【視点】ポーランドに落下したミサイルの一件は、ロシアを挑発する試み NATOの次の一手は?

© AP Photo / Wojtek Radwanski, Damien Simonartポーランド東部に落下したミサイル
ポーランド東部に落下したミサイル - Sputnik 日本, 1920, 19.11.2022
ポーランド東部に落下したミサイルに関する詳細を把握した同国のマテウシュ・モラヴィエツキ首相は、ポーランド政府は北大西洋条約機構(NATO)の第4条は適用しないと発表した。これで、この事件に対する反応は変わるのだろうか?一方で、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、ミサイル落下はこれまで通りロシアに責任があると述べた。ポーランドに落下したミサイルがウクライナによって発射されたことを示すすべての事実を踏まえて、ドゥダ大統領の発言はどれほど的を得たものなのだろうか?西側諸国は「エスカレートは望まない」という発言を機械的に繰り返しているが、この言葉とどう折り合いをつけるのだろうか?
ポーランド・メディアは15日、2発の「ミサイル」がポーランド東部ルブリン県に着弾したと報じた。これにより民間人、2人の死亡が明らかになっている。ルブリン県はウクライナとベラルーシの国境と接している。ミサイル落下についてウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアを非難し、欧米に「行動を開始する」ように求めた。
しかし、ドゥダ大統領は16日、ポーランド当局は落下したミサイルはウクライナの防空システムによるものと推測していると明らかにした。ロシア外務省は、この事件に関するウクライナ政府の発言は「重大な挑発行為」であるとの見方を示した。
西側はウクライナ軍の防空ミサイルがポーランド東部に落下したと指摘、ゼレンスキー大統領は関与を否定 - Sputnik 日本, 1920, 17.11.2022
西側はウクライナ軍の防空ミサイルがポーランド東部に落下したと指摘、ゼレンスキー大統領は関与を否定
スプートニクの取材に応じた軍事アナリストで米海兵隊の元情報将校スコット・リッター氏によると、この出来事は、(エスカレーションを求めていないというNATOの主張の)信憑性を損ねたという。
「これらの報告が最初に出た際、断片的で不完全なデータに基づいて、ポーランドとバルト諸国はNATOに第5条と第4条の手続きを検討してほしいと叫び、事実上NATOがウクライナ紛争に干渉することを要求していた」
リッター氏は、ポーランドとバルト諸国は、紛争をエスカレートさせるためにどんな口実でも使う用意ができているとみている。
「もちろん、彼らは引き下がらざるを得ない。なぜなら、これらはロシアのミサイルではなく、ウクライナのミサイルであるという明白な証拠があるからだ。このような経験から、彼らはこの危機をエスカレートさせるためならどんな口実でも探していることが分かる。実際、ポーランドを攻撃したミサイルは、ウクライナの防空ミサイル『S-300』であると認められたにもかかわらず、ロシアのウクライナへの軍事介入がなければこれらのミサイルは発射されなかったと主張するNATO加盟国は、ロシアに責任を転嫁しているようにみえる。それゆえに、ロシアには責任があるということなのだ」

ロシアはこれにどう反応するべきなのだろうか?(西側の)メディアはどのように報道しているのだろうか?

「ロシアを代弁することはできないが、ロシアは今後もウクライナでの軍事目標を淡々と実行し続け、ロシア軍当局の意思決定は、西側メディアで何が起こっても変わることはないだろうと感じている。ロシアは、ウクライナのミサイルが発射された際に攻撃を受けた施設は正当な軍事目標であり、今後も攻撃し続けると言っている。だから、ロシアが何かを変えるとは思えない」
リッター氏によると、欧米メディアの名誉回復は、もはや不可能なのだそうだ。ミサイルの報道が出るやいなや、欧米のメディアはすぐに、ポーランドで爆発したのはロシアのミサイルであるという説を流布し始めたのだ。
「ロシアの軍事機器に詳しい専門家なら、破片を見ただけで、これがウクライナのミサイル『S-300』であることが分かったはずだ。これはメディアが報道すべきことであり、報道できたはずなのに、ロシアを非難する誇大広告に巻き込まれたのだ。メディアは文字通りポーランドやバルト三国の当局と協力して、NATO介入のための事例を作ろうとしていたのだ。メディアを更生させることはできない」
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このミサイル事件は、ウクライナ危機をめぐる情勢にどのような影響を与えるのだろうか?

リッター氏によれば、この話題は数週間もすれば忘れ去られ、西側諸国はこの事件を信じられないほど大きく膨らませたという。
「NATOは、もちろん会議を開くだろう。防空を強化するという議論も出てくるかもしれないが、最終的にはロシアには罪はなく、NATOが通常行っていることを超えていき、いずれにしてもロシアに責任があるということになる。この骨には肉はついていない。いつもの容疑者たちが少しずつその骨をかじるようなことが長く続くだろうが、結局のところ、今後数週間のうちにウクライナでこの話題を新聞の一面から追い出すようなことが起こるのではないかと思う」

では、NATOは次に何をするのだろうか?

リッター氏は、NATOはウクライナに数十億ドル規模の軍事支援を継続し、おそらくは防空能力に重点を置くとみている。
「今回のミサイル事件が政治的な注目を集めたことを考えると、ウクライナとポーランドの防空能力を高めることにさらなる注意が払われるかもしれない。しかし、全体的に見て、NATOの対ウクライナ政策は変わらないだろう」
NATOのストルテンベルグ事務総長が述べたように、ウクライナとロシアの紛争に外交面での解決策はなく、解決策は戦場で決まる。だからNATOは資金援助や軍事支援を行い、ウクライナの勝利のために全力を尽くすことになる。
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誰がなぜ、それを必要とするのか?

これよりも前、リッター氏はこのミサイル事件はロシアを挑発するための真の試みであるとの考えを示した。ウクライナで動いている軌道が変わることがなければ、2023年にロシアがウクライナで勝利することにつながるというのが彼の見解だ。そしてNATOは、今後の展開について心配し始めているという。
「私は、ウクライナの立場が弱くなり、ロシアの立場が強くなっている現実を見て、NATOの多くの加盟国は、今後どうなるのか不安に感じていると思う。全てがこのままであれば、ウクライナで動いているように見える軌道は、来年のある時点でロシアが完全に勝利する軌道なのだ。このため、古くからのNATO加盟国が外交面での解決について語り、ウクライナに圧力をかけ、軍事的敗北の必然性を避け、見るからに決定的な場面になる前に外交的解決を図ろうとしている。しかし、これはポーランドやバルト諸国など、ロシアの勝利によってNATOがさらに弱体化することを恐れる国々にとっては不満の残る結果となる。そして、現時点では、NATOをウクライナに深く関与させることがこれらの国々の利益となる。彼らはNATOが2023年にこの件(ウクライナ問題)を放棄することがないように用心している。だから、ポーランドとバルト諸国は、他のNATO加盟国が外交的な提案を求めているのに、ウクライナに巻き込んでNATOがエスカレートする環境を作ろうとする、極めて無責任で極めて危険な行動をしていると私は見ている」
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