https://sputniknews.jp/20220526/11358047.html
日本は米国の同盟国と言えるのか オピニオン
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日本の航空自衛隊は、沖縄における弾薬の供給において米軍の支援に期待している。こうした提案が、日本の防衛省内でも、また米軍司令部との協議においても、話し合われており、少なくとも、2022年1月に開かれた2国間協議でもこの問題について協議されている。 2022年5月26日, Sputnik 日本
2022-05-26T17:30+0900
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構想の本質とは?この提案の本質は次のようなものである。尖閣諸島をめぐる中国との緊張拡大を鑑み、日本の航空自衛隊の弾薬の需要が高まる可能性が指摘されている。沖縄に新たな弾薬庫を建設するのはほぼ不可能であるが、沖縄の嘉手納基地には巨大な米軍の弾薬庫がある。航空自衛隊と米空軍が使用する武器はほぼ同じであることから、沖縄の航空自衛隊が必要とする弾薬を米国の弾薬庫から使用することは十分、合理的なことである。これまでは行われていなかったのか?この提案で何より驚かされるのは、これまで米国の弾薬庫の共同使用が行われていなかったということである。米国と日本は何十年にもわたって軍事同盟国であるにもかかわらずである。普通は、自衛隊の飛行隊は、基地の司令官の指示に基づいて、米軍基地から必要なものをすべて受け取ることができるものと考えがちである。ちなみに、多くの軍が加盟していたワルシャワ条約機構では次のような形が取られていた。ドイツ民主共和国、ポーランド、チェコスロヴァキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアの軍はそれぞれ自らの弾薬庫を保有し、ソ連の各軍集団、つまり、東独駐留軍、ポーランドの北方軍集団、チェコスロヴァキアの中央軍集団、ハンガリーの南方軍集団もそれぞれの弾薬庫を持っていた。また連隊、師団、軍団、軍にもそれぞれの武器庫があった。しかし、これに加えて、ワルシャワ条約機構の武器の備蓄もあった。これは欧州のすべての同盟軍が使用することを想定したものであった。これらの備蓄の管理を行なっていたのはワルシャワ条約機構の統合軍司令部である。さらに、第二次世界大戦では、同盟国に、早急に武器供給で支援することが合理的であることが露呈された。1944年から1945年にかけて、ソ連軍はポーランド、ルーマニア、ブルガリア、チェコスロヴァキアの同盟軍とともにドイツに攻撃をかけた。前線の司令部は同盟国に対し、各国の要請または司令部からの指示に従って、すべての武器庫あるいは戦利品として奪った武器庫から弾薬を供給した。そこで、ソ連軍の経験という見地から見れば、米国と日本のこれまでの関係は異常なものに思われる。これで、両国が本当の意味で、同盟関係にあると言えるのだろうか。弾薬庫はこの上ない攻撃目標こうした状況は、沖縄にある米軍の弾薬庫がどのようなものであるのかを考えれば、さらに奇妙なものに感じられる。嘉手納弾薬庫地区というのは、基地北部に位置する総面積26.5平米もの巨大な弾薬庫である。興味深いことに、地主の数は4525人で、米国は115億円という年間賃貸料を支払っている。つまりこれは米空軍の最大の弾薬庫なのである。そこにどれほどの弾薬が保管されているのかは明確ではない。明らかにされているのは、その総額が9億4700万ドルであるということだけである。しかもこの弾薬庫はさらに増強を続けている。2021年5月には、地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC 3)を200発備えられるミサイル保管庫が完成した。沖縄に司令部を置く自衛隊の第9航空団のために、米軍の弾薬庫を使用するのは、おそらくそれほど困難なことではないだろう。しかし、米国が自衛隊に弾薬の提供を要請するという状況になることも十分にありえる。というのも、嘉手納基地の弾薬庫はミサイル攻撃が行われる格好の目標物だからである。この地域で敵となりうる国は一つ、それは中国である。もし中国が米国と日本の航空部隊との戦いを開始した場合、中国にとっては、弾道ミサイルや巡航ミサイルでこの弾薬庫に攻撃を加えるのがより論理的な方法となる。弾薬庫を壊滅すれば、米空軍の戦闘能力を失わせることができるからである。もし、中国人民解放軍空軍の指令官が第二次世界大戦時の経験を十分に習得していたとすれば、軍はおそらく弾薬庫、貯油施設、嘉手納飛行場の滑走路を殲滅するまで、ミサイル攻撃や空襲を実施するだろう。なぜなら、これにより、敵を一気に弱体化させることができるからである。戦闘機は、攻撃を避け、別の基地に移すことができる。しかし、この場合、燃料や弾薬、ミサイルに関しては、米軍は日本にその提供を要請することになるのである。日本の自衛隊の見地から言えば、空軍部隊の武器の整備において米軍の支援に期待するのは、より良い考えとは言えない。とりわけ、沖縄においてはなおさらである。日本にとっての最良の方法は、独自の弾薬庫を保有し、一度の攻撃で破壊されないよう、いくつもの航空基地や飛行場に分散させることだろう。
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日本は米国の同盟国と言えるのか オピニオン
2022年5月26日, 17:30 (更新: 2022年5月26日, 18:52) 日本の航空自衛隊は、沖縄における弾薬の供給において米軍の支援に期待している。こうした提案が、日本の防衛省内でも、また米軍司令部との協議においても、話し合われており、少なくとも、2022年1月に開かれた2国間協議でもこの問題について協議されている。
この提案の本質は次のようなものである。尖閣諸島をめぐる中国との緊張拡大を鑑み、
日本の航空自衛隊の弾薬の需要が高まる可能性が指摘されている。沖縄に新たな弾薬庫を建設するのはほぼ不可能であるが、沖縄の
嘉手納基地には巨大な米軍の弾薬庫がある。航空自衛隊と米空軍が使用する武器はほぼ同じであることから、沖縄の航空自衛隊が必要とする弾薬を米国の弾薬庫から使用することは十分、合理的なことである。
この提案で何より驚かされるのは、これまで米国の弾薬庫の共同使用が行われていなかったということである。米国と日本は何十年にもわたって軍事同盟国であるにもかかわらずである。
普通は、自衛隊の飛行隊は、基地の司令官の指示に基づいて、米軍基地から必要なものをすべて受け取ることができるものと考えがちである。ちなみに、多くの軍が加盟していた
ワルシャワ条約機構では次のような形が取られていた。ドイツ民主共和国、ポーランド、チェコスロヴァキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアの軍はそれぞれ自らの弾薬庫を保有し、ソ連の各軍集団、つまり、東独駐留軍、ポーランドの北方軍集団、チェコスロヴァキアの中央軍集団、ハンガリーの南方軍集団もそれぞれの弾薬庫を持っていた。
また連隊、師団、軍団、軍にもそれぞれの武器庫があった。しかし、これに加えて、ワルシャワ条約機構の武器の備蓄もあった。これは欧州のすべての同盟軍が使用することを想定したものであった。これらの備蓄の管理を行なっていたのはワルシャワ条約機構の統合軍司令部である。さらに、第二次世界大戦では、同盟国に、早急に武器供給で支援することが合理的であることが露呈された。
1944年から1945年にかけて、ソ連軍はポーランド、ルーマニア、ブルガリア、チェコスロヴァキアの同盟軍とともにドイツに攻撃をかけた。前線の司令部は同盟国に対し、各国の要請または司令部からの指示に従って、すべての武器庫あるいは戦利品として奪った武器庫から弾薬を供給した。そこで、ソ連軍の経験という見地から見れば、米国と日本のこれまでの関係は異常なものに思われる。これで、両国が本当の意味で、同盟関係にあると言えるのだろうか。
こうした状況は、沖縄にある米軍の弾薬庫がどのようなものであるのかを考えれば、さらに奇妙なものに感じられる。嘉手納弾薬庫地区というのは、基地北部に位置する総面積26.5平米もの巨大な弾薬庫である。興味深いことに、地主の数は4525人で、米国は115億円という年間賃貸料を支払っている。つまりこれは米空軍の最大の弾薬庫なのである。そこにどれほどの弾薬が保管されているのかは明確ではない。明らかにされているのは、その総額が
9億4700万ドルであるということだけである。しかもこの弾薬庫はさらに増強を続けている。2021年5月には、地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC 3)を200発備えられる
ミサイル保管庫が完成した。
沖縄に司令部を置く自衛隊の第9航空団のために、米軍の弾薬庫を使用するのは、おそらくそれほど困難なことではないだろう。しかし、米国が自衛隊に弾薬の提供を要請するという状況になることも十分にありえる。というのも、嘉手納基地の弾薬庫はミサイル攻撃が行われる格好の目標物だからである。
この地域で敵となりうる国は一つ、それは中国である。
もし中国が米国と日本の航空部隊との戦いを開始した場合、中国にとっては、弾道ミサイルや巡航ミサイルでこの弾薬庫に攻撃を加えるのがより論理的な方法となる。弾薬庫を壊滅すれば、米空軍の戦闘能力を失わせることができるからである。もし、中国人民解放軍空軍の指令官が第二次世界大戦時の経験を十分に習得していたとすれば、軍はおそらく弾薬庫、貯油施設、嘉手納飛行場の滑走路を殲滅するまで、ミサイル攻撃や空襲を実施するだろう。
なぜなら、これにより、敵を一気に弱体化させることができるからである。戦闘機は、攻撃を避け、別の基地に移すことができる。しかし、この場合、燃料や弾薬、ミサイルに関しては、米軍は日本にその提供を要請することになるのである。日本の自衛隊の見地から言えば、空軍部隊の武器の整備において米軍の支援に期待するのは、より良い考えとは言えない。
日本にとっての最良の方法は、独自の弾薬庫を保有し、一度の攻撃で破壊されないよう、いくつもの航空基地や飛行場に分散させることだろう。