南シナ海での米国の訓練に反対するフィリピンの漁業従事者たち

© AP Photo / Bullit Marquezフィリピン軍
フィリピン軍 - Sputnik 日本, 1920, 10.10.2022
フィリピンの主要島ルソンで、フィリピン軍と米国軍の合同演習が行われている。この軍事演習は、地元住民や政府の間で矛盾した反応を引き起こしていると指摘するのは、「スプートニク」の評論員ピョートル・ツヴェトフ氏である。

南シナ海の余計者

フィリピン軍と米軍の兵士2500人以上が参加する比米合同演習「カマンダグ」は、フィリピン人たちが西フィリピン海と呼ぶ南シナ海沿岸で行われている。
10月3日から14日にかけて、両軍兵士らは、敵の侵攻に備え、防衛の訓練を行なっている。この敵というのはおそらく中国を想定したものと思われる。
しかしながら、地元住民たち、主に漁業従事者らは、沿岸に新たなプレーヤー―それも軍の装備をした者が現れたことに反発している。
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漁業組合のボビー・ロルダン副会長は、「フィリピン海西部の我々の領海はすでに中国に軍事化されてしまっています。そこに、フィリピンの漁業関係者たちに安全に対するまた新たな脅威となる海上での作戦を行うもう一つの超大国が現れたりすれば、我々はもうお終いです」と憤りを見せている。
またロルダン氏は、我々が安心して漁ができるよう、漁場を非軍事化するよう呼びかけた。

米国との良好な関係構築を目指すマルコス・ジュニア大統領

現在行われている演習は、フィリピンが外交政策の方向性を転換し、フィリピンにとって米国が優先的なパートナーとなりつつあることを改めて示すものである。フェルディナンド・マルコス大統領は、米国との関係に対し、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領とはまったく異なるアプローチを見せている。前大統領は米国を一度も訪問せず、米国の大統領と一度も会談を行わなかった。一方の6月に大統領に就任したマルコス大統領は、9月には米国を訪問し、ジョー・バイデン大統領と会見を実施した。米大統領との会談の席で、マルコス大統領は、「我々は米国のパートナーであり、米国の同盟国であり、我々は米国の友人である」と明言した。
またドゥテルテ前大統領時代には、今回のような大規模な演習は行われなかったことを考えても、マルコス・ジュニア大統領が米国との軍事同盟を目指していることは明らかである。

中国との関係は変化するのか?

しかも、フィリピンの新大統領は、中国との協力をやめるつもりはないように思われる。
とりわけ、マルコス大統領は経済協力、そして新型コロナウイルスによるパンデミックの影響を克服していく上での中国の援助に関心を持っている。
ドゥテルテ前大統領時代、中国はフィリピンでのプロジェクトに100億ドルのプロジェクトを約束した。実際に一部が投資されており、この路線は継続することができるだろう。
フィリピンと中国は、南シナ海の大陸棚での油田の共同開発について、合意に達することはできなかったが、このテーマでの協議の継続には同意した。
領土問題について言えば、マルコス・ジュニア大統領は次のような立場をとっている。それは、「東南アジアの国として、我々は、フィリピンの領海に含まれる南シナ海の一部を自国のものと主張している中国との間で妥協点を見出そうとしている」というものである。
さらに大統領は、中国とのあらゆる合意はフィリピンの法に反するものではないと強調している。つまり、フィリピンの新大統領は、中国と米国との間でバランスの取れた政策をとっていくかまえなのである。何より、まず、大統領は、経済問題、人道問題を解決し、次に国家の防衛と安全を保障していくつもりである。つまり、米軍が参加する軍事演習の実施を止めることはないのである。漁業従事者の意見は、聞き入れてはもらえないままなのである。これが南シナ海の領土問題の解決にどのような影響を与えるのかは、時が示すことになるだろう。
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