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石油備蓄放出第3弾:日本の原油は安全のためにあるのではない?
石油備蓄放出第3弾:日本の原油は安全のためにあるのではない?
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... 2022年3月21日, Sputnik 日本
2022-03-21T17:44+0900
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雑誌「エクスペルト」の経済アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、日本の石油備蓄の放出によって、原油価格を下げるという目的を達成することはできるが、その効果は長くは続かないと指摘する。コロリョワ氏は、戦略的な備蓄を外的要因による経済へのネガティブな結果を払拭するために使うのが自然で論理的なときというのは、いわゆる「オイル・ショック」のときだと述べている。2021年11月に日本は、原油価格を安定させることを目的に、米国の要請に応える形で、石油の国家備蓄の一部を売却した。こうした措置は、「パンデミック後の世界経済の回復」に必要なものとして行われた。そして、そのとき、石油の消費大国である韓国、インド、英国、中国も、同じような措置を講じた。しかし、それから半年も経たないうちに、ウクライナをめぐる危機の中、ロシア産原油の供給に関する危惧が高まり、原油価格が高騰するのを背景に、米国とそのパートナー国は再び、石油の備蓄売却を検討している。つまり、石油備蓄の放出というものが、次第に、原油市場における価格決定に影響を与えるための常套手段となっていくということなのだろうか。つまり、石油備蓄の放出は日本経済に深刻な脅威をもたらすものではない。しかし、ウクライナをめぐる危機的状況が今後さらに長引けば、状況は変わっていく可能性もある。よく知られているように、日本はエネルギーのほとんどを中東から輸入している。石油は、日本が輸入している一次エネルギーのおよそ40%を占めているが、その石油のほぼ90%を中東に依存している。主な供給国は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦である。現時点で、サウジアラビアは、今月初旬に石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟の主要産油国を加えたOPECプラスで合意された減産縮小を遵守する意向を確認している。これに関連し、グローバルタイムズ紙は、「OPEC加盟国は米国に縛られるのをよしとせず、危機的状況において、原油生産の義務に違反してロシアの背中にナイフを刺すことは望んでいない」と報じている。一方、日本政府はロシアのエネルギーへの「依存度を下げる」という戦略を意識的に維持していることから、日本に供給されているロシア産原油は最小限となっている。にもかかわらず、エネルギー分野における米国の要請は実際、より頻繁に出されるようになっている。ウクライナをめぐる危機が始まる前にも、米国は日本に対し、中東から輸入しているLNG(液化天然ガス)の一部を欧州連合(EU)に融通するよう要請した。これについて、アンナ・コロリョワ氏は次のように指摘している。一方、こうした中、米国はイランにまで支援を要請する必要に迫られており、核合意を結んだ後、石油を輸入する可能性があるとも示唆している。また、米国の政府高官がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領とカラカスで会見し、制裁緩和について話し合った。しかし、「世界の覇者」がこうして奔走する姿勢を見て、日本政府が確信を深めることはないだろう。しかしそれでも、日本は同盟国を今後も支持していく意向を示している。そのためなら、自国の石油備蓄を放出することをも厭わないのである。
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石油備蓄放出第3弾:日本の原油は安全のためにあるのではない?
日本政府は、米国と協調して行う石油備蓄放出で、第3弾として約30万キロリットルを売却すると決定し、4月8日に入札を行う。共同通信が明らかにした。日本は2月から石油備蓄を放出してきたが、入札にかけられる放出量は回を重ねるごとに増えている(2月は10万、3月は30万キロリットル)。「スプートニク」は、現在のような状況がいつまで続くのか、また日本経済はどのようなリスクに直面する可能性があるのか、専門家に意見を伺った。
雑誌「エクスペルト」の経済アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、日本の石油備蓄の放出によって、原油価格を下げるという目的を達成することはできるが、その効果は長くは続かないと指摘する。
「効果はあるでしょう。しかし、日本にとっても、米国にとっても、その効果はそれほど顕著なものではなく、またまったく長期的なものではないでしょう。ただ、地域の他の国々も同じような措置を講じる可能性は除外できません。そうなれば、原油価格の安定に向けた状況は改善するでしょう。とはいえ、それもきわめて短期的なものにはなります。しかも、日本のエネルギー自給率が7%前後であるという事実を考慮する必要があります。日本はエネルギーの大部分を輸入しています。つまり、日本経済にとって、エネルギー問題は非常に厳しいものです。ですから、日本が石油の国家備蓄を放出することができるのは、大規模な災害のとき、あるいはその他の非常事態など、本当にそのような措置が必要な際にしか行うことができません」。
コロリョワ氏は、戦略的な備蓄を外的要因による経済へのネガティブな結果を払拭するために使うのが自然で論理的なときというのは、いわゆる「オイル・ショック」のときだと述べている。
2021年11月に日本は、原油価格を安定させることを目的に、米国の要請に応える形で、石油の国家備蓄の一部を売却した。こうした措置は、「パンデミック後の世界経済の回復」に必要なものとして行われた。そして、そのとき、石油の消費大国である韓国、インド、英国、中国も、同じような措置を講じた。
しかし、それから半年も経たないうちに、
ウクライナをめぐる危機の中、ロシア産原油の供給に関する危惧が高まり、原油価格が高騰するのを背景に、米国とそのパートナー国は再び、石油の備蓄売却を検討している。
つまり、石油備蓄の放出というものが、次第に、原油市場における価格決定に影響を与えるための常套手段となっていくということなのだろうか。
「日本はウクライナ情勢によって西側が発動した対露制裁に支持を表明しました。この対露制裁は、エネルギー価格に再び、影響を与えています。米国のバイデン政権は、エネルギー価格を下げるためあらゆる努力をしています。日本の今回の石油備蓄の放出も、まさに同盟国である米国を支持するための方策の一つです。しかし、日本政府のこうした動きはシンボリックな意味合いのものでしかありません。なぜなら、こうした方策によって長期的な効果(原油価格の安定)は期待できないからです。しかし、日本政府は、状況がよくなった後、放出したエネルギーを新たな供給国から補填することで、そうした貢献を果たすことができるかもしれません」。
つまり、石油備蓄の放出は日本経済に深刻な脅威をもたらすものではない。しかし、ウクライナをめぐる危機的状況が今後さらに長引けば、状況は変わっていく可能性もある。
よく知られているように、日本はエネルギーのほとんどを中東から輸入している。石油は、日本が輸入している一次エネルギーのおよそ40%を占めているが、その石油のほぼ90%を中東に依存している。主な供給国は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦である。
現時点で、サウジアラビアは、今月初旬に石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟の主要産油国を加えたOPECプラスで合意された減産縮小を遵守する意向を確認している。これに関連し、グローバルタイムズ紙は、「OPEC加盟国は米国に縛られるのをよしとせず、危機的状況において、原油生産の義務に違反してロシアの背中にナイフを刺すことは望んでいない」と
報じている。
一方、日本政府はロシアのエネルギーへの「依存度を下げる」という戦略を意識的に維持していることから、日本に供給されているロシア産原油は最小限となっている。
にもかかわらず、エネルギー分野における米国の要請は実際、より頻繁に出されるようになっている。ウクライナをめぐる危機が始まる前にも、米国は日本に対し、中東から輸入しているLNG(液化天然ガス)の一部を欧州連合(EU)に融通するよう要請した。
これについて、アンナ・コロリョワ氏は次のように指摘している。
「そこで、ウクライナをめぐる危機が長期化する中、日本にとっては、それほど大きくないロシア産エネルギーの供給も深刻なものとなる可能性があります。現在、日本は、ロシアから輸入している石油に代わる輸入先の多角化について考えなければならなくなっています。これは西側諸国に共通した政治的な傾向です。日本は、世界経済の主導する国の一つとして、これを無視するわけにはいきません」。
一方、こうした中、米国はイランにまで支援を要請する必要に迫られており、核合意を結んだ後、石油を輸入する可能性があるとも示唆している。また、米国の政府高官がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領とカラカスで会見し、制裁緩和について話し合った。
しかし、「世界の覇者」がこうして奔走する姿勢を見て、日本政府が確信を深めることはないだろう。しかしそれでも、日本は同盟国を今後も支持していく意向を示している。そのためなら、自国の石油備蓄を放出することをも厭わないのである。