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キューバ危機は繰り返されるのか?
キューバ危機は繰り返されるのか?
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... 2022年1月10日, Sputnik 日本
2022-01-10T18:01+0900
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ロシアの国境付近でのミサイルの配備は、ロシアにとってこれまでも常に、きわめて深刻な問題であり、大きな危機的状況の引き金となってきた。1961年、米国はイタリアとトルコに準中距離弾道ミサイル「ジュピター」(PGM-19 Jupiter)を配備した。このミサイルは、射程距離が3,000キロ近くあり、ミサイルは10〜15分で、モスクワや大陸間弾道ミサイルの基地、その他の戦略拠点を含めたソ連領内に到達した。さらに米国の戦略核兵器は、ソ連の性能を大きく上回っていた。ソ連はこれに対抗するため、1962年、4,000キロの射程距離を持つ同様のミサイルを、米国のすぐ近くに位置するするキューバに配備した。またキューバに対する攻撃を防衛するために、ミサイル防衛システムや陸海軍部隊の兵員、戦略核兵器、航空機搭載爆弾などを配備し、政治家のみならず、キューバの武装勢力の軍事指導部らもこれを使用することができる状態にした。米国が偵察飛行を行い、この計画に気づいたことから、キューバ危機が勃発、世界はソ連と米国との核戦争の寸前まで追い込まれた。懸念されていたのは、キューバにあるロシア軍部隊への攻撃である。しかし、緊張した協議の末、ソ連はキューバのミサイルを撤去し、米国はトルコの「ジュピター」を撤去することで両者は合意に達した。もっとも、米国はこのとき古くからある、面目を保つためという公式的な口実を口にしたが、ソ連はそれに同意した。キューバ危機は、「冷戦」におけるある種の転換点となった。政治家も世論も、核戦争が実際に実現可能なものであるということを認識したのである。しかし、それでも、ソ連の国境付近への米国のミサイル配備による新たな危機が再び起きた。「ワクチン」の効果は20年しか持たなかったというわけである。1970年代、米国は欧州に180基の中距離弾道ミサイル「パーシング1」(MGM–31)を配備した。これらのミサイルが10分でモスクワおよびその他の戦略拠点に到達し、ソ連にとって報復攻撃のための可能性が著しく低下したことから、キューバ危機と同じ状況が再び繰り返されることとなった。この脅威に対し、ソ連は1976年、西側では「SS–20」の名で知られる同様のミサイルの配備を開始した。これを受け、NATOは1979年、ドイツ、英国、イタリアに108基の中距離弾道ミサイル「パーシング2」と464基の地上発射型巡航ミサイル「トマホーク」(BGM-109G)を配備するとの決定を下した。これにより、欧米は再びソ連よりも優位に立った(もっとも、NATOの同盟国の安全を低めることと引き替えとなった)。ジュネーブで開かれたソ連と米国の軍縮会議は前進せず、2つの超大国の関係は限界まで悪化した。こうした条件の中、当時のソ連の指導者であったユーリー・アンドローポフ書記長は、1983年11月、会議からの離脱を表明した。さらにソ連はソ連のヨーロッパ部への中距離核戦力の配備の一時停止を撤廃し、東ドイツやチェコスヴァキアに短距離ミサイルの配備を開始、また弾道ミサイル搭載潜水艦を米国に最大限に接近させた。こうしたことが、いわば核の脅威の均衡を生み出した。重要なのは、ソ連の指導者は、米国が先にソ連に対して攻撃を行う用意があると確信を示していたことである。こうした条件の下、偶然の紛争の勃発や先制攻撃の可能性が大きく広がった。世界は数年にわたって、核戦争の瀬戸際に立たされたのである。この緊張状態を解くことができたのは、アンドローポフ書記長の後任のミハイル・ゴルバチョフであった。ゴルバチョフは1987年12月、米国との間で、中距離核戦力全廃条約を締結した。これにより、脅威は、ソ連からもまた欧州からも取り除かれることになった。1989年、ソ連と米国は「冷戦」の終結を宣言した。しかし1991年、ソ連は解体し、ゴルバチョフ氏は退任。当時の政治における考え方は古いものとなった。米国は自国の戦略的な利益のために、ABM条約から脱退し、2020年には、中距離核戦力全廃条約からも脱退した。そして現在、プーチン大統領は、ロシア国境への核ミサイル配備に対し、深い懸念を示している。こうした深刻な状況は、戦後史上3度目となるものである。プーチン大統領は、「ロシア付近で米国のミサイル防衛システムの一部が配備されることに深い懸念を抱いている。ルーマニアにすでに位置し、ポーランドでも配備が計画されているミサイル発射機MK–41は、「トマホーク」を運用することもできる」と指摘した。また大統領によれば、もしもこうした動きがさらに加速し、ウクライナにも配備されるようなことがあれば、到達までの時間は7〜10分にまで短縮され、これが極超音速ミサイルになれば5分となる。そして問題の根源は、ロシアが反対しているウクライナのNATO加盟である。12月23日、米国ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、記者会見で、「米国は外交的な協議について話し合っている。ロシア側のいくつかの提案には同意できるが、たとえばNATOに関するものなどを始めとするいくつかには同意できない」と述べている。一方、ロシアのアレクサンドル・グルシコ外務次官は、ロシアはNATOがミサイルの配備を行った場合、同等の報復措置を取ると述べている。それは一体どのようなものなのか。これに関しては、たとえば、ベルリンから500キロに位置するカリーニングラード州、またソ連時代のミサイル部隊のインフラが残されている同盟国ベラルーシへのミサイル配備などといった情報が出ている。またアンドローポフ時代の声明のようなその他の措置も十分に考えられるが、現代の技術的進歩を考慮すれば、少なくとも1962年と1983年の危機が再来する可能性は十分にある。
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米ロ協議, 露米間の戦略対話, ウクライナのnato加盟, ジュネーブ 米ロ対話, nato加盟国, キューバ危機
米ロ協議, 露米間の戦略対話, ウクライナのnato加盟, ジュネーブ 米ロ対話, nato加盟国, キューバ危機
キューバ危機は繰り返されるのか?
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、アメリカおよびNATO(北大西洋条約機構)との間でスタートした安全保障問題に関する協議で、最大限に強硬姿勢を貫いている。プーチン大統領は、12月23日にモスクワで開いた年末恒例の記者会見で、「我々が米国の国境にミサイルを配備したか?違う。米国が自分のミサイルを持って我々の家の近くまで来たのだ」と訴え、「米国はいま、ウクライナはNATOに加盟すると言って、ロシアからなんらかの保証を求めている。しかし、米欧が我々に保証を与えなければならない。今すぐに、だ」と迫った。
ロシアの国境付近でのミサイルの配備は、ロシアにとってこれまでも常に、きわめて深刻な問題であり、大きな危機的状況の引き金となってきた。
1961年、米国はイタリアとトルコに準中距離弾道ミサイル「ジュピター」(PGM-19 Jupiter)を配備した。このミサイルは、射程距離が3,000キロ近くあり、ミサイルは10〜15分で、モスクワや大陸間弾道ミサイルの基地、その他の戦略拠点を含めたソ連領内に到達した。さらに米国の戦略核兵器は、ソ連の性能を大きく上回っていた。
ソ連はこれに対抗するため、1962年、4,000キロの射程距離を持つ同様のミサイルを、米国のすぐ近くに位置するするキューバに配備した。またキューバに対する攻撃を防衛するために、ミサイル防衛システムや陸海軍部隊の兵員、戦略核兵器、航空機搭載爆弾などを配備し、政治家のみならず、キューバの武装勢力の軍事指導部らもこれを使用することができる状態にした。
米国が偵察飛行を行い、この計画に気づいたことから、キューバ危機が勃発、世界はソ連と米国との核戦争の寸前まで追い込まれた。懸念されていたのは、キューバにあるロシア軍部隊への攻撃である。しかし、緊張した協議の末、ソ連はキューバのミサイルを撤去し、米国はトルコの「ジュピター」を撤去することで両者は合意に達した。もっとも、米国はこのとき古くからある、面目を保つためという公式的な口実を口にしたが、ソ連はそれに同意した。
キューバ危機は、「冷戦」におけるある種の転換点となった。政治家も世論も、核戦争が実際に実現可能なものであるということを認識したのである。しかし、それでも、ソ連の国境付近への米国のミサイル配備による新たな危機が再び起きた。「ワクチン」の効果は20年しか持たなかったというわけである。
1970年代、米国は欧州に180基の中距離弾道ミサイル「パーシング1」(MGM–31)を配備した。これらのミサイルが10分でモスクワおよびその他の戦略拠点に到達し、ソ連にとって報復攻撃のための可能性が著しく低下したことから、キューバ危機と同じ状況が再び繰り返されることとなった。この脅威に対し、ソ連は1976年、西側では「SS–20」の名で知られる同様のミサイルの配備を開始した。これを受け、NATOは1979年、ドイツ、英国、イタリアに108基の中距離弾道ミサイル「パーシング2」と464基の地上発射型巡航ミサイル「トマホーク」(BGM-109G)を配備するとの決定を下した。これにより、欧米は再びソ連よりも優位に立った(もっとも、NATOの同盟国の安全を低めることと引き替えとなった)。
ジュネーブで開かれたソ連と米国の軍縮会議は前進せず、2つの超大国の関係は限界まで悪化した。こうした条件の中、当時のソ連の指導者であったユーリー・アンドローポフ書記長は、1983年11月、会議からの離脱を表明した。さらにソ連はソ連のヨーロッパ部への中距離核戦力の配備の一時停止を撤廃し、東ドイツやチェコスヴァキアに短距離ミサイルの配備を開始、また弾道ミサイル搭載潜水艦を米国に最大限に接近させた。こうしたことが、いわば核の脅威の均衡を生み出した。
重要なのは、ソ連の指導者は、米国が先にソ連に対して攻撃を行う用意があると確信を示していたことである。こうした条件の下、偶然の紛争の勃発や先制攻撃の可能性が大きく広がった。世界は数年にわたって、核戦争の瀬戸際に立たされたのである。
この緊張状態を解くことができたのは、アンドローポフ書記長の後任のミハイル・ゴルバチョフであった。ゴルバチョフは1987年12月、米国との間で、中距離核戦力全廃条約を締結した。これにより、脅威は、ソ連からもまた欧州からも取り除かれることになった。1989年、ソ連と米国は「冷戦」の終結を宣言した。しかし1991年、ソ連は解体し、ゴルバチョフ氏は退任。当時の政治における考え方は古いものとなった。
米国は自国の戦略的な利益のために、ABM条約から脱退し、2020年には、中距離核戦力全廃条約からも脱退した。そして現在、プーチン大統領は、ロシア国境への核ミサイル配備に対し、深い懸念を示している。こうした深刻な状況は、戦後史上3度目となるものである。プーチン大統領は、「ロシア付近で米国のミサイル防衛システムの一部が配備されることに深い懸念を抱いている。ルーマニアにすでに位置し、ポーランドでも配備が計画されているミサイル発射機MK–41は、「トマホーク」を運用することもできる」と指摘した。また大統領によれば、もしもこうした動きがさらに加速し、ウクライナにも配備されるようなことがあれば、到達までの時間は7〜10分にまで短縮され、これが極超音速ミサイルになれば5分となる。そして問題の根源は、ロシアが反対しているウクライナのNATO加盟である。
12月23日、米国ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、記者会見で、「米国は外交的な協議について話し合っている。ロシア側のいくつかの提案には同意できるが、たとえばNATOに関するものなどを始めとするいくつかには同意できない」と述べている。
一方、ロシアのアレクサンドル・グルシコ外務次官は、ロシアはNATOがミサイルの配備を行った場合、同等の報復措置を取ると述べている。それは一体どのようなものなのか。
これに関しては、たとえば、ベルリンから500キロに位置するカリーニングラード州、またソ連時代のミサイル部隊のインフラが残されている同盟国ベラルーシへのミサイル配備などといった情報が出ている。またアンドローポフ時代の声明のようなその他の措置も十分に考えられるが、現代の技術的進歩を考慮すれば、少なくとも1962年と1983年の危機が再来する可能性は十分にある。