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フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を正式決定 知っておくべきこととは?
フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を正式決定 知っておくべきこととは?
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... 2022年5月21日, Sputnik 日本
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ストルテンベルグ事務総長は、この2カ国のNATO受け入れは今までにない早さで進むとの考えを明らかにしている。一方、トルコのエルドアン大統領は、これに同意するにはいくつかの事前の条件が必要だとの立場を明らかにした。軍事的中立放棄の理由フィンランドのサンナ・マリン首相は「我々は、自国だけでは、ロシアの隣で平和な未来があるとはもう信じられない。そこで我々はNATO加盟の決定を下した。我が国はかつてロシアと戦争をした。我々自身、そして子どもたちのためにも、今後、フィンランドで再び戦争を起こさないためだ」と述べた。一方、200年以上にわたって軍事的非同盟を守ってきたスウェーデンは、第二次世界大戦においても中立的な立場を保ってきたことから、今回の決定は苦渋の選択であった。しかし、スウェーデンのマグダレナ・アンデション首相は今回の決定について、国の中立的立場はこれまで「有益なものであった」が、「もしもスウェーデンがバルト海沿岸で唯一の非加盟国となれば、我々は弱い立場に置かれることになる」と説明した。またスウェーデンは、もしNATO加盟が承認されても、NATOの核兵器や恒久的な軍事基地を国内に置くことを望まないとの立場を明らかにしている。ちなみに、ノルウェーとデンマークはすでにNATOに加盟している。フィンランドとスウェーデンの加盟でNATOが得るものとは?スウェーデン国防研究所のNATO問題の専門家、ロバート・ダルショ氏は、2カ国の加盟はNATOの防衛力を強化するものだと指摘している。「NATOはバルト海沿岸諸国を防衛しやすくなります。なぜなら、たとえばバルト海沿岸諸国への軍部隊の派遣や物資の輸送に際し、スウェーデン領空の使用に関する問題がなくなるからです。政治的な見地から見ても、これは有利なものになります」。一方、ロシアの軍事専門家、ウラジスラフ・シュルィギン氏は、フィンランドやスウェーデンがNATOの軍事力を大きく強化するとは考えにくいが、軍事戦略という見地から言えば、これらの国々には一定の利点があると指摘する。トルコが反対する理由現時点で、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟に賛成できないと表明している唯一の国がトルコである。トルコは、テロ組織とみなすクルド人武装組織を支援しているとして両国を非難している。加えて、このスウェーデンとフィンランドは、2019年にトルコがシリアに侵攻し、クルド人勢力の一掃に乗り出した際に、制裁を科した国である。ブルームバーグのデータによれば、トルコ政府は、NATO加盟を申請したフィンランドとスウェーデンに対し、トルコが求める30人のテロリストの引き渡し、ロシアから地対空ミサイルS400を購入した後に発動された制裁の解除、そして最新鋭ステルス戦闘機F−35共同開発計画への参加などへの同意を両国受け入れの条件として提示した。トルコが拒否権を発動すれば、新加盟国のNATO受け入れに向けた手続きが長引く可能性があるため、NATOの課題は、トルコに対し早急に両国の加盟の邪魔をしないよう説得するか、トルコの条件を飲むことである。現在、フィンランドの大統領とスウェーデンの首相は詳細について協議するため、米国のバイデン大統領を訪問している。米大統領がこの問題を解決するため、どのような形で同意するかは今の段階では不明である。ロシアの立場ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2カ国のNATO加盟は「重大な誤り」だと指摘した。しかし同時に大統領は、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟はロシアにとってなんの問題もないとし、「これらの国の加盟による直接的な脅威はロシアにはない」と述べる一方で、両国の領土に軍事インフラが拡大配備されることになれば、「確実に我々の対応を引き起こすだろう」と警告した。しかしそれがどのような対応になるのかについては、「我々にもたらされる脅威に基づいて考える」と述べるにとどめた。関連ニュース
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軍事, nato, フィンランド, スウェーデン, 国際, ロシア, トルコ, オピニオン
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フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を正式決定 知っておくべきこととは?
2022年5月21日, 07:30 (更新: 2022年5月22日, 02:23) 5月18日、これまで「軍事的中立」を守ってきたフィンランドとスウェーデンのNATO大使が、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長に加盟申請の書簡を手渡した。どちらの国も、ウクライナにおけるロシアの特別作戦が、国の安全保障にとっての脅威とリスクを決定的に変え、新たな条件の下で自国を保障する最良の方法はNATOの一部になることだとの認識を示している。両国による加盟申請は今後NATO議会で審議された後、NATO全30カ国が全会一致で同意すれば、承認されることになる。
ストルテンベルグ事務総長は、この2カ国のNATO受け入れは今までにない早さで進むとの考えを明らかにしている。一方、トルコのエルドアン大統領は、これに同意するにはいくつかの事前の条件が必要だとの立場を明らかにした。
フィンランドのサンナ・マリン首相は「我々は、自国だけでは、ロシアの隣で平和な未来があるとはもう信じられない。そこで我々は
NATO加盟の決定を下した。我が国はかつてロシアと戦争をした。我々自身、そして子どもたちのためにも、今後、
フィンランドで再び戦争を起こさないためだ」と述べた。
一方、200年以上にわたって軍事的非同盟を守ってきたスウェーデンは、第二次世界大戦においても中立的な立場を保ってきたことから、今回の決定は苦渋の選択であった。しかし、スウェーデンのマグダレナ・アンデション首相は今回の決定について、国の中立的立場はこれまで「有益なものであった」が、「もしもスウェーデンがバルト海沿岸で唯一の非加盟国となれば、我々は
弱い立場に置かれることになる」と説明した。
またスウェーデンは、もしNATO加盟が承認されても、NATOの核兵器や恒久的な軍事基地を国内に置くことを望まないとの立場を明らかにしている。ちなみに、ノルウェーとデンマークはすでにNATOに加盟している。
フィンランドとスウェーデンの加盟でNATOが得るものとは?
スウェーデン国防研究所のNATO問題の専門家、ロバート・ダルショ氏は、2カ国の加盟はNATOの防衛力を強化するものだと指摘している。
「NATOはバルト海沿岸諸国を
防衛しやすくなります。なぜなら、たとえばバルト海沿岸諸国への軍部隊の派遣や物資の輸送に際し、スウェーデン領空の使用に関する問題がなくなるからです。政治的な見地から見ても、これは有利なものになります」。
一方、ロシアの軍事専門家、ウラジスラフ・シュルィギン氏は、フィンランドやスウェーデンがNATOの軍事力を大きく強化するとは考えにくいが、軍事戦略という見地から言えば、これらの国々には一定の利点があると指摘する。
「2カ国それぞれの軍備はそれほど大きくはありませんが、両国は定期的に軍事力に投資を行い、軍備を近代化しています。たとえば、現在、フィンランド空軍は戦闘攻撃機ボーイングF/A–18「ホーネット」を保有していますが、これを米国の第5世代ステルス多用途戦闘機F−35に置き換える計画があります。ポータルサイト「フライング」のデータによれば、すでに64機(価格にして94億ドル)を調達する合意を結んでおり、それらが2025年から2030年にかけて供給されることになっています。一方のスウェーデンには国産の高性能戦闘機「グリペン」があります。また艦船や静かなエンジンを搭載した潜水艦などを含め、機動性のある艦隊を有しています。しかし、重要なのはこうしたことではなく、これらの国のユニークな地理的位置です。フィンランドはロシアと1270キロにわたって国境を接していることから、NATOはロシアの西側の監視を強化することが可能になります。これらの国内に基地または米国が構築している欧州安全保障システムに含まれるミサイル防衛システムを設置することも可能になります。さらにフィンランドとスウェーデンはバルト海の幅広い沿岸部を監視していることから、この2カ国がNATOに加盟すれば、NATOがバルト海において主導的な位置に立つことができるのです。また情報交換に関して言えば、両国はこれまでNATOと合同軍事演習を行なってきており、NATOとインテリジェンス情報の交換も行ってきています」。
現時点で、スウェーデンとフィンランドの
NATO加盟に賛成できないと表明している唯一の国がトルコである。トルコは、テロ組織とみなすクルド人武装組織を支援しているとして両国を非難している。加えて、このスウェーデンとフィンランドは、2019年にトルコがシリアに侵攻し、クルド人勢力の一掃に乗り出した際に、制裁を科した国である。ブルームバーグのデータによれば、トルコ政府は、NATO加盟を申請したフィンランドとスウェーデンに対し、トルコが求める30人のテロリストの引き渡し、ロシアから地対空ミサイルS400を購入した後に発動された制裁の解除、そして最新鋭ステルス戦闘機F−35共同開発計画への参加などへの同意を両国受け入れの条件として提示した。
トルコが拒否権を発動すれば、新加盟国のNATO受け入れに向けた手続きが長引く可能性があるため、NATOの課題は、トルコに対し早急に両国の加盟の邪魔をしないよう説得するか、トルコの条件を飲むことである。現在、フィンランドの大統領とスウェーデンの首相は詳細について協議するため、米国のバイデン大統領を訪問している。米大統領がこの問題を解決するため、どのような形で同意するかは今の段階では不明である。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2カ国のNATO加盟は「重大な誤り」だと指摘した。しかし同時に大統領は、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟はロシアにとってなんの問題もないとし、「これらの国の加盟による直接的な脅威はロシアにはない」と述べる一方で、両国の領土に軍事インフラが拡大配備されることになれば、「確実に我々の対応を引き起こすだろう」と警告した。しかしそれがどのような対応になるのかについては、「我々にもたらされる脅威に基づいて考える」と述べるにとどめた。