「戦略的曖昧さ」の台湾政策を放棄 米国の政治にどんな変化が? 中国人専門家

© AP Photo / Jon Elswick「戦略的曖昧さ」の台湾政策を放棄 米国の政治にどんな変化が? 中国人専門家
「戦略的曖昧さ」の台湾政策を放棄 米国の政治にどんな変化が? 中国人専門家 - Sputnik 日本, 1920, 21.09.2022
バイデン米大統領は、台湾が中国から攻撃を受けた場合、米軍は台湾を防衛すると明言した。米政権は長年にわたり、台湾には武器供給を約束しつつも、戦略的曖昧な台湾政策を維持してきたが、今回のこの声明から米国の政策に抜本的な変化が生じたということができるだろうか?
米CBS テレビの「60分」の司会者はバイデン大統領に、中国大陸部が台湾に侵攻した場合、米兵はウクライナのケースとは異なり、軍事行為に参加するのかという問いを直接投げかけた。これにバイデン大統領はその通りだと答えた
バイデン大統領は台湾については過去にも、米国が長年表してきた公式見解とは異なる発言をしている。例えば5月には、中国が台湾に侵攻した場合、米国も紛争に参加すると発言している。しかし、その後、米政府高官もバイデン氏本人も、米国の台湾政策に変更はなく、「一つの中国」政策を堅持していると断言している。
実際に米国政府内で何が起きているかを理解するためには、米国の現在の内政状況を考慮せねばならない。議会選挙は11月に迫っている。バイデン氏率いる民主党は、記録的なインフレ、コロナウイルスの大流行、経済危機で国が直面した社会経済的困難のために、ただでさえ人気を失いつつある。バイデン氏にとっては、自分の選んだ路線が正しいことを示し、政治的なポイントを稼ぐため、何かにしがみつくことが重要なのだが、ここで中国に対して強硬な姿勢をとれば、絶対に負けることはない。この問題に関しては、米国では珍しく党派を超えたコンセンサスが形成されているからだ。
アメリカ合衆国議会議事堂 - Sputnik 日本, 1920, 04.08.2022
米国、NATO以外の主要な同盟国の地位を台湾に許与することを提案
この意味で、バイデン氏の発言は、単に「反中国のタカ派」へのリップサービスととれる。吉林大学北東アジア研究所の副主任を務める、国際政治研究所の巴殿君所長はスプートニクからの取材に、米国の対台湾政策の劇的な変化を示唆するものと見なすべきではないとして次のように語っている。

「実際にはバイデン氏がこうした声明を表したのは、今回が初めてではない。バイデン氏は米国の首脳とはいえ、その演説を米国の政策が劇的に変化したことを示す証拠と受け取れるわけではないと思う。もし米議会で『対台湾政策法案」のような台湾関連の法案が可決される事態となれば、それは戦略的なシグナルとして、つまり、『一つの中国』の原則が確かに変化して、台湾問題が新しい局面を迎えていると判断することができるだろう。しかし、国家元首という特別な地位にあるバイデン氏がこのような挑発的な発言をするのは『一つの中国』の原則に挑戦状をたたきつけるも等しい。総じて、トランプ政権にしろバイデン政権にしろ、米国は関連法案を多数起草しており、そのどれもが『一つの中国』の原則を絶えず希釈している。今の段階ではこうした措置は、これまで達した合意の主幹に触れるものではないが、中国としては依然として警戒を怠るわけにはいかない。さらに、アメリカの対台湾政策がより明確になってきており、今までの戦略的な曖昧さは次第に退きつつあると結論づけることができる。バイデン氏の度重なる発言は、本質的には(警戒を怠るな)というシグナルをこちらに送っている」

米議会上院 - Sputnik 日本, 1920, 17.09.2022
台湾の主権を主張するようになった米国=米上院は台湾問題についてどのような政策転換を行ったのか?
共和党のリンゼー・グラム上院議員と民主党のボブ・メネンデス上院議員が提出したいわゆる「台湾政策法案2022」は、インド太平洋経済枠組み(IPEF)をはじめとする国際協定や国際組織における台湾の主権を推し進める法案だ。この法案は、米国政府は台湾の人々の利益の正当な代表として「台湾の民主的政府」と協力しなければならないという構想を掲げている。この法律は台湾への武器供給を米国の義務と規定するだけでなく、その供給のための融資までも促進している。米上院の外交委員会は先週、この法案を承認。この後はさらにフォーマットを拡大して投票が行われる。
バイデン政権はこれまでは、少なくとも原案の段階では、法案は、中国には「一つの中国」政策の否定と受け取られかねないとして批判的な態度をとってきた。バイデン氏は今回のCBSテレビからのインタビューで、米国はすべての義務に取り組んでいると再度強調した。それでも巴殿君氏は、台湾に関するこうした挑発的な発言はただでさえ不安定な中米関係を深刻に悪化させることになると指摘する。発言は台湾の分離主義勢力に誤ったシグナルを送ることになるからだ。

「第一に、これは二国間関係に大きなダメージを与える。それだけではない。台湾海峡を挟んだ両岸の関係も衝撃を受けることになる。今、両岸の間の緊張は非常に高まっている。米国の言動は台湾の分離主義勢力に誤ったシグナルを送り、無謀な行動を起こさせるものだ。私は、米国の計画はウクライナで起こしたことと同じことを台湾で再現することだと思う。今、米台関係の修正法案、台湾の国際機関への加盟の奨励が議論されているが、その目的は全て緊張を引き起こすことにある。

第二に、台湾の分離主義勢力は国外からの支援を模索しており、いわゆる普遍的価値、人権、民主主義の旗印を掲げて、欧米諸国での共鳴と支持を求め、現時点で一定の成果を得ている。 日本や欧州諸国は台湾を支持している。このような条件下では、中国と欧米諸国間の政治・経済・安全保障分野の関係に影響が及ぶのは避けられない。

第三に、台湾海峡は地政学的に非常に重要なポイントであり、日本などはこれを一種の係留(アンカー)ラインとみなしているほどだ。しかも、かつての日本の植民地支配の歴史も忘れてはならない。これらはすべて台湾の分離主義者の共鳴を誘う。外部からの挑発で分離主義者らが無謀な行動を起こした場合、地域の安全保障はさらに複雑化する恐れがある」

8月にナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問し、物議を醸した後、中国は台湾海峡で大規模な軍事演習を展開した。
中国の国旗 - Sputnik 日本, 1920, 05.08.2022
中国、ペロシ氏訪台に対抗措置 米国との8項目の協力停止
欧米のアナリストの多くは、中国がこうすることで一方的に現状変更を行っていると指摘している。だが実際のところは、米国の第三者による訪台に見せた中国の対応は極めて自制のきいたものだった。ところが、米国の政治家らによる挑発は徐々に状況を揺るがしており、無秩序に緊張が高まるリスクを生んでいる。一番危険なのは、米国の政治家らが対台湾政策の変更を法制化しようとすることにある。そうなれば、中国としては強硬な反撃に出ざるを得なくなり、現在のアジアの安全保障構造全体が危うくなってしまう。
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