【解説】中国から東京へ逃亡? アリババ創業者ジャック・マー氏は今、いずこ? なぜ中国は彼を追い出したのか?

© AP Photo / Kin Cheungジャック・マー氏
ジャック・マー氏 - Sputnik 日本, 1920, 01.12.2022
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アリババグループ創業者で2年前、中国当局の金融政策を批判した後、長期にわたって行方知れずになっていた中国の大富豪、ジャック・マー(馬雲)氏の居所が今、にわかに注目を集めている。その理由は、マー氏がここ半年間、東京に滞在し、温泉巡りをし、民間のクラブに顔を出し、現代アートの収集を行っていると報じられたからだ。

今、マー氏は日本にいる

フィナンシャルタイムズ紙の報道によれば、マー氏は東京に移住後、自分の社会活動の範囲を最小化した。家族と温泉につかり、山岳リゾートにいそしんでいるという。
最近は東京・銀座と皇居を臨む丸の内にある2つの会員制クラブに出現したと報じられた。マー氏は自分の取り巻きのうち東京ではコックとボディガードのみを連れている。また消息筋の情報では水彩画にいそしみ、現代アート作品を買いあさっているという。

なぜ日本を選んだのか?

ネットユーザーらの中には、なぜアリババの創設者たる人物が欧州や米国、シンガポールではなく、日本を選んだのか訝しいという意見が聞かれる。
あるユーザーは、マー氏はおそらく「積み替え地点」として日本を選んだにすぎず、日本がきな臭くなってきたら次の渡航先へ移れるよう、この間に準備をしているのだろうと推測している。
「中国政府の目から逃れ、身の安全を図るうえでは、日本よりもふさわしい国がいくつもあるだろう。 日本では中国の手先がウロウロしているはず」
ジャック・マー氏(アーカイブ写真) - Sputnik 日本, 1920, 24.05.2021
ジャック・マー氏 自分が創設のビジネススクール会長の座を追われる 中国政府の執拗な圧力
こうした一方で、中国共産党の統制に疲れた企業家にはどんどん日本に来てもらおうと言うユーザーたちもいる。習国家主席の体制は企業に活発に干渉するため、経済的繁栄は達成できないと言うのがその理由だ。
日本は他の国と比べるとパパラッチもそう多くなく、外国人有名人がひっそり暮らすには最適という意見も挙げられている。

マー氏はいつ中国を出たのか?

フィナンシャルタイムズ紙は、中国が自国のテクノロジー企業や有力な企業家に対して圧力をかけ、コロナ対策を強化する中で、マー氏はほとんど注目を集めなくなったと書いている。マー氏の姿は中国の外で幾度か目撃されていた。
例えば、フィナンシャルタイムズ紙。ウォールストリートジャーナル紙は、マー氏は2020年に当局と対立して中国を離れ、欧州に行ったと報じていた。これはマー氏が、自分のビジネス帝国が当局の圧力にさらされてから初めて出かけた旅行だった。
ウォールストリートジャーナル紙は、マー氏の海外滞在は同氏が安全な状態にあり、中国当局が同氏の出国を禁じていない証拠だと報じている。
マー氏の姿は2021年にはスペインのマヨルカ島で、2022年の7月にはオランダの大学で目撃されている。
ジャック・マー氏 - Sputnik 日本, 1920, 21.10.2021
アリババのジャック・マー氏 中国当局との軋轢後、初の外遊

中国当局との軋轢の原因

2020年末、マー氏は中国政府と国営銀行がイノベーションを封じているとこれを痛烈に非難した。マー氏は金融監査システムの改革を呼びかけ、システムの変更で経済成長が促されると説いた。
この後、マー氏の会社は問題を抱えるようになる。中国当局は金融企業「アントグループ」の株式公開(IPO)を突然取り消し、アリババグループに対する独占禁止法違反疑いの捜査を開始した。その結果、見つかった違反に対して、史上かつてない罰金額が科された。
AP通信によると、中国の市場監視局は、アリババがパートナー会社に対し、アリババに利益になるように、ライバル会社との協力を拒否するよう強要する政策を進めていると疑いをかけていた。
中国当局との関係でもうひとつの躓きの石となったのが、マー氏の開いたビジネススクールのフーパン大学だった。2015年に開校の同大学は中国ではすでに名門校。フィナンシャルタイムズ紙は、中国当局が震撼したのはマー氏率いるこの高等専門学校がエリートの集まるソサエティとなり、中国政府にとって危険な存在となりつつあることだった。
「中国政府は、フーパン大学には、中国人の一流起業家らの仕事を組織し、中国共産党の目標ではなく、マー氏の据える目標を達成するための潜在力があると考えている。これはあってはならないことだ」フィナンシャルタイムズ紙はこう書いている。
情報筋は、「当局は、フーパン大学には、共産党ではなく、ジャック・マー氏が設定した目標達成のために将来の中国企業家が活動を組織する存在的な力があると見ている。これを容認することは許されない」と強調した。
こうした当局からの圧力の挙句、マー氏はフーパン大学の会長の座を降りざるをえなくなった。
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