えておらず、これがアメリカの国家安全保障を脅かすという考えから、対北朝鮮制裁を1年延長した。一方で、バイデン大統領は、北朝鮮が非核化問題と朝鮮半島情勢の緊張緩和の議論に応じることを条件に、金正恩氏との会談の可能性を否定しなかった。

対話ではなくミサイル発射

北朝鮮は、外交の空白を利用してミサイル実験を活発化させた。何ヶ月にもわたる静寂をやぶり、9月には超音速ミサイルの発射が明らかになり、10月には北朝鮮国営メディアが潜水艦から発射する弾道ミサイル(SLBM)の実験に成功したと報じた。
特筆すべきは、その1ヶ月前には韓国も潜水艦からのSLBM発射実験を成功させ、国産ロケットでの人工衛星打ち上げの意向を発表していたことである。それでも、南北はどちらも、より強力な新型兵器はもっぱら自衛のためのものであり、誰かに対抗するためのものではないと常に強調している。

なぜ軍事強国が北朝鮮を警戒するのか?

北朝鮮をめぐる情勢を理解するため、スプートニクはロシア経済行政アカデミー国際政治・外国地域研究学科のロマン・ファインシュミット氏に話を聞いた。
スプートニク:北朝鮮よりずっと強大な軍事力を持つ国々が北朝鮮の防衛能力の向上を警戒しているのはなぜですか?
ファインシュミット氏:北朝鮮にとってミサイル核兵器の存在は死活問題なのです。これがなければ、北朝鮮は常に韓国に飲み込まれる脅威にさらされることになります。また、金正恩は、かつてリビアで核計画の進展を放棄したカダフィーがどのような運命を辿ったのかをよく覚えています。けれど、一番大きいのは、北朝鮮が持つこれ以外の兵器はすでに旧型で老朽化しており、仮に外部からの侵攻があった場合に対抗できるようなものではないということです。核兵器の存在は、アメリカの領土まで届く大陸間弾道ミサイルが一緒とあいまって、あらゆる侵攻を排除できる状況を作り出しています。しかし、北朝鮮が他国を攻撃するために軍事力を行使するとは考えにくい。そんなことをすれば、北朝鮮自身がすぐに消滅することになるからです。近隣諸国が北朝鮮の核弾頭の増加を懸念しているのは、核兵器の意図せぬ使用の可能性や、管理不能な拡散の可能性があるからです。
スプートニク:北朝鮮が核兵器を放棄するつもりがないとすると、どうすれば北朝鮮を対話のテーブルに引き戻すことができると思いますか?
ファインシュミット氏:北朝鮮は心の中では対話の準備ができていると思います。この数週間で韓国との関係が明らかに「穏やか」になっていることが、それを物語っています。9月25日には金与正が、北朝鮮は「早期に」南北首脳会談に参加する用意があると述べました。北朝鮮の指導部が気にしている最大の問題は、2016~2017年に国連安保理で採択された分野別制裁の緩和です。制裁の影響がパンデミックと国境閉鎖と重なったことで、北朝鮮は経済的封鎖に追い込まれており、北朝鮮経済は大幅に弱体化しました。経済を建て直せるかどうかは、制裁緩和の見通しが立つかどうか、現地製品を輸出できるかどうかに、完全に依存しています。制裁緩和は国連安保理の合意がなければできませんし、それはフランス、イギリス、そして何よりも制裁維持を強く主張するアメリカの姿勢にかかっています。なぜならこれらの国々は、北朝鮮が核不拡散条約に違反したとして、北朝鮮の核保有ステータスに折り合いを付けられないでいるからです。私は、北朝鮮が非核化問題の議論に同意する可能性はあると思いますが、それは韓国との平和条約締結後であり、制裁解除という条件付きだと思います。
スプートニク:バイデン大統領は、アメリカと北朝鮮の二国間の「ビッグディール」の考え方を放棄する新たな対北朝鮮アプローチを発表しました。これは韓国、中国、アメリカ、日本、ロシアとの6者協議に戻る可能性を意味しているのでしょうか?
ファインシュミット氏:4月30日、バイデンは対北朝鮮関係の新たなアプローチを発表しました。これは大規模な合意締結を伴う二国間フォーマットを放棄するというものです。現在すでに、日本、韓国、アメリカの代表が参加する三者フォーマットで(9月の日米韓外相会合)で北朝鮮問題の動きや解決の可能性が議論されています。アメリカは多国間フォーマットで連携する用意があるようですから、そこにロシアと中国が参加することは論理的な流れでしょう。しかし、2000年代半ばと違い、アメリカは中国ともロシアとも関係を悪化させており、これが6者フォーマットの再開の妨げになる可能性はあります。
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