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「サハリン2」、事業主体をロシア企業へ:懸念する理由はあるのか?
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Sputnik 日本
... 2022年7月2日, Sputnik 日本
2022-07-02T16:30+0900
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ロシア政府側の動機ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのエネルギー問題専門家であるコンスタンチン・コルネーエフ氏は、今回の動き(事業主体の変更)は、現在の地政学的現実の下、ロシアにとって予測不能なものではあるものの、十分に論理的なものであると指摘している。サハリン2の天然ガスはすでに何年も先まで契約されている(シェルは2028年まで)ことから、新たな事業主体との条件はきわめて重要なものである。これはシェルが、日本や韓国といった主な購入者に、15〜20億立法メートルの天然ガスを供給しなければならなかったことを意味しているとコルネーエフ氏は付け加えている。日本にリスクはないが、危険性は現れてくるこの場合、ロシアは日本企業の権益を認めない可能性もある。しかし、その後、その権益は売却され、資金は損害分を差し引いて日本側に返還されることになる。これが、なぜ日本政府が今後の出方を決めるのに、ありとあらゆるリスクを調査、評価するため時間を取った理由の一つである。なぜ日本はシェルに比べ、決定を下すのが難しいのか?このように露骨な反露的な発言が、日本のビジネスにとって、また7年ぶりに節電を余儀なくされている日本国民にとって利益とならないことははっきりしている。これについて、コルネーエフ氏は次のように述べている。コルネーエフ氏曰く、後で、考えを改め、プロジェクトに復帰することはできなくなり、また別の有益な石油・ガスプロジェクトの「空席」を今後、模索していく必要に迫られるからである。日本政府指導部は、現在のところ、今後の方策については、日本のエネルギー関連企業などと協議するとしている。また岸田首相は、LNGの輸入禁止は日本の対露制裁の対象となっていないと指摘している。関連ニュース
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オピニオン, サハリン, 国際, ガス, エネルギー危機, 露日関係
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「サハリン2」、事業主体をロシア企業へ:懸念する理由はあるのか?
2022年7月2日, 16:30 (更新: 2022年7月4日, 22:16) ロシアは、極東サハリンで進められている石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」について、その事業主体を、新たに設立するロシア企業に変更すると決定した。このプロジェクトに出資している日本(三井物産が12.5%、三菱商事が10%)は、この決定の目的と結果について検証する意向である。しかし、日本政府は全体として、これによって、日本に損害をもたらされることはなく、また日本への液化天然ガス(LNG)の供給が即時停止されるようなこともないと確信している。とはいえ、この突然の事業主体変更にはどのような理由があるのだろうか。また日本がこのプロジェクトにおける権益を失う現実的な脅威にさらされるような要素はあるのだろうか。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのエネルギー問題専門家であるコンスタンチン・コルネーエフ氏は、今回の動き(事業主体の変更)は、現在の地政学的現実の下、ロシアにとって予測不能なものではあるものの、十分に論理的なものであると指摘している。
「これまでにシェルはエネルギー分野におけるロシアとのあらゆるビジネスを完全に停止すると発表しています。シェルの行動は、合意の「文言と精神」に反するものです。というのも、シェルのプロジェクトからの撤退は地政学的な理由のみを動機としているからです。そこで、ロシアが(外国企業の義務違反を理由に)自国の国益を守るために、特別な経済措置を講じても驚くべきことではありません。そして、日本企業にとっては本質的には何も変わりません。しかも日本側はこのプロジェクトを継続する意向を明らかにしています。そのために、日本企業に対しては、引き続き権利(合計22.5%)を保有するための申請を行うのに1ヶ月という期間が与えられているのです」
サハリン2の天然ガスはすでに何年も先まで契約されている(シェルは2028年まで)ことから、新たな事業主体との条件はきわめて重要なものである。
これはシェルが、日本や韓国といった主な購入者に、15〜20億立法メートルの天然ガスを供給しなければならなかったことを意味しているとコルネーエフ氏は付け加えている。
「このように、シェルは合意の精神に反するだけではなく、現在の(サハリン2のガス供給の)契約の転売をおこなっています。日本の企業もすでにガス供給の契約を結んでいます。従って、ロシアにとっては、日本企業がシェルと同じように『扉を閉めてしまう』よりも、プロジェクトを継続してくれた方が有益(両国の利益)なのです。つまり、日本の利益を損なうものは何もありません。ただ一つ、日本にとってあまり好ましくない点があるとしたら、それは、プロジェクトが国際的なものではなくなり、事実上、ロシアのものになるということです。サハリン・エナジーが保有するすべてが、新たに設立されるロシア企業を通じて、ロシアに譲渡されます。つまり、非友好国に対して、プロジェクトからの撤退を要請する権利がロシア側に残されるということです。これが日本にとっては唯一の『脅威』です。対露制裁を発動するという日本の『決意』が自国の経済における利益を損ねる可能性があるからです」
この場合、ロシアは日本企業の権益を認めない可能性もある。
しかし、その後、その権益は売却され、資金は損害分を差し引いて日本側に返還されることになる。
これが、なぜ日本政府が
今後の出方を決めるのに、ありとあらゆるリスクを調査、評価するため時間を取った理由の一つである。
なぜ日本はシェルに比べ、決定を下すのが難しいのか?
このように露骨な反露的な発言が、日本のビジネスにとって、また7年ぶりに節電を余儀なくされている日本国民にとって利益とならないことははっきりしている。
これについて、コルネーエフ氏は次のように述べている。
「英国のシェルにとって、『サハリン2』からの撤退は、日本のビジネスに比べれば、それほど深刻なものではありません。日本が地理的にロシアからとても近いことを考えれば、日本にとって、サハリンのプロジェクトはきわめて有益なものです。輸送もしやすく、費用も最低限で済むというのは、とても重要なことです。ちなみに、(ペルシャ湾岸から日本に輸送される)LNGと石油の値段の3分の1は輸送費です。また、シェルはさまざまな国に多くの株を持つ多国籍企業です。英国にとって、『サハリン2』からの撤退は原則的なものであり、英国政府はそれぞれの国に対して何らかの補償を行う可能性があります。しかし、日本にとって、何よりも重要なのは、エネルギー安全保障です。そして、(輸入全体の9%を占める)サハリンのプロジェクトがなければ、エネルギー安全保障が損なわれることは明白です。日本はより脆弱な国になるでしょう。というのも、それを代替するのは難しい、あるいは不可能に近いからです」
コルネーエフ氏曰く、後で、考えを改め、プロジェクトに復帰することはできなくなり、また別の有益な石油・ガスプロジェクトの「空席」を今後、模索していく必要に迫られるからである。
「ちなみに、『サハリン2』のシェルの権益(27.5%)は、おそらくインドのエネルギー関連コンソーシアム(企業連合)に売却されることになると言われています。インドは今、シェルに代わってこのプロジェクトに参加することに非常に関心を持っています。というのも、地政学的理由により、インドは流動性の高い資産を大幅な割引価格(事実上、市場価格以下)で買うことができるからです。中国は、西側からの二次制裁を恐れて、今のところ、慎重な姿勢を見せています。インドも慎重ではあるものの、中国よりは大胆に動くことができます。なぜならインドは、米国にとって、アジアにおけるきわめて重要な戦略的同盟国の一つだからです」
日本政府指導部は、現在のところ、今後の方策については、日本のエネルギー関連企業などと協議するとしている。また岸田首相は、LNGの輸入禁止は日本の対露制裁の対象となっていないと指摘している。