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石炭 日本が浮揚し続ける助けに
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8月8日、国連のグテーレス事務総長が東京で記者会見し、日本の官民資本に石炭火力発電所へのファイナンスを見送るよう呼びかけた。また、科学技術力のある日本が気候変動対策の先頭に立ち、途上国の再生可能エネルギー利用拡大や気候変動への耐性強化にむけた支援を行うことにも期待を示した。 2022年8月12日, Sputnik 日本
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グテーレス事務総長は、2021年にも石炭火力発電所の廃止に向けた取り組みを強化するよう日本に呼びかけている。当時、2021年秋にグラスゴーで開催された国連気候変動会議では、温室効果ガスの排出削減対策をしていない石炭火力発電所の段階的利用停止と、地球温暖化の最大の要因とされる化石燃料への「非効率な」補助金の段階的停止をうたった声明が発表された。ヨーロッパを含む40カ国以上がこの声明を支持したが、日本は支持しなかった。多くの参加国は、石炭に対する要求が大幅に弱められたこと、つまり、段階的廃止から段階的利用停止になったことに不満さえ表明した。しかし、石炭火力発電の完全廃止を標榜する国でさえも、その決意を上回るような状況が生まれている。エネルギー危機を背景に「石炭ルネッサンス」が始まったのだ。コロナ禍から世界経済が回復し、国境が開かれて旅行が盛んになると、電力需要は急増した。しかし、EUをはじめとして、電力会社の発電は追いつかなかった。無風状態が続いたために風力発電所は停止し、欧州のガス貯蔵施設は充填が進まず、2021年秋にはガス価格が高騰し始めた。そのような状況下で、環境には良くないが安価な石炭が電力会社にとって唯一の燃料となったのである。その結果、気候アジェンダのグリーンを推進するトレンドに反して、2021年の石炭火力による発電量は世界全体で約9%増加したと国際エネルギー機関(IEA)は報告している。この傾向は、2022年にウクライナで戦闘が起こり、対ロシア制裁が発動されたことで、さらに強まった。その結果、EU諸国は一度廃止した石炭火力発電所の再稼働を余儀なくされ、アメリカでは石炭産業が10年ぶりに復活している。日本はどうかというと、今も石炭火力への依存度が高く、中国とインドに次いで世界3位の石炭輸入国であり、日本の発電量の約3割は石炭火力である。2022年8月現在、日本の石炭火力発電所は164基が稼働中、3基が廃止済、7基が休止中、1基がアセスメント中となっているが、新たに6基の建設が進んでいる。承知の通り、日本政府は2030年までに温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減する目標を掲げており、再生可能エネルギーの活用と産業部門で発生する二酸化炭素の再利用により、2,050年にカーボンニュートラルを達成することを目指している。政府の試算によると、この目標を期限内に達成するには、この分野への投資を2030年までに年間17兆円まで増加させる必要があるという。ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターの主任研究員のコンスタンチン・コルネーエフ氏(アジアのエネルギー政策研究専門)はスプートニクのインタビューで 「石炭火力発電は、2011年に原子力発電所がすべて停止した際のエネルギー危機から日本を救いました。さらに、現在のこの激動の時代にも、日本が浮揚し続ける助けとなっています」と話す。EUによるロシア産石炭の禁輸措置は8月10日に発効する。エネルギー事情が厳しくとも、すべてのEU加盟国がこれを遵守しなければならない。日本もロシアからの購入停止を発表しているが、時期は明らかにしていない。ロシア税関によると、2021年のロシアの石炭輸出量は2億2330万トン。最大の輸入国は、中国(5370万トン)、日本(2190万トン)、韓国(2140万トン)だった。
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石炭 日本が浮揚し続ける助けに
2022年8月12日, 20:00 (更新: 2022年8月12日, 22:56) 8月8日、国連のグテーレス事務総長が東京で記者会見し、日本の官民資本に石炭火力発電所へのファイナンスを見送るよう呼びかけた。また、科学技術力のある日本が気候変動対策の先頭に立ち、途上国の再生可能エネルギー利用拡大や気候変動への耐性強化にむけた支援を行うことにも期待を示した。
グテーレス事務総長は、2021年にも
石炭火力発電所の廃止に向けた取り組みを強化するよう日本に呼びかけている。
当時、2021年秋にグラスゴーで開催された国連気候変動会議では、温室効果ガスの排出削減対策をしていない石炭火力発電所の
段階的利用停止と、地球温暖化の最大の要因とされる化石燃料への「非効率な」補助金の段階的停止をうたった声明が発表された。ヨーロッパを含む40カ国以上がこの声明を支持したが、日本は支持しなかった。多くの参加国は、石炭に対する要求が大幅に弱められたこと、つまり、段階的廃止から段階的利用停止になったことに不満さえ表明した。
しかし、石炭火力発電の完全廃止を標榜する国でさえも、その決意を上回るような状況が生まれている。エネルギー危機を背景に「
石炭ルネッサンス」が始まったのだ。コロナ禍から世界経済が回復し、国境が開かれて旅行が盛んになると、電力需要は急増した。しかし、EUをはじめとして、電力会社の発電は追いつかなかった。無風状態が続いたために風力発電所は停止し、欧州のガス貯蔵施設は充填が進まず、2021年秋にはガス価格が高騰し始めた。そのような状況下で、環境には良くないが安価な石炭が電力会社にとって唯一の燃料となったのである。その結果、気候アジェンダのグリーンを推進するトレンドに反して、2021年の石炭火力による発電量は世界全体で約9%増加したと国際エネルギー機関(IEA)は報告している。
この傾向は、2022年にウクライナで戦闘が起こり、対ロシア制裁が発動されたことで、さらに強まった。その結果、EU諸国は一度廃止した
石炭火力発電所の再稼働を余儀なくされ、アメリカでは石炭産業が10年ぶりに復活している。
日本はどうかというと、今も石炭火力への依存度が高く、中国とインドに次いで世界3位の
石炭輸入国であり、日本の発電量の約3割は石炭火力である。2022年8月現在、日本の石炭火力発電所は164基が稼働中、3基が廃止済、7基が休止中、1基がアセスメント中となっているが、新たに6基の建設が進んでいる。
承知の通り、日本政府は2030年までに
温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減する目標を掲げており、再生可能エネルギーの活用と産業部門で発生する二酸化炭素の再利用により、2,050年にカーボンニュートラルを達成することを目指している。政府の試算によると、この目標を期限内に達成するには、この分野への投資を2030年までに年間17兆円まで増加させる必要があるという。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターの主任研究員のコンスタンチン・コルネーエフ氏(アジアのエネルギー政策研究専門)はスプートニクのインタビューで 「石炭火力発電は、2011年に原子力発電所がすべて停止した際のエネルギー危機から日本を救いました。さらに、現在のこの激動の時代にも、日本が浮揚し続ける助けとなっています」と話す。
コルネエフ氏:「2050年まではまだまだ時間があります。日本はその時間を無駄にはしていません。燃やしてもCO2を排出しない水素の製造で日本は世界をリードしています。同時に、排出されたCO2を回収・貯蔵するための開発も進んでいます。また、石炭火力発電所の発電効率向上と排出削減のための近代化も急速に進んでいます。石炭火力発電所でアンモニアを燃焼させる実証プロジェクトも進行中です。アンモニアは二酸化炭素を排出しないので、温室効果ガスの排出を抑えられるというメリットがあります。もちろん、再エネの拡大も進めていますが、風力発電所を設置できる土地が少ないので、沖合に設置しようとしています。とはいえ、日本近海では漁業が盛んなため、それが足かせになっているのは事実です。しかし、日本には原子力発電所という大きなポテンシャルがあり、ゆっくりではあるものの、新しい安全基準への転換が進み、徐々に稼働させることができるようになっています。要するに、あらゆる方向で取り組みが進められているのです。しかし、今後10年から15年の間に日本が石炭を手放すことはないと思っています。石炭は、国際市場も石油やガスのように複雑ではなく、供給者も多く、貯蔵も容易で、価格も最近でこそ上がっているものの、長期的に見れば他の燃料より安いため、安定した電力源と位置づけられています...」
EUによるロシア産石炭の禁輸措置は8月10日に発効する。エネルギー事情が厳しくとも、すべてのEU加盟国がこれを遵守しなければならない。日本もロシアからの購入停止を発表しているが、時期は明らかにしていない。ロシア税関によると、2021年のロシアの石炭輸出量は2億2330万トン。最大の輸入国は、中国(5370万トン)、日本(2190万トン)、韓国(2140万トン)だった。