https://sputniknews.jp/20220704/11824325.html
国を左右する問題はそっちのけ 参院選の正しくない焦点
国を左右する問題はそっちのけ 参院選の正しくない焦点
Sputnik 日本
... 2022年7月4日, Sputnik 日本
2022-07-04T18:00+0900
2022-07-04T18:00+0900
2022-07-04T18:08+0900
オピニオン
国内
経済
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/244/27/2442714_0:110:3253:1939_1920x0_80_0_0_4baf0c58afaeff398673aed4e8f5464a.jpg
スプートニクは、今、その決定次第で日本の将来を左右しかねない少子化問題を、一体どんな問題が陰に追いやったのか、その解明を試みた。共同通信は、今年はマスコミの見出しを地政学上、経済上の危機感が占領してしまい、低迷し続ける出生率の問題が陰に追いやられてしまったと指摘している。不可抗力の影響出生率の問題は状況をさらに複雑化させかねない。経済学修士、モスクワ大学助教授、ロシア科学アカデミー極東支部、日本調査センターのヤナ・ミシェンコ上級研究員は、地政学的状況の他にも日本に影響を及ぼす重大な要因があるとして、次のように語っている。ロシア科学アカデミー、世界経済国際関係大学の日本経済政治グループを率いるヴィターリ・シヴィトコ氏も確かに問題の存在は認識するものの、日本社会の中には出生率の低さにパニックになるような(少なくとも緊急な対策が必要だという)姿勢は見られないとして、次のように語っている。それでも現在、取られている措置は少子化の状況改善には不十分だ。共同通信の報道によれば、経済協力開発機構(OECD)が家族向けの支援金のGDPに占める割合を調べたところ、2017年およびそれ以降のデータでは日本は約1.8%と、OECD平均の約2.3%を下回り、ランキング1位の仏フランス(3.6%)に大きく引き離されている。 OECDが調査対象とした37カ国の中で、2018年に教育機関に費やされたGDPでは、日本は最下位だった。シヴィトコ氏は、日本の国としての将来の戦略ビジョンでは、出生率の向上のための尽力拡大の必要性が強調されていると指摘する。このように、高齢者の介護負担を軽減は高齢者自身のQOL(生活の質)の向上につながり、それとともに世帯を持つ若い層の労働市場からの撤退を減らすことができる。一方で、野党の立憲民主党は(参議院選挙を目前に控え)、岸田内閣を批判し、少子化問題に支出を(GDPの3%まで)引き上げるよう要求している。武器を買う金はあるのに、子どもに払うお金はない?日本政府が防衛費増額のために、NATO加盟国のように最高でGDPの2%の資金を調達できることを考慮すると、この問題は、与党自民党の今後の支持率に何らかの影響を与える可能性がありそうだ。シヴィドコ氏は、日本政府は軍事予算の増大を説明する際に、常に、国家の安全保障の問題と「揺るぎない論拠」を持ち出すと指摘している。これに比べ、若い家庭への支出を増やすには、別の説得力が必要になる。実は、出生率の引き上げは日本の将来に関わる問題であり、これは安全保障の問題に劣らない。ところが与党は深刻な少子化問題の解決をなぜ当分先送りするのかという点に、おそらくまだ矛盾を感じていないのだろう。地政学的状況の悪化と中国抑止を背景に日本の防衛省と保守派は防衛費の増額を狙っているが、左派とポピュリストは社会支出の増額を主張している。現段階の政治討論では、シヴィトコ氏の観察では明らかに前者が勝っている。日本の少子化状況を深刻化させているもうひとつの要因は、今の日本の若者がますます欧米型の思考に傾いていることだ。彼らはまずはキャリア固めやスポーツなどを最優先にし、家庭を築くことを先送りにしている。こうした傾向はまだ日本社会の「道徳律」にはなっていないものの、それでも出生率を大きく引き下げている。そして、政府が子どもを持つ若い家庭へ実質的な支援と刺激策を行わなければ、少子化問題は解決できない。共同通信の報道にあるように、さらに逆説的なのは日本はいまだに子育て費用のほとんどは親が負担することを想定しており、政府の支出を比較的少なく抑えていることだ。だが日本政府には、家計の厳しさが増している、まさに今、子育て家庭への積極的な関与が求められている。
https://sputniknews.jp/20220504/41-11016069.html
https://sputniknews.jp/20220703/11811401.html
国内
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
2022
タチヤナ フロニ
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/163/20/1632034_147:0:2295:2147_100x100_80_0_0_ea6e927c9b90ffd7b42585392e2af064.jpg
タチヤナ フロニ
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/163/20/1632034_147:0:2295:2147_100x100_80_0_0_ea6e927c9b90ffd7b42585392e2af064.jpg
ニュース
jp_JP
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/244/27/2442714_260:0:2991:2048_1920x0_80_0_0_e4d0f5fb0ad5f005a0f1a0b2cf1edb90.jpgSputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
タチヤナ フロニ
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/163/20/1632034_147:0:2295:2147_100x100_80_0_0_ea6e927c9b90ffd7b42585392e2af064.jpg
オピニオン, 国内, 経済
国を左右する問題はそっちのけ 参院選の正しくない焦点
2022年7月4日, 18:00 (更新: 2022年7月4日, 18:08) 少子化は、欧州やアジアのほとんどの国で起きており、今や世界的な傾向となった。国家の弱体化につながるこの重大な問題は日本では数十年前から起きており、さらに深刻さを増している。共同通信は、こうした状況にもかかわらず、2022年の参議院選挙戦真っ只中の今、危機的問題であるはずの少子化が選挙の焦点から外れていると指摘している。
スプートニクは、今、その決定次第で日本の将来を左右しかねない少子化問題を、一体どんな問題が陰に追いやったのか、その解明を試みた。
共同通信は、今年はマスコミの見出しを地政学上、経済上の危機感が占領してしまい、低迷し続ける
出生率の問題が陰に追いやられてしまったと指摘している。
出生率の問題は状況をさらに複雑化させかねない。経済学修士、モスクワ大学助教授、ロシア科学アカデミー極東支部、日本調査センターのヤナ・ミシェンコ上級研究員は、地政学的状況の他にも日本に影響を及ぼす重大な要因があるとして、次のように語っている。
「ここ数年のコロナウイルスの感染拡大は、日本の少子化に最も危機的な影響を及ぼした。庶民の生活のプロセスや側面は多くが行き詰まり、出生率ももちろん影響を受けた。日本のコロナ規制は全てが解除されたわけではない。これを考えると、コロナの要因で今後も出生率が下がり続けるのは必至だ」
ロシア科学アカデミー、世界経済国際関係大学の日本経済政治グループを率いるヴィターリ・シヴィトコ氏も確かに問題の存在は認識するものの、日本社会の中には出生率の低さにパニックになるような(少なくとも緊急な対策が必要だという)姿勢は見られないとして、次のように語っている。
「(少子化を解決するための)具体的な施策は確かに日本政府によって進められている。母親がパートタイムに出るための時間を確保するため、就学前児童の保育園への通園の援助を実施している。また、労働市場をより柔軟化させるための施策も行われている。終日ではない稼働体制やリモートワークを導入し、それがその人の役職に影響を与えないようにしたり、会社の中で村八分にされないようにしたり、が一例だ。このような雇用形態は今の若い親の家庭にとっては大幅に収入減にもつながらず、子育てのための時間も失わずに済むという点で非常に意義があると思う」
それでも現在、取られている措置は少子化の状況改善には不十分だ。
共同通信の報道によれば、経済協力開発機構(OECD)が家族向けの支援金のGDPに占める割合を調べたところ、2017年およびそれ以降のデータでは日本は約1.8%と、OECD平均の約2.3%を下回り、ランキング1位の仏フランス(3.6%)に大きく引き離されている。 OECDが調査対象とした37カ国の中で、2018年に教育機関に費やされたGDPでは、日本は最下位だった。
シヴィトコ氏は、日本の国としての将来の戦略ビジョンでは、出生率の向上のための尽力拡大の必要性が強調されていると指摘する。
「自動化 と 遠隔サービス 利用の可能性に力点が置かれている。そうすることで若い人の家庭は、高齢の親族の手伝いや介護などにとられる時間を短縮することができるようになる。高齢者の介護問題は切実だからだ。なんらかのイノベーションにより、高齢者が自律的に生活できるようになれば、年齢が若い家族は解放され、その分の時間を子育てにあてることができる」
このように、高齢者の介護負担を軽減は高齢者自身の
QOL(生活の質)の向上につながり、それとともに世帯を持つ若い層の労働市場からの撤退を減らすことができる。
一方で、野党の立憲民主党は(参議院選挙を目前に控え)、岸田内閣を批判し、少子化問題に支出を(GDPの3%まで)引き上げるよう要求している。
日本政府が
防衛費増額のために、NATO加盟国のように最高でGDPの2%の資金を調達できることを考慮すると、この問題は、与党自民党の今後の支持率に何らかの影響を与える可能性がありそうだ。
シヴィドコ氏は、日本政府は軍事予算の増大を説明する際に、常に、国家の安全保障の問題と「揺るぎない論拠」を持ち出すと指摘している。
これに比べ、若い家庭への支出を増やすには、別の説得力が必要になる。
「日本は財政赤字で、(現在の基準でみても)国家債務は巨額だ(2022年5月現在で財政赤字は9.5兆ドル超。国内総生産の2.6倍を超える)。しかし、インフレと金利が低いうちは、国にとってはそれほど大きな負担ではない。ただし、物価や金利が急に上昇しだせば、これだけ高額な公的債務は国家の一大事になりうる。このため、財政赤字を拡大し、国の借金を増やすことで出生率など、諸問題の解決の支出を拡大する必要があるかどうかについては与野党間の激しい論争は避けられない」
実は、出生率の引き上げは日本の将来に関わる問題であり、これは安全保障の問題に劣らない。ところが与党は深刻な少子化問題の解決をなぜ当分先送りするのかという点に、おそらくまだ矛盾を感じていないのだろう。
地政学的状況の悪化と
中国抑止を背景に日本の防衛省と保守派は防衛費の増額を狙っているが、左派とポピュリストは社会支出の増額を主張している。現段階の政治討論では、シヴィトコ氏の観察では明らかに前者が勝っている。
日本の少子化状況を深刻化させているもうひとつの要因は、今の日本の若者がますます欧米型の思考に傾いていることだ。彼らはまずはキャリア固めやスポーツなどを最優先にし、家庭を築くことを先送りにしている。
こうした傾向はまだ日本社会の「道徳律」にはなっていないものの、それでも出生率を大きく引き下げている。そして、政府が子どもを持つ若い家庭へ実質的な支援と刺激策を行わなければ、少子化問題は解決できない。
共同通信の報道にあるように、さらに逆説的なのは日本はいまだに子育て費用のほとんどは親が負担することを想定しており、政府の支出を比較的少なく抑えていることだ。だが日本政府には、家計の厳しさが増している、まさに今、子育て家庭への積極的な関与が求められている。