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【特集】「日本に15年いて、ロシア人と日本人は精神的にとても似ていると気付いた」文化学博士のナデジダ・イゾトワ教授のインタビュー
【特集】「日本に15年いて、ロシア人と日本人は精神的にとても似ていると気付いた」文化学博士のナデジダ・イゾトワ教授のインタビュー
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現在、日露関係は戦後、最も困難な時期にあるかもしれない。しかし、文化学博士のナデジダ・イゾトワ教授は、ロシア人と日本人は同じ精神性を持っており、その事実は「キャンセル」できないと考えている。 2023年3月6日, Sputnik 日本
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ナデジダ・イゾトワ氏は15年の日本滞在の後、日本の世界観を研究してきた。日本の複数の大学でロシア語を教えていたが、現在はモスクワ国際関係大学やロシア外務省の講座で日本語を教えており、将来の外交官の言語教育に大きく貢献したことで表彰された。スプートニクはナデシュダ・イゾトワ氏に日本との出会い、ロシア人と日本人の共通点を尋ねた。日本で一番印象に残ったのは日本人スプートニク:どうして日本語や日本を学ぶようになったのですか?どんな目標を持っていましたか?イゾトワ氏:1978年にソ連外務省傘下のモスクワ国立国際関係大学の国際ジャーナリズム学部に入学しました。私の目標は国際ジャーナリストになることでした。日本語は私が選んだのではなく、優秀な成績で入学したので日本語が割り当てられたのです。勉強を進める中で、日本語が好きだと気付いたのです。具体的な目標があったわけではなく、ジャーナリズムの仕事に就きたいとだけ思っていました。学業を終えた後、私はソ連国営放送局の日本向けラジオ放送部門に配属されました。そこで、日本語を使う仕事を始めたのです。スプートニク: 15年間、日本で暮らし、働いてこられました。どのような印象でしたか?イゾトワ氏:私は夫と一緒に日本に行きました。夫が外務省から大阪のロシア総領事館に派遣され、私たちは1年間、大阪で暮らしました。その後の赴任先はすべて東京でした。何よりも印象的だったのは日本人です。とてもフレンドリーで、親切で、時間を守る人たちであることが印象的でした。最初からとても親切にしてもらっているのを感じました。この頃に私は日本の文化に深く興味を持つようになりました。スプートニク:あなたの日本滞在中に日本社会の文化的習慣はどのように変化したと思いますか?イゾトワ氏:西洋文化が大きな影響を及ぼしました。それは、必ずしも良い影響だけではありません。特に若い人たちが影響を受けています。しかし、これは日本だけではなく、どの国でも起こっている客観的なプロセスです。年配の人たちからは「最近の若者は私たちとは違う、礼儀がなっていない、頑張ることを知らない」とよく聞きました。同じようなことはロシアでも言われています。しかし、変化なくして社会の発展はありません。しかし、日本社会はより保守的です。日本人は伝統的な価値観を守ろうと努めており、それは大きな利点です。私たちも見習うべきことです。「人間関係は一番大事」スプートニク:日本の大学で教鞭をとった後、現在はロシアの大学で教鞭をとっています。教育文化の違いについてお聞かせください。イゾトワ氏:これも人によりますが、ロシアの学生に比べると、日本の学生は全体的にまだ子どもであることが多いです。18歳の日本人と18歳のロシア人は少し違います。日本の学生の方が素直で、ゆっくり大人になっていきます。また日本の学生は閉鎖的でもあるので、講師に慣れるまでは、打ち解けることができません。最初はぎこちなかったり、恥ずかしがったりしています。ロシア人はそのようなことはありません。学生だけでなく、企業に勤めて仕事でロシア語を使う社会人にも教えていました。学生も社会人も、慣れるまで、関係を構築するまでに時間がかかります。けれど、一度関係が構築されれば、後はずっと楽になります。また、日本人は人間関係を大切にする人々なので、一度関係を構築すると長く付き合うことになるのも重要なポイントです。夫の出張が終わり、ロシアに戻る私のために、生徒たちが送別会を開いてくれたことが、何よりの思い出です。生徒たちが直筆のメッセージを書いてくれたんです。帰国後も手紙を送ってくれたりしました。このようなあたたかい関係と強い絆をとても大切に感じています。スプートニク:現状の両国関係では、日本人のロシア語に対する関心が低下する可能性があることについて、どう思いますか?イゾトワ氏:そんなことがないようにと願っています。日本の大学にいる知人によると、むしろ今、初学者の間でロシア語への関心が高まっているそうです。日本人は、現状のあらゆる問題を、政治的問題も含め、自らきちんと知りたいと思っています。そのために、ロシア人がどんな人たちなのか、もっと身近に知りたいのでしょう。私が教えていた頃も、日本人の学生たちは、よくある文化だけでなく、ロシア人のメンタリティに特に興味を抱いていました。同様に、トルストイ、チェーホフ、ドストエフスキーの作品が、今、日本で人気になっています。ロシア文化を「キャンセル」しようとするあらゆる試みにもかかわらず、ロシアに対するポジティブな関心は衰えていないのです。それは、文化を「キャンセル」することなど不可能だからです。日本人とロシア人の精神的な距離は驚くほど近いスプートニク:あなたは長年「日本の文化コード」を研究しています。ロシア人と日本人の「文化コード」や世界観に類似する要素はありますか?イゾトワ氏:私は、幸せなことに、日本人とたくさん接する機会がありました。その中で、日本人とロシア人には多くの共通点があることに気づきました。日本人の友人たちも同じことを言っていました。そうした共通点のひとつが、精神的な細やかさと繊細さです。日本人はロシア人と同じように、とても繊細で細やかなのです。ロシア人も、日本人と同じように「感じる」ことができる人々であり、気に病み、苦しむことができる人々です。日本の詩や文学、そして歌には、苦しみや悲しみというモチーフを見ることができますが、同じものがロシア文学にも感じられますし、ロシア人の精神にも存在しています。この点が、合理性を特徴とする欧米人とは違うところです。また、犠牲の精神も同じです。ロシア人も日本人も、他人の利益のために自分の利益を犠牲にすることができます。利己主義や自己中心主義ではないのです。個人のことよりも、社会のためになることを優先することもよくあります。また、ロシア人も、日本人と同様、友情やあたたかい関係をとても大切にしています。
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文化, ロシア, 社会, オピニオン, インタービュー, 露日関係
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【特集】「日本に15年いて、ロシア人と日本人は精神的にとても似ていると気付いた」文化学博士のナデジダ・イゾトワ教授のインタビュー
2023年3月6日, 07:00 (更新: 2023年3月7日, 04:47) 現在、日露関係は戦後、最も困難な時期にあるかもしれない。しかし、文化学博士のナデジダ・イゾトワ教授は、ロシア人と日本人は同じ精神性を持っており、その事実は「キャンセル」できないと考えている。
ナデジダ・イゾトワ氏は15年の日本滞在の後、日本の世界観を研究してきた。日本の複数の大学でロシア語を教えていたが、現在はモスクワ国際関係大学やロシア外務省の講座で日本語を教えており、将来の外交官の言語教育に大きく貢献したことで表彰された。スプートニクはナデシュダ・イゾトワ氏に日本との出会い、ロシア人と日本人の共通点を尋ねた。
スプートニク:どうして日本語や日本を学ぶようになったのですか?どんな目標を持っていましたか?
イゾトワ氏:1978年にソ連外務省傘下のモスクワ国立国際関係大学の国際ジャーナリズム学部に入学しました。私の目標は国際ジャーナリストになることでした。日本語は私が選んだのではなく、優秀な成績で入学したので日本語が割り当てられたのです。勉強を進める中で、日本語が好きだと気付いたのです。
具体的な目標があったわけではなく、ジャーナリズムの仕事に就きたいとだけ思っていました。学業を終えた後、私はソ連国営放送局の日本向けラジオ放送部門に配属されました。そこで、日本語を使う仕事を始めたのです。
スプートニク: 15年間、日本で暮らし、働いてこられました。どのような印象でしたか?
イゾトワ氏:私は夫と一緒に日本に行きました。夫が外務省から大阪のロシア総領事館に派遣され、私たちは1年間、大阪で暮らしました。その後の赴任先はすべて東京でした。
何よりも印象的だったのは日本人です。とてもフレンドリーで、親切で、時間を守る人たちであることが印象的でした。最初からとても親切にしてもらっているのを感じました。この頃に私は日本の文化に深く興味を持つようになりました。
スプートニク:あなたの日本滞在中に日本社会の文化的習慣はどのように変化したと思いますか?
イゾトワ氏:西洋文化が大きな影響を及ぼしました。それは、必ずしも良い影響だけではありません。特に若い人たちが影響を受けています。しかし、これは日本だけではなく、どの国でも起こっている客観的なプロセスです。年配の人たちからは「最近の若者は私たちとは違う、礼儀がなっていない、頑張ることを知らない」とよく聞きました。同じようなことはロシアでも言われています。しかし、変化なくして社会の発展はありません。
しかし、日本社会はより保守的です。日本人は伝統的な価値観を守ろうと努めており、それは大きな利点です。私たちも見習うべきことです。
スプートニク:日本の大学で教鞭をとった後、現在はロシアの大学で教鞭をとっています。教育文化の違いについてお聞かせください。
イゾトワ氏:これも人によりますが、ロシアの学生に比べると、日本の学生は全体的にまだ子どもであることが多いです。18歳の日本人と18歳のロシア人は少し違います。日本の学生の方が素直で、ゆっくり大人になっていきます。また日本の学生は閉鎖的でもあるので、講師に慣れるまでは、打ち解けることができません。最初はぎこちなかったり、恥ずかしがったりしています。ロシア人はそのようなことはありません。
学生だけでなく、企業に勤めて仕事でロシア語を使う社会人にも教えていました。学生も社会人も、慣れるまで、関係を構築するまでに時間がかかります。けれど、一度関係が構築されれば、後はずっと楽になります。また、日本人は人間関係を大切にする人々なので、一度関係を構築すると長く付き合うことになるのも重要なポイントです。
夫の出張が終わり、ロシアに戻る私のために、生徒たちが送別会を開いてくれたことが、何よりの思い出です。生徒たちが直筆のメッセージを書いてくれたんです。帰国後も手紙を送ってくれたりしました。このようなあたたかい関係と強い絆をとても大切に感じています。
スプートニク:現状の両国関係では、日本人のロシア語に対する関心が低下する可能性があることについて、どう思いますか?
イゾトワ氏:そんなことがないようにと願っています。日本の大学にいる知人によると、むしろ今、初学者の間でロシア語への関心が高まっているそうです。日本人は、現状のあらゆる問題を、政治的問題も含め、自らきちんと知りたいと思っています。そのために、ロシア人がどんな人たちなのか、もっと身近に知りたいのでしょう。私が教えていた頃も、日本人の学生たちは、よくある文化だけでなく、ロシア人のメンタリティに特に興味を抱いていました。
同様に、トルストイ、チェーホフ、ドストエフスキーの作品が、今、日本で人気になっています。ロシア文化を「キャンセル」しようとするあらゆる試みにもかかわらず、ロシアに対するポジティブな関心は衰えていないのです。それは、文化を「キャンセル」することなど不可能だからです。
スプートニク:あなたは長年「日本の文化コード」を研究しています。ロシア人と日本人の「文化コード」や世界観に類似する要素はありますか?
イゾトワ氏:私は、幸せなことに、日本人とたくさん接する機会がありました。その中で、日本人とロシア人には多くの共通点があることに気づきました。日本人の友人たちも同じことを言っていました。そうした共通点のひとつが、精神的な細やかさと繊細さです。日本人はロシア人と同じように、とても繊細で細やかなのです。
ロシア人も、日本人と同じように「感じる」ことができる人々であり、気に病み、苦しむことができる人々です。日本の詩や文学、そして歌には、苦しみや悲しみというモチーフを見ることができますが、同じものがロシア文学にも感じられますし、ロシア人の精神にも存在しています。この点が、合理性を特徴とする欧米人とは違うところです。
また、犠牲の精神も同じです。ロシア人も日本人も、他人の利益のために自分の利益を犠牲にすることができます。利己主義や自己中心主義ではないのです。個人のことよりも、社会のためになることを優先することもよくあります。また、ロシア人も、日本人と同様、友情やあたたかい関係をとても大切にしています。