リズ・トラス氏 3人目の英国女性首相に就任へ

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ダウニング街10番地 - Sputnik 日本, 1920, 06.09.2022
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英国の与党・保守党は5日、党首選でリズ・トラス外相が勝利し、首相に就任すると発表した。トラス氏は、マーガレット・サッチャー氏(在任期間1979〜1990年)、テリーザ・メイ氏(2016〜2019年)に続き、英国史上3人目の女性の保守党党首・首相となる。トラス氏は6日にエリザベス2世に謁見後、正式に首相に就任する。

マーガレット・サッチャー

© Sputnik / Sergei Guneyev英国のマーガレット・サッチャー元首相
英国のマーガレット・サッチャー元首相 - Sputnik 日本, 1920, 06.09.2022
英国のマーガレット・サッチャー元首相
1979年5月4日、マーガレット・サッチャー氏は英国で女性として初めて首相に就任した。同氏は首相時代に総選挙で3度勝利し、英国の政治家として初めて11年間もの長期政権を維持した。
サッチャー氏が首相に就任した当時のインフレ率は18%、ポンドは下落し、英国はストライキで揺れ、失業者数は150万人超と、国の経済が衰退していた。同氏はインフレを食い止め、財政支出を削減するために、国有企業の大規模な民営化を実施すると発表した。市場メカニズムを導入することで英国経済は改善したものの、社会の矛盾や不平等が大きくなっていった。
サッチャー氏は、「鉄の女」として歴史に名を残した。敵対勢力と激しく戦い、アルゼンチンとの「小さな勝ち戦」を演出し、ソ連の指導者ミハイ ル・ゴルバチョフとはお互いに理解し合った。サッチャー氏は、多くの保 守党党員とは異なり、欧州連合(EU)を英国の主権に対する脅威と捉え、ヨーロッパ統合に反対した。英国ではサッチャー氏のことを「国家の母」と呼ぶ人もいれば、「魔女」と表現する人もいる。サッチャー氏に対する考え方は、今日でも賛否両論が存在する。

テリーザ・メイ

© AFP 2023 / Jack Taylorテリーザ・メイ氏
Премьер-министр Великобритании Тереза Мэй - Sputnik 日本, 1920, 06.09.2022
テリーザ・メイ氏 【アーカイブ写真】
テリーザ・メイ氏は、1997年に保守党から庶民院(下院)に初当選し、政治家としてのキャリアをスタートさせた。キャメロン内閣(2010〜2016年)では、内務相、女性・平等担当大臣と2つの省庁のトップに任命された。2016年、英国のEU離脱の是非を問う国民投票で、英国人の過半数がEU離脱に投票したことを受け、EU残留を強く支持していたキャメロン氏は辞任に追い込まれた。メイ氏はキャメロン元首相の退陣後に保守党党首に選出され、政権を率いていった。
メイ氏の首相としての主な仕事は、英国のEU離脱(ブレクジット)交渉の 準備に取りかかることだった。しかし、メイ政権とEUとの交渉で得られた 内容は、野党と保守党の両方から批判を浴びることとなった。閣僚の支持 を失ったメイ氏は2019年に辞任し、首相の座をボリス・ジョンソン氏に譲 った。
メイ氏が首相を務めていた時代、英国で大きな社会的な激変は起こらな かった。しかし、メイ氏は、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のセルゲイ・スクリパリ元大佐の毒殺事件に関してロシアに向けて偽りの非難を行 った。これにより対露制裁を初めて発動し、露英関係を劇的に悪化させた。

リズ・トラス

リズ・トラス氏は大学生時代、学内の自由民主党のグループを率い、政治に深く関わっていた。同氏は2度の落選を経て、2010年に保守党から国会議員に当選した。2012年、キャメロン元首相はトラス氏を教育相の政務次官に任命。その2年後の2014年、トラス氏はキャメロン政権で環境・食料・農村地域大臣に就任し、2016年には第1次テリーザ・メイ内閣で司法大臣兼大法官に任命された。
トラス氏はテリーザ・メイ政権を生き延びた。トラス氏は2019年、ボリス・ジョンソン政権で国際貿易大臣と通商会議議長に就任し、その後、女性・平等担当大臣も兼任した。トラス氏の出世スピードは止まることなく、2021年には外務・英連邦・開発大臣に就任。そして2022年、ジョンソン氏の首相辞任を受け、トラス氏はついに、求めていた目標に到達することができた。トラス氏は今、英国首相の座についたのだ。
現在の英国の社会・経済状況には多くの不満が存在する状況だが、トラス氏は経済の再建に「すぐに取り掛かる」と約束し、首相就任の初日から「 減税を始める」と表明している。外交政策においては、ロシアがウクライナ紛争に負けるようにすると宣言している。そのためトラス氏は、ウクライナ政府への支援を倍増させる意向を示している。
英国の新首相にトラス氏が決定 - Sputnik 日本, 1920, 05.09.2022
英国の新首相にトラス氏が決定

「ぼんやりとした肖像」

ロシア科学アカデミー欧州研究所の所長で、ロシア科学アカデミーの準会員、ロシア科学アカデミーのアレクセイ・グロムイコ教授は、リズ・トラス氏が英国の首相に就任したこと自体、予想外の出来事だと指摘している。
グロムイコ氏は、「ジョンソン氏は長年、英国の政治においてお偉方として君臨し、首相になることへの野心を隠さずにきたが、トラス氏は違う。トラス氏の場合、自身の地位やキャリア形成という点では、歴代の英国首相と比較して突出しているわけではない」と述べている。
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