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「冷戦2.0」という条件下での地球温暖化
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Sputnik 日本
... 2022年4月28日, Sputnik 日本
2022-04-28T08:30+0900
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EUはすでに昨年、欧州市場のロシア産天然ガスへの依存度を下げることを発表している。この分野でのヨーロッパの政策は、主に「グリーン」経済構築を継続し、原則として、米国からであろうと中東からであろうと、外部エネルギー源への依存を減らしたいという希望にのっとって組み立てられていた。しかし、ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦の開始に伴い、ロシアの供給に関するヨーロッパのガス消費者の感情はさらに過激になっている。3月8日の欧州委員会の声明によると、EUは2022年末までにロシアからのガス需要を3分の2削減することを計画している。 昨年2021年にEUは1550億立方メートルのロシアのガス(総消費量のほぼ40%)を輸入したが、現在はガスの購入を年間約1,000億立方メートルにまで削減することについて協議している。しかしながらこれをやると、原料の不足と価格高騰が相まって、エネルギー消費量を削減する必要が出てくる。このことは既に、EUのエネルギーシステムに体系的な問題を引き起こしている。ドイツのショルツ首相は22日に発表されたシュピーゲル誌のインタビューで、次のように述べている。「第一に、ガスの禁輸が戦争を止めるとは全く思えない。第二に、あなた方は、それで私たちがまるで稼いでいるかのように話している。しかし、今話題としているのは、私たちは大規模な経済危機、数百万人の雇用の喪失、二度と再開できないであろう工場の閉鎖を避けたいということだ。これは、我々の国、ひいてはヨーロッパ全体に深刻な結果をもたらすだろう。」IMFは、ウクライナ危機とエネルギー価格高騰により、世界はジレンマに陥ったと考えている。考えられる第一の道は、エネルギーの価格上昇、ロシアから西側への禁輸措置の可能性を鑑みた大規模な市場変化によるエネルギー問題悪化にもかかわらず、グリーン経済への移行を続けるということだ。第二の道は、グリーン経済への移行を減速させ、エネルギー安全保障を強化することだ。しかし将来、それは予測不可能な気候リスクを伴うかもしれない。現在すでに、インフレが広範囲に及んでいるため、西側諸国は家計や企業への予算支援拡大を余儀なくされている。しかし、食料とエネルギーの価格を下げるための措置は、再生可能エネルギーへの投資を減らす可能性がある。さらに、Ember社の調査報告によると、2021年、世界の電力生産における太陽光発電と風力発電所の割合は10.3%に達している。うち風力エネルギーは6.6%、太陽光エネルギーは3.7%だ。また、報告された期間中の発電における原子力発電の割合は9.9%と推定されている。しかし、再生可能エネルギーセグメント(風力発電と太陽光発電)の大規模な発展のためには、第一次エネルギー源、つまり、石油、ガス、石炭といったものが必要なのである。例えば1台の大型洋上風力タービン(高さが最大150メートル、ローターの直径が150メートルを超える)は、土台部分(約2500トン)を含めて約6000トンの重量がある。このような巨大構造物は、主に鋼と鉄筋コンクリート(マストとタワー、発電機、ローター、その他の大型モジュール)からできている。つまり、そのようなタービンを作ること自体に非常に多くのエネルギーを使い、それを回して電気を作ったとしても、それにかかるエネルギーが高額になる。大量のガスや石油、石炭が必要になれば、風力タービンの生産の収益性についてはお話にならず、メリットがあるかどうか以前よりもさらに疑わしい。じゃぶじゃぶと補助金をつぎ込むしか方法はないのである。昨年ヨーロッパでは、曇りや風のない日が続き、そのような天候の影響で、スポット市場における電力とガスの価格は急騰した。今、エネルギーと金属価格高騰を背景に「グリーンテクノロジー」へ移行を加速することは、経済を刺激する機会を減らすだけでなく、CO2排出量の増加を引き起こす可能性がある。主要な経済大国間の競争の手段としてグリーン経済をとらえる場合、現在の「冷戦2.0」は加熱していくばかりだ。ドイツ連邦ネットワークエージェンシー(ドイツの規制当局)のクラウス・ミュラー長官は、一週間毎日、熱いお湯でシャワーを浴びないといけないかどうか、ガスを使い続けるのなら、そういう質問を自身に投げかけないといけないと呼びかけ、ドイツ人にエネルギーを節約するよう促した。関連ニュース
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ウクライナ, 国際, ロシア, 経済, 政治, 地球温暖化
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「冷戦2.0」という条件下での地球温暖化
ウクライナ危機をめぐって生じている「冷戦2.0」は、地球温暖化問題解消という課題にも影響を及ぼしている。今、テーブルに乗っているのは2つの選択肢である。エネルギーの安全保障を担保するか、長期的に脱炭素プロジェクトを実施するかである。自国にエネルギー源をもたず、環境に優しいテクノロジーの開発で、国際社会における競争力を高めようとしている日本やその他の国にとって、この選択は容易ではない。
EUはすでに昨年、欧州市場のロシア産天然ガスへの依存度を下げることを発表している。この分野でのヨーロッパの政策は、主に「グリーン」経済構築を継続し、原則として、米国からであろうと中東からであろうと、外部エネルギー源への依存を減らしたいという希望にのっとって組み立てられていた。しかし、
ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦の開始に伴い、ロシアの供給に関するヨーロッパのガス消費者の感情はさらに過激になっている。
3月8日の欧州委員会の声明によると、EUは2022年末までにロシアからのガス需要を3分の2削減することを計画している。 昨年2021年にEUは1550億立方メートルのロシアのガス(総消費量のほぼ40%)を輸入したが、現在はガスの購入を年間約1,000億立方メートルにまで削減することについて協議している。しかしながらこれをやると、原料の不足と価格高騰が相まって、エネルギー消費量を削減する必要が出てくる。このことは既に、EUのエネルギーシステムに体系的な問題を引き起こしている。
ドイツのショルツ首相は22日に発表されたシュピーゲル誌のインタビューで、次のように述べている。「第一に、ガスの禁輸が戦争を止めるとは全く思えない。第二に、あなた方は、それで私たちがまるで稼いでいるかのように話している。しかし、今話題としているのは、私たちは大規模な経済危機、数百万人の雇用の喪失、二度と再開できないであろう工場の閉鎖を避けたいということだ。これは、我々の国、ひいてはヨーロッパ全体に深刻な結果をもたらすだろう。」
IMFは、ウクライナ危機とエネルギー価格高騰により、世界はジレンマに陥ったと考えている。考えられる第一の道は、エネルギーの価格上昇、ロシアから西側への禁輸措置の可能性を鑑みた大規模な市場変化によるエネルギー問題悪化にもかかわらず、グリーン経済への移行を続けるということだ。第二の道は、グリーン経済への移行を減速させ、エネルギー安全保障を強化することだ。しかし将来、それは予測不可能な気候リスクを伴うかもしれない。
現在すでに、インフレが広範囲に及んでいるため、西側諸国は家計や企業への予算支援拡大を余儀なくされている。しかし、食料とエネルギーの価格を下げるための措置は、再生可能エネルギーへの投資を減らす可能性がある。
さらに、Ember社の調査報告によると、2021年、世界の電力生産における太陽光発電と風力発電所の割合は10.3%に達している。うち風力エネルギーは6.6%、太陽光エネルギーは3.7%だ。また、報告された期間中の発電における原子力発電の割合は9.9%と推定されている。
しかし、再生可能エネルギーセグメント(風力発電と太陽光発電)の大規模な発展のためには、第一次エネルギー源、つまり、石油、ガス、石炭といったものが必要なのである。例えば1台の大型洋上風力タービン(高さが最大150メートル、ローターの直径が150メートルを超える)は、土台部分(約2500トン)を含めて約6000トンの重量がある。このような巨大構造物は、主に鋼と鉄筋コンクリート(マストとタワー、発電機、ローター、その他の大型モジュール)からできている。
つまり、そのようなタービンを作ること自体に非常に多くのエネルギーを使い、それを回して電気を作ったとしても、それにかかるエネルギーが高額になる。大量のガスや石油、石炭が必要になれば、風力タービンの生産の収益性についてはお話にならず、メリットがあるかどうか以前よりもさらに疑わしい。じゃぶじゃぶと補助金をつぎ込むしか方法はないのである。昨年ヨーロッパでは、曇りや風のない日が続き、そのような天候の影響で、スポット市場における電力とガスの価格は急騰した。
今、エネルギーと金属価格高騰を背景に「グリーンテクノロジー」へ移行を加速することは、経済を刺激する機会を減らすだけでなく、CO2排出量の増加を引き起こす可能性がある。主要な経済大国間の競争の手段としてグリーン経済をとらえる場合、現在の「冷戦2.0」は加熱していくばかりだ。ドイツ連邦ネットワークエージェンシー(ドイツの規制当局)のクラウス・ミュラー長官は、一週間毎日、熱いお湯でシャワーを浴びないといけないかどうか、ガスを使い続けるのなら、そういう質問を自身に投げかけないといけないと呼びかけ、ドイツ人にエネルギーを節約するよう促した。