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【解説】アジア太平洋地域のリーダー争いは予測できない?
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... 2022年12月26日, Sputnik 日本
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成長の速度と経験、どちらに軍配が上がるのか軍事専門家で防空部隊博物館の館長を務めるユーリー・クヌトフ氏は、中国は実際、信じられないようなテンポで能力を強めつつあると指摘する。一方、中国は現在、台湾の中国併合に大きな関心を持っている。そこで、その併合の実現については、軍事的、また非軍事的なさまざまな方法を模索している。中国が「台湾問題」を平和的に解決することを望んでいることは間違いないが、米国が地域における軍事力を増強していることから、軍事的なシナリオが選択される可能性が高まることは不可避である。極超音速空母「キラー」ユーリー・クヌトフ氏は、「米国政府は、中国がすでに極超音速兵器―いわゆる空母キラー(ロシアの極超音速巡航ミサイル、ツィルコンに類似)をパレードで披露したという事実に特に注目している」と指摘する。そこで、もし中国の主張がはったりでなければ(そしてその極超音速兵器の性能が実際のものであるならば)、これは米海軍にとって深刻な脅威です。またもしこれが台湾有事で使われることになれば、日本の自衛隊にとっても大きな打撃となります。しかも、中国が、歳月と共に(自国海軍の軍事力増強のテンポを下げなければ)、米国と地域におけるその同盟国の軍事力に『追いつき、追い越す』ことは十分に可能です」。一方、高等経済学院外国地域研究の教授で、東洋学研究者であるセルゲイ・ルジャニン氏は、インド太平洋地域における(米国と中国の)海上の軍事力の競争は激化していると指摘し、米国に不利なもの、中国に不利なものという2つのシナリオがあると話す。そして3つ目(この対立において米国が注意を向けるに値すること)として指摘しておきたいことは、南シナ海で中国とロシアが合同軍事演習を行うのは、まったく偶然ではないということです。ロシアと中国のタンデム体制ルジャニン氏は、これまでにロシアと中国は南シナ海で、戦略爆撃機による共同パトロールを実施したと指摘する。しかしながら、ルジャニン氏は、問題が現実的な軍事行動に発展することはないとし、今後状況は、「戦争と平和」の間で動き続けるだろうと述べている。3番目の当事国:台北の現状ルジャニン氏は、「なぜなら、軍事的なシナリオになるかどうかは、多くの点で、実際には戦争を望まない台湾に左右される」と強調する。一方、政治学博士のアンドレイ・ヴィノグラドフ氏(ロシア戦略研究所現代アジア研究部長)は、軍事的対立になるかどうかは多くの要因に左右されると指摘する。勝者が誰になるかはわからないヴィノグラドフ氏は、テクノロジーを含め、中国は(多くの指標において)米国からまだまだ遅れをとっていると考えている。中国は、地域における米国の真の目的について「幻想を抱いて」いないが、状況をさらに激化させまいと努力している。戦略的休止をとる中国ヴィノグラドフ氏は、中国は戦略的不透明さの代わりに、「戦略的休止」をとっていると強調する。つまり、中国は米国に紛争を「けしかけることはなく」、忍耐力をもって、かなり熟考した立場をとっている。とはいえ、中国にも、米国との間で取り決めた独自の「レッドライン」(たとえば台湾の独立を認めるなど)がある。米国は定期的にそれを「刺激している」が、中国は今のところその挑発には乗っていないとヴィノグラドフ氏は見ている。
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【解説】アジア太平洋地域のリーダー争いは予測できない?
中国海軍が沖大東島(沖縄県)から260キロの地点で、艦上機を使った演習を実施した。日本の国境付近で、中国海軍が空母からの戦闘機の発着などの訓練を行ったことが確認されたのはこれが初めてのことである。つまり、中国は米国(および日本の自衛隊)がインド太平洋地域で新たな同盟や軍事ブロックを形成するなどして軍事力を拡大しているのに対抗し、「筋力を高めている」のである。今回の中国との対立における「天秤」はどちらに有利に傾くのか。そしてそれは何に左右されるのか。「スプートニク」が専門家と分析した。
軍事専門家で防空部隊博物館の館長を務めるユーリー・クヌトフ氏は、中国は実際、信じられないようなテンポで能力を強めつつあると指摘する。
「何よりも、これは艦船に関してです。フリゲート艦、巡洋艦などはもっとも近代的な性能を備えています。米国はこれほど『テンポの早い成長』に対処することはできないのではと危惧していますが、米国にも大きな利点があります。それは豊富な戦闘の経験です。
一方の中国には、海上での戦闘の経験は事実上ありません。加えて、米国の海軍部隊には10の空母打撃群があり、中国の部隊よりも強力です。さらに、米国はいつでも予備役を召集することができます。現段階で、中国が保有しているのは空母2隻だけで、もう2隻はまだ試験の段階にあります。
つまり、現在、『戦闘能力の争い』においては、圧倒的に米国側に有利な状況です。というのも、空母打撃群というのは、空母だけでなく、原子力潜水艦を含めたその他の随伴する船をも指すからです。
これはかなり強力なものであり、米国がこれを機動させた場合、中国が勝利を収めることは難しくなるでしょう」。
一方、中国は現在、
台湾の中国併合に大きな関心を持っている。そこで、その併合の実現については、軍事的、また非軍事的なさまざまな方法を模索している。中国が「台湾問題」を平和的に解決することを望んでいることは間違いないが、米国が地域における軍事力を増強していることから、軍事的なシナリオが選択される可能性が高まることは不可避である。
ユーリー・クヌトフ氏は、「米国政府は、中国がすでに極超音速兵器―いわゆる空母キラー(ロシアの極超音速巡航ミサイル、ツィルコンに類似)をパレードで披露したという
事実に特に注目している」と指摘する。
「米国には現在、それに対抗できるものが何もありません。」
そこで、もし中国の主張がはったりでなければ(そしてその極超音速兵器の性能が実際のものであるならば)、これは米海軍にとって深刻な脅威です。またもしこれが台湾有事で使われることになれば、日本の
自衛隊にとっても大きな打撃となります。しかも、中国が、歳月と共に(自国海軍の軍事力増強のテンポを下げなければ)、米国と地域におけるその同盟国の軍事力に『追いつき、追い越す』ことは十分に可能です」。
一方、高等経済学院外国地域研究の教授で、東洋学研究者であるセルゲイ・ルジャニン氏は、インド太平洋地域における(米国と中国の)海上の軍事力の競争は激化していると指摘し、
米国に不利なもの、中国に不利なものという2つのシナリオがあると話す。
「対立には2つのシナリオが考えられます。1つ目のシナリオ(台湾問題の解決法の一つ)は島をすばやく占領するというものです。しかし、それは、米国(あるいは台湾自身)が中国に対し、冷笑主義的にそのような行動を挑発するという不可抗力においての場合です。中国は主要な目的をもって向かうでしょう。それは米国にこの紛争に(積極的な参加国として)『介入させない』ということです。
もう一つ、考えられるシナリオは、島の周辺に疲弊した地域の米国(とその同盟国)の部隊を配置し、台湾を長期的に(中国海軍から)封鎖するというものです。他でもないこのシナリオ(ウクライナ紛争のタイプ)は中国にとって不利なものではありますが、こちらも米国の挑発があれば、そうなる可能性があります」。
そして3つ目(この対立において米国が注意を向けるに値すること)として指摘しておきたいことは、南シナ海で中国とロシアが合同軍事演習を行うのは、まったく偶然ではないということです。
ルジャニン氏は、これまでにロシアと中国は南シナ海で、戦略爆撃機による共同パトロールを実施したと指摘する。
「これはロシアと中国が海上での戦略的な協力関係を強化させていることをはっきりと物語っています。事実上、これは(正式には形成されていないものの)、地域における両国の海上同盟を意味します。現在、日本がロシアに対して厳しい立場をとっていること(対露制裁)を考慮すれば、ロシア・中国のタンデム体制を強化する要素として、そこに北朝鮮を組み入れる可能性も除外できません。
中国、ロシアの軍事力に、核ミサイルプログラムを順調に実現している(最近の実験でも披露されている)北朝鮮が加われば、地域で米国と張り合うことができます。しかも、海上では中国にやや軍配が上がります。というのも、『占領』する上で重要な役割を果たすのは、空母ではなく、(中国がより多く保有する)艦船だからです。そんなわけで、米国との対立があった場合、やはり60:40の割合で中国に有利に傾くでしょう」。
しかしながら、ルジャニン氏は、問題が現実的な軍事行動に発展することはないとし、今後状況は、「戦争と平和」の間で動き続けるだろうと述べている。
ルジャニン氏は、「なぜなら、軍事的なシナリオになるかどうかは、多くの点で、実際には戦争を望まない台湾に左右される」と強調する。
「彼らは意図的に紛争に参加することはありません。しかも民主党が政権についている時代は終わりに近づいています。2023年は次の選挙まであと1年という年になります。選挙の後、台湾の方針が転換する可能性もあります」。
一方、政治学博士のアンドレイ・ヴィノグラドフ氏(ロシア戦略研究所現代アジア研究部長)は、軍事的対立になるかどうかは多くの要因に左右されると指摘する。
ヴィノグラドフ氏は、テクノロジーを含め、中国は(多くの指標において)米国からまだまだ遅れをとっていると考えている。
「中国は近代化プログラムを加速化し(2035年から2027年に前倒し)、この問題に重点的に取り組んでいます。これまで、アジア太平洋地域におけるパワーバランスは長期にわたり米国が独占していましたが、それが実際、少しずつ中国側に傾いています。
しかし、結局、この『争い』が最終的に誰の勝利に終わるのかを予測することはできません。なぜなら、いずれにせよ、米国の軍事力は強大で、また現在、地域への注目度がますます大きくなっています。米国は同盟国と積極的に協力を行なっており、何より、日本、韓国との協力が増し、このことはもちろん、地域の緊張を『高めて』います。しかし、中国は忍耐力を発揮しています」。
中国は、地域における米国の真の目的について「幻想を抱いて」いないが、状況をさらに激化させまいと努力している。
ヴィノグラドフ氏は、中国は戦略的不透明さの代わりに、「戦略的休止」をとっていると強調する。
「かつて鄧小平が指摘していたように、『才能を隠して、内に力を蓄える』のです。中国は、おそらく、今、この言葉の意味を再解釈しています。地域における情勢悪化は、『台湾問題』を含め、現在、中国にも不利なものです。なぜなら、深刻な経済的影響を伴うことになるからです。中国の経済成長率は低下しており、今、そのような状況を許すことはできません。加えて、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響、またこれまでにないほど厳しい制裁を受けているロシアの例もあります。中国は自国経済に対し、そのような試練を招くような真似は絶対にできないでしょう」。
つまり、中国は米国に紛争を「けしかけることはなく」、忍耐力をもって、かなり熟考した立場をとっている。とはいえ、中国にも、米国との間で取り決めた独自の「レッドライン」(たとえば台湾の独立を認めるなど)がある。米国は定期的にそれを「刺激している」が、中国は今のところその挑発には乗っていないとヴィノグラドフ氏は見ている。