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【視点】攻撃に対する監視 日本の海上自衛隊が無人機を配備
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... 2023年3月7日, Sputnik 日本
2023-03-07T18:00+0900
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潜水艦狩りMQ-9 リーパーは、世界でもっとも広く使用されている多目的無人機の一つである。この無人機は、アフガニスタン、イラク、シリア、イエメンなどでの戦闘にも参加したものである。2020年1月3日にイランのイスラム革命防衛隊ゴドス部隊のガーセム・ソレイマーニー司令官が殲滅されたときに使用されたのも、このMQ-9 リーパーであった。主に戦闘では、この無人機の陸上攻撃型が使用されているが、この無人機には海上型もある。これは、米海軍が実施した空母に配備することができる海上型無人機の競合に参加するために開発されたものである。ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社は、燃料タンクを増設し、海上監視用レーダーを備えたMQ-9の改良型を発表した。しかし、この競合で米海軍が選定したのは、ノースロップ・グラマン社のRQ-4Nであった。しかしこのとき競合には敗れたMQ-9 シーガーディアンはアメリカ合衆国税関・国境取締局やアメリカ沿岸警備隊など、さまざまな機関に利用されるようになった。シーガーディアンは、滞空時間18時間で、半径2200キロの海域をパトロールすることができる。高解像度レーダーは艦船、ボート、また海上にいる人物をも発見し、認識することができる。さらに2020年には、潜水艦の音を追跡するソノブイ投下の実験も行われた。なぜ沿岸警備隊に対潜システムを持った無人機が必要なのかときに、米国の沿岸警備隊は、麻薬の密売人が大量の薬物を運ぶ潜水艦を追跡することがある。たとえば、2016年、米国の沿岸警備隊がパナマの西300マイルの海上で、6トンものコカインを積載した麻薬密輸用潜水艇を拿捕した。また2017年には、テキサス沿岸でも4.1トンのコカインを運んでいた麻薬密輸用潜水艇が拿捕されている。沿岸警備隊はこのような作戦を常時、行っている。小型で、速度があり、迷彩塗装をした麻薬密輸用潜水艇を監視船の上から発見するのはきわめて難しい。そこでこうした潜水艇に対抗するための兵器が必要なのである。というのも、米国の沿岸警備隊にとって、ロッキード社の対潜哨戒機P-3「オライオン」は手が届かないほど高価であり、沿岸警備隊にはより安価なものが必要だったのである。そして、沿岸警備隊の用途で使用できるよう開発を重ね、日本を含めた他の国の海軍も関心を持つような、多目的海上無人航空機が完成した。撮影し、識別する日本の海上保安庁は、最初のMQ-9シーガーディアンを2022年10月に調達した。この無人航空機は青森県の八戸航空基地を拠点に運用されている。おそらく、海上型の無人航空機運用が順調に行われたことを受けて、海上自衛隊は独自の海上型無人機の開発プログラムを開始することを決めたのだろう。アメリカのジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社は、海洋監視システムの大幅な改良を提案している。無人航空機には、高解像レーダー、工学カメラ、赤外線カメラが搭載され、また自動船舶識別装置も設置される。発見された海上の物体はカメラに捉えられ、航空機のコンピュータを使い、その画像とデータベースとを照合する。そして特徴を基にして、それが艦船なのか、貿易船なのか識別することができる。たとえば、悪天候のときや、夜中、あるいは霧の中でも、そのシステムは貿易船のタイプを特定したり、艦船の等級を判別できる。これは船舶の航行が激しく、漁業が大々的に行われている海域、そしていくつかの経済水域が交差する海域には不可欠なオプションである。貿易船のほとんどは自動船舶識別装置AISを使って位置を通知し、そのデータはマリントラフィックで確認することができる。現在のルールでは、AISには排水量が300立法メートル以上のすべての船舶の情報が入っていることになっている。しかし、多くの船長が海上でこのシステムを切っている。とくに、北朝鮮のタンカーに石油を密輸するなど、あまり法的とは言えない活動に忙しいときなどはそうである。海上には、密輸船もあれば、不法漁船もあれば、北朝鮮の偵察船もある。2001年12月21日、監視活動中の日本の海上保安庁の巡視船が、奄美大島の北東で、北朝鮮の工作船を沈没させた。しかし、このような無人航空機があれば、日本の海上保安庁も沿岸部や経済水域での船舶の航行、また不法行為をより厳しく監視することができる。識別し、攻撃するしかし、忘れてはならないのが、MQ-9というのは、何よりも無人攻撃機であるということである。負荷容量は1700キロで、内部または翼部に兵器を搭載することができる。搭載しうる兵器は、「空対地ミサイルAGM-114ヘルファイア4基、空中レーザー誘導爆弾GBU-12 ペイヴウェイ II2基、あるいは統合直接攻撃弾GBU-38 JDAM2基、そして「空対空」ミサイルAIM-9Xなどで、その威力はかなり大きい。無人航空機は地上の戦車や拠点、巡視船、そして空中の目標物を攻撃することができる。無人航空機は、大規模な海上戦においては、兵力としては弱いが、精密爆弾を正確に命中させることができることから、大きな損害を与えたり、艦船やフリゲート艦、あるいは駆逐艦に多大な損傷を与えることはできる。偵察し、攻撃するという機能は、沿岸部での敵の落下傘部隊、そして海上および上陸場所や上陸地付近での破壊的捜索隊の捜索と殲滅という課題にもっとも合致している。発見し、攻撃する。これは敵の偵察に対するきわめて効果的な対抗策である。また敵の潜水艦との戦いに使用できる可能性もある。このような無人航空機は沿岸警備および艦隊に非常に適している。航空機は同じであっても、その所属によって模様や識別マークは異なっている。しかし、この航空機を使用するにあたっては、MQ-9が到達する近隣諸国、海域、空域で疑念を呼ぶことがないよう、きわめて慎重に行うことが求められる。
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【視点】攻撃に対する監視 日本の海上自衛隊が無人機を配備
数日前、日本の海上自衛隊が中高度長時間滞空型(MALE)の遠隔操縦無人機プロジェクトの実現に着手することが明らかになった。パートナーとなるのは、無人攻撃機MQ-9Bの製造で有名な米国のジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社である。このプロジェクトについて、また地域における自衛隊の海洋監視に関する計画についてお伝えする。
MQ-9 リーパーは、世界でもっとも広く使用されている多目的無人機の一つである。この無人機は、アフガニスタン、イラク、シリア、イエメンなどでの戦闘にも参加したものである。2020年1月3日にイランのイスラム革命防衛隊ゴドス部隊のガーセム・ソレイマーニー司令官が
殲滅されたときに使用されたのも、このMQ-9 リーパーであった。主に戦闘では、この無人機の陸上攻撃型が使用されているが、
この無人機には海上型もある。これは、米海軍が実施した空母に配備することができる海上型無人機の競合に参加するために開発されたものである。ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社は、燃料タンクを増設し、海上監視用レーダーを備えたMQ-9の改良型を発表した。しかし、この競合で米海軍が選定したのは、ノースロップ・グラマン社のRQ-4Nであった。
しかしこのとき競合には敗れたMQ-9 シーガーディアンはアメリカ合衆国税関・国境取締局やアメリカ沿岸警備隊など、さまざまな機関に利用されるようになった。シーガーディアンは、滞空時間18時間で、半径2200キロの海域をパトロールすることができる。高解像度レーダーは艦船、ボート、また海上にいる人物をも発見し、認識することができる。さらに2020年には、潜水艦の音を追跡するソノブイ投下の実験も行われた。
なぜ沿岸警備隊に対潜システムを持った無人機が必要なのか
ときに、米国の沿岸警備隊は、麻薬の密売人が大量の薬物を運ぶ潜水艦を追跡することがある。たとえば、
2016年、米国の沿岸警備隊がパナマの西300マイルの海上で、6トンものコカインを積載した麻薬密輸用潜水艇を拿捕した。また
2017年には、テキサス沿岸でも4.1トンのコカインを運んでいた麻薬密輸用潜水艇が拿捕されている。沿岸警備隊はこのような作戦を常時、行っている。
小型で、速度があり、迷彩塗装をした麻薬密輸用潜水艇を監視船の上から発見するのはきわめて難しい。そこでこうした潜水艇に対抗するための兵器が必要なのである。というのも、米国の沿岸警備隊にとって、ロッキード社の対潜哨戒機P-3「オライオン」は手が届かないほど高価であり、沿岸警備隊にはより安価なものが必要だったのである。
そして、沿岸警備隊の用途で使用できるよう開発を重ね、日本を含めた他の国の海軍も関心を持つような、多目的海上無人航空機が完成した。
日本の海上保安庁は、
最初のMQ-9シーガーディアンを2022年10月に調達した。この無人航空機は青森県の八戸航空基地を拠点に運用されている。おそらく、海上型の無人航空機運用が順調に行われたことを受けて、海上自衛隊は独自の海上型無人機の開発プログラムを開始することを決めたのだろう。アメリカのジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社は、海洋監視システムの大幅な改良を提案している。
無人航空機には、高解像レーダー、工学カメラ、赤外線カメラが搭載され、また自動船舶識別装置も設置される。発見された海上の物体はカメラに捉えられ、航空機のコンピュータを使い、その画像とデータベースとを照合する。そして特徴を基にして、それが艦船なのか、貿易船なのか識別することができる。たとえば、悪天候のときや、夜中、あるいは霧の中でも、そのシステムは貿易船のタイプを特定したり、艦船の等級を判別できる。これは船舶の航行が激しく、漁業が大々的に行われている海域、そしていくつかの経済水域が交差する海域には不可欠なオプションである。貿易船のほとんどは自動船舶識別装置AISを使って位置を通知し、そのデータはマリントラフィックで確認することができる。現在のルールでは、AISには排水量が300立法メートル以上のすべての船舶の情報が入っていることになっている。しかし、多くの船長が海上でこのシステムを切っている。とくに、北朝鮮のタンカーに石油を密輸するなど、あまり法的とは言えない活動に忙しいときなどはそうである。海上には、密輸船もあれば、不法漁船もあれば、北朝鮮の偵察船もある。2001年12月21日、監視活動中の日本の海上保安庁の巡視船が、奄美大島の北東で、北朝鮮の工作船を沈没させた。
しかし、このような無人航空機があれば、日本の海上保安庁も沿岸部や経済水域での船舶の航行、また不法行為をより厳しく監視することができる。
しかし、忘れてはならないのが、MQ-9というのは、何よりも無人攻撃機であるということである。負荷容量は1700キロで、内部または翼部に兵器を搭載することができる。
搭載しうる兵器は、「空対地ミサイルAGM-114ヘルファイア4基、空中レーザー誘導爆弾GBU-12 ペイヴウェイ II2基、あるいは統合直接攻撃弾GBU-38 JDAM2基、そして「空対空」ミサイルAIM-9Xなどで、その威力はかなり大きい。
無人航空機は地上の戦車や拠点、巡視船、そして空中の目標物を攻撃することができる。無人航空機は、大規模な海上戦においては、兵力としては弱いが、精密爆弾を正確に命中させることができることから、大きな損害を与えたり、艦船やフリゲート艦、あるいは駆逐艦に多大な損傷を与えることはできる。偵察し、攻撃するという機能は、沿岸部での敵の落下傘部隊、そして海上および上陸場所や上陸地付近での破壊的捜索隊の捜索と殲滅という課題にもっとも合致している。
発見し、攻撃する。これは敵の偵察に対するきわめて効果的な対抗策である。また敵の潜水艦との戦いに使用できる可能性もある。このような無人航空機は沿岸警備および艦隊に非常に適している。航空機は同じであっても、その所属によって模様や識別マークは異なっている。しかし、この航空機を使用するにあたっては、MQ-9が到達する近隣諸国、海域、空域で疑念を呼ぶことがないよう、きわめて慎重に行うことが求められる。