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【視点】防衛費を増大しても、安全能力は向上しない?
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... 2023年1月16日, Sputnik 日本
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ロイター通信によれば、対艦ミサイルは改編された海兵隊(2000人)の下で導入される。その目的は諜報・偵察・輸送活動である。ロイター通信の情報筋はさらに、作業は2025年までに完了する予定だとしている。こうした計画は、米国が最終的に、今後数年間のアジア太平洋地域における主要な「競争相手」を決定づけたことを意味する。軍事政治分析局のアレクサンドル・ミハイロフ局長は、その国とは中国であるとし、「中国との対立に備えて、新たな軍事同盟オーカス(米・英・豪)が創設された」と指摘している。以前は地域における対ミサイル兵器の配備は、「防衛的なもの」と捉えられていたが、時代と共に軍事戦略は変わりつつある。現在、米国も中国も、核を用いた軍事行動が誰にも必要ないものであることを理解している。一方で、アジア太平洋地域における通常兵器を用いた軍事紛争は十分に起こりうることであり、今後数年の間に実際に勃発する可能性もあるとアレクサンドル・ミハイロフ氏は指摘する。しかし、米国は中国との紛争でも、自ら直接対戦するのではなく、「他国の力」で戦うことを望んでいる。とはいえ、いずれにせよ、核使用の可能性を完全に除外することはできない。そこで米国は(中国との対立において)、何より、主要な役割を日本と韓国に分担させようとしているのである。ミハイロフ氏は、米国は、「中国との戦い」に備え、この2カ国に主な軍事的負担を負わせようとしていると指摘する。ミハイロフ氏はまた、一方、中国軍の艦隊の能力は現時点では米国に劣っているが、数ではすでに米国を上回っていると見ている。そのような地域紛争が勃発した場合、対艦ミサイルは、地域の海上での長期的な戦闘に必要な、もっとも使用頻度の高い兵器である。米軍の空母は「驚異的な役割を果たす」ものの、空母は、地域紛争において決定的な役割を果たす兵器ではない。ミハイロフ氏は、「空母は優位性を保つものではありません。というのも、空母は強力なものではあるもののダメージに弱く、簡単に撃沈されてしまうものだからです。現在、新たな戦争の時代が来たのです」と述べ、次のように続けている。一方で、ミハイロフ氏は、対艦ミサイルは日本のような島国では主に艦上ではなく、地上施設に設置されると指摘する。しかし、いつ中国との対立の「ゼロアワー」がいつ訪れるのかは誰も正確には分からない。ミハイロフ氏は、「今はまだその準備が行われているだけです。紛争自体が起こるのは2024年以降でしょう。そしてその責任は米共和党の次の大統領の肩にかかっています」と語る。ロイター通信によれば、現時点では、この春までに、日米の部隊や機器の輸送を支援するため、300人規模の米軍中隊と13隻の船舶が配備される予定である。これより前、台湾有事を念頭に、日本は弾薬庫の整備と離島での防衛強化の可能性を検討していることが伝えられている。このほか、日本は初めて、中国の目標を撃墜できるような巡航ミサイルなどの攻撃兵器を獲得する意向である。このように、今、日本は安全保障政策において、歴史的な転換期を迎えている。日本は防衛費を(将来的にはGDPの1%であったものを2%に)増大させ、70年間、守り続けてきた平和主義の路線から大きく離れようとしているのである。
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【視点】防衛費を増大しても、安全能力は向上しない?
2023年1月16日, 21:40 (更新: 2023年1月16日, 23:35) 米国が在日米軍に配備する対艦ミサイルを大幅に強化する計画だとロイター通信が伝えている。記事よれば、海兵隊を改編した連隊(2000人)の下で、日本に対艦ミサイルを導入し、連隊は高度な諜報・偵察・輸送活動に従事する。また作業は2025年までに完了する見通しだという。今年春には、日米の部隊・機器の輸送を支援するため、米陸軍の兵士約300人と船舶13隻も配備する。部隊の迅速な分散を可能にすることが目的。これに関連し、「スプートニク」は、日本領内に駐留する米軍にとって、なぜ他でもない対艦ミサイルが必要なのか、またこうした動きがアジア太平洋地域のパワーバランスにどのような影響を及ぼすのか、取材した。
ロイター通信によれば、
対艦ミサイルは改編された海兵隊(2000人)の下で導入される。その目的は諜報・偵察・輸送活動である。ロイター通信の情報筋はさらに、作業は2025年までに完了する予定だとしている。
こうした計画は、米国が最終的に、今後数年間のアジア太平洋地域における主要な「競争相手」を決定づけたことを意味する。軍事政治分析局のアレクサンドル・ミハイロフ局長は、その国とは中国であるとし、「中国との対立に備えて、新たな軍事同盟オーカス(米・英・豪)が創設された」と指摘している。
「つまり、米国の現在の主な課題は、同地域における海上での軍事作戦に向け、同盟国に準備させることです。これと平行して、豪州に巡回駐留する米軍部隊や駐韓米軍の海軍部隊の増強も行われています。そしてアジア太平洋地域における米国の主要なパートナー国である日本でも、当然ながら、同様の動きが起こっています。とりわけ沖縄にはこの地域でもっとも大規模な米海軍が展開しています。したがって、日本領内での対艦ミサイルの増強は、中国との大規模な戦争への準備として、今後、地域を軍事化していくための当然の一歩です」
以前は地域における対ミサイル兵器の配備は、「防衛的なもの」と捉えられていたが、時代と共に軍事戦略は変わりつつある。現在、米国も中国も、核を用いた軍事行動が誰にも必要ないものであることを理解している。
一方で、アジア太平洋地域における通常兵器を用いた軍事紛争は十分に起こりうることであり、今後数年の間に実際に勃発する可能性もあるとアレクサンドル・ミハイロフ氏は指摘する。
「米国はミサイル防衛の増強に数十億ドルを拠出するつもりはないでしょう。なぜなら効果的な成果が期待できないからです。米国は、いまや中国はあらゆるミサイル防衛を突破することができる極超音速武器を開発できる最新の技術を持っていることを理解しています。中国政府の発表を信じるなら、中国はすでに極超音速兵器の実験を成功させています。つまり、米国にはもうミサイル防衛に資金を投じる意味がないのです。
現在、米国は(ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問もそうであったように)中国との政治上の地域紛争に重きを置くようになっています。しかし、同時に、こうした行動はお互いの軍事力の示威を伴うものであり、そのためには、実際の衝突が起こったときのための対艦ミサイルが必要なのです」
しかし、米国は中国との紛争でも、自ら直接対戦するのではなく、「他国の力」で戦うことを望んでいる。とはいえ、いずれにせよ、核使用の可能性を完全に除外することはできない。そこで米国は(中国との対立において)、何より、主要な役割を日本と韓国に分担させようとしているのである。
ミハイロフ氏は、米国は、「中国との戦い」に備え、この2カ国に主な軍事的負担を負わせようとしていると指摘する。
「しかも、軍事紛争は複数の場所で展開する可能性があります。1つ目は対中国、つまり台湾周辺です。2つ目は、米国が、対ロシア戦線として、(両国に何らかの軍事行動を挑発し)日本を現在のウクライナと同様の役割で利用することができるクリル諸島周辺です。そして3つ目は中国と日本の間でいまなお係争中の領土問題(尖閣諸島)の激化を挑発することです。しかも、米国が地域情勢を急激に悪化させようとすれば、簡単に爆発する領土問題というものは、アジアのほとんどの国に存在します」
ミハイロフ氏はまた、一方、中国軍の艦隊の能力は現時点では米国に劣っているが、数ではすでに米国を上回っていると見ている。
「中国は潜水艦の建造を積極的に進め、艦上機を製造し、太平洋上での軍事力を拡大しています。また、ますます多くの中国の艦船が世界のさまざまな海上で演習を行うようになっています。最近では、中国とロシアが東シナ海で、合同軍事演習『海上連合』を成功裡に行いました。
中国の艦隊は強力で、核弾頭を運搬する能力を有しています。そこで米国は、中国と『個別の戦略軍事紛争』を行うことを避けようとするでしょう。しかし、中国を地域紛争に巻き込めるとすれば、それは別問題です。
他でもないこうした目的のために、米国には日本と韓国、地域のその他の国が必要なのです。つまり、米国のシナリオでは、 それらの国々が中国を積極的に『刺激』し、中国がその国に対して何らかの攻撃を行うよう仕向ける必要があるのです。
一方、米政府は、この地域紛争を将来的な中国への政治的圧力に利用しようとしています。つまり、これは現在、米国がウクライナでロシアに対して用いている戦法とまったく同じです。米国はこれによって成果を得ることができると考えており、今度はそれをアジア太平洋地域で、中国に対して実行するつもりなのです」
そのような地域紛争が勃発した場合、対艦ミサイルは、地域の海上での長期的な戦闘に必要な、もっとも使用頻度の高い兵器である。米軍の空母は「驚異的な役割を果たす」ものの、空母は、地域紛争において決定的な役割を果たす兵器ではない。
ミハイロフ氏は、「空母は優位性を保つものではありません。というのも、空母は強力なものではあるもののダメージに弱く、簡単に撃沈されてしまうものだからです。現在、新たな戦争の時代が来たのです」と述べ、次のように続けている。
「勝利の王冠を手にするのは、極超音速兵器を発射する技術を獲得した者です。というのも、『ツィルコン』のようなロシアのミサイルは、数十機の爆撃機、多くの兵士を搭載した建造費100億ドルもする米国の空母を簡単に沈めることができるからです。
そこで米国はすでに海上での軍事戦略を見直し始めています。よりコンパクトな機動性の高いステルス艦(レーダーや赤外線などに探知されにくい)の製造への移行です。これは空母と異なり、騒音もなく、気づかれにくく、その上でかなり効果的な長距離攻撃システムを装備することができるのです」
一方で、ミハイロフ氏は、対艦ミサイルは日本のような島国では主に艦上ではなく、地上施設に設置されると指摘する。
「対艦ミサイルは常に進化しています。最近は、移動式の地上施設で使われることが多くなっています。しかし、艦船に設置された発射装置、海上、海中など、あらゆる種類のミサイルが成功裡に発射されています。しかもかなり長距離の目標を撃墜することができるのです。
かつては空母が戦闘地に爆撃機を運び、その爆撃機を飛ばして軍事目標を爆撃していましたが、現在は(長距離ミサイルを多数搭載した)比較的小さな艦船を必要な場所に派遣して、以前、空母が行っていた役割をうまく果たしています。しかも、空母よりも(より少ない費用で)より大きな損害を与えることができるのです」
しかし、いつ中国との対立の「ゼロアワー」がいつ訪れるのかは誰も正確には分からない。ミハイロフ氏は、「今はまだその準備が行われているだけです。紛争自体が起こるのは2024年以降でしょう。そしてその責任は米共和党の次の大統領の肩にかかっています」と語る。
「なぜなら、米国にはまだ極超音速ミサイルの技術開発のための時間が必要だからです。今のところ、まだ米国はこれを開発できておらず、現時点では中国と大きな軍事紛争を始め、この国と『張り合う』ことはできないのです。
さらに、中国との衝突の時期は、ウクライナ紛争の結果にかかっています。もし、この紛争がロシアに有利な形で終われば、米国は中国との対立をかなり後に先延ばしするでしょう」
ロイター通信によれば、現時点では、この春までに、日米の部隊や機器の輸送を支援するため、300人規模の米軍中隊と13隻の船舶が配備される予定である。これより前、台湾有事を念頭に、日本は弾薬庫の整備と離島での防衛強化の可能性を検討していることが伝えられている。
このほか、日本は初めて、中国の目標を撃墜できるような巡航ミサイルなどの攻撃兵器を獲得する意向である。このように、今、日本は安全保障政策において、歴史的な転換期を迎えている。日本は防衛費を(将来的にはGDPの1%であったものを2%に)増大させ、70年間、守り続けてきた平和主義の路線から大きく離れようとしているのである。