【視点】米国がウクライナに新たな軍事支援策 しかしどれだけ届くのか

© 写真 : Public domain / Pvt. 1st Class Prince Hearnsブラッドレー歩兵戦闘車
ブラッドレー歩兵戦闘車 - Sputnik 日本, 1920, 20.01.2023
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米国防総省は、ウクライナに25億ドル(約3200億円)相当の新たな軍事支援を行うと発表したが、それが100%ウクライナに行き渡り、その一部が闇市場に流れないと保証できるのだろうか?過去に米陸軍戦闘部隊に所属し司令部参謀を務めたデビッド・T・パイン氏は、スプートニクの取材に対し、この件と米国の主要な防衛関連企業の状況について語った。
新しい支援パッケージの枠組みで、ブラッドレー歩兵戦闘車59両、対戦車ミサイルシステムに搭載するミサイル「TOW」590発、25ミリ弾薬29万5000発がウクライナ政府に送られることになった。また、この軍事支援で供与されるのは、アベンジャー地対空ミサイルシステム8基、ストライカー装甲車90両、防空ミサイル「NASAMS」と高機動ロケット砲システム「HIMARS」向けの追加弾薬、対地雷装甲車(MRAP)53両。
さらに米国は、ハンヴィー(高機動多用途装輪車両)350両、各種口径の砲弾、クレイモア対人地雷、対戦車ミサイル約2000発、小銃弾300万発などの兵器をウクライナに供与する予定。
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しかし、米国国防総省は資金を適切かつ効率的に行き渡らせるための手段を講じているのだろうか?
パイン氏は、数百億ドル規模のウクライナへの軍事支援について、自分が知る限りでは監査プロセスが存在しないと指摘している。ウクライナに供給された兵器のほとんどは闇市場に流れており、ある軍事専門家によれば、ロシアに売られていることもあるという。

「米国議会は2022年5月、ウクライナのためのレンドリース法を愚直に可決したが、この法律は援助が意図した目的に使用されていることを確認するためのセーフガードを一切欠いたものだ。上院議員を中心とする共和党の保守派は、ウクライナ軍に届く米国と北大西洋条約機構(NATO)の兵器は、そのわずか30%しかないという事実を、最近CBSニュースがドキュメンタリー番組・暴露記事(その後削除された)が明らかにした。その30%以外は、ウクライナのオリガルヒや、ゼレンスキー大統領を含むウクライナ政府高官を潤すために闇市場で売られているようだ。米国のある有力な国家安全保障専門家によると、ウクライナに提供された米国製兵器の一部はロシアに売られている」

パイン氏によれば、米国の防衛関連企業は何十年もの間、米政権で大きな影響力を行使してきた。しかし、同氏は、米国のそういった企業がウクライナの戦争政策の策定で何らかの役割を果たしているとは考えていない。
「しかし、彼ら(米国の防衛関連企業)は戦争継続のためのロビー活動で重要な役割を果たし、戦争継続によって何百億ドルもの追加利益を得ていることは確かだ。残念ながら、バイデン政権はウクライナでの代理戦争に関して、一貫した戦略や達成可能な目標を持ったことがない」
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同氏によれば、バイデン政権は、ロシアが設定したレッドラインだけでなく、自分たちが表明したレッドラインを破ってエスカレートし続けるという。つまり、米国が装甲戦闘車(装甲車「ストライカー」やブラッドレー歩兵戦闘車など)や中距離多連装ロケットランチャーをウクライナに提供するということだ。
「しかし、ウクライナに提供した多連装ロケットランチャー『HIMARS』が、ロシア連邦そのものへの攻撃に使用できないように改良されていることが分かった時は嬉しかった」
さらにパイン氏によると、バイデン政権関係者がウクライナを西側諸国が保有する新兵器の「実験場」だとみており、ウクライナはイラクやアフガニスタンよりも役立つ「実験場」になる可能性がある。バイデン政権は2022年の夏にアフガニスタンからすべての米軍を撤退させ、イラクでは2000〜2500人の米兵がいるものの現在戦争をしていないので、その地域で米国の新兵器を戦闘でテストすることはできない、とパイン氏は指摘している。
「バイデン政権は、ロシア政府に対する代理戦争でロシアを軍事的に弱体化させ、ウクライナの兵士と民間人を実質的に大砲の餌として利用し、ウクライナを事実上NATOの加盟国であり続けるようにし、ウクライナが出費で今後何年も戦争を続けることを目的としていると宣言している。ありがたいことに、彼らは戦闘目的でウクライナに米軍を配備するほど愚かではないし、今後もそうならないことを願っている」
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