【解説】「小国」が「巨大な国」を抑え込むために団結?中国人民解放軍に対抗する日本とドイツの軍事協力

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日本は最近、ありとあらゆる多国間防衛イニシアチブの中心地となっている。ドイツのショルツ首相は今月18日に日本を訪問し、日本の首相に軍事協力の強化を約束した。またカナダのトルドー首相が日本の岸田首相に対して中国へのけん制を念頭に米国と韓国を含む4か国の新たな協力枠組みの創設を提案したこともわかった。
日本を含む米国の同盟国にとっては、中国とその急速に増強している軍事力に何らかの形で対抗する必要がある。一方、小さな軍隊しか持たない国が「巨大な国」に対抗して同盟を組もうとする試みは、何やら滑稽でもある。

カナダとその軍

例えば、カナダの軍隊は小さい。カナダ軍の兵力は約6万8000人、戦車保有数は40両、装甲車は135台、軍用機は98機だ。これは、これほど面積の大きな国にとっては非常に少ない。カナダでは146平方キロメートルの土地に兵士1人、24万9600平方キロメートルに戦車1両、10万1800平方キロメートルに軍用機1機ということになる。これほど小さな軍では、本格的な軍事侵攻から国を守ることはほとんど不可能だだろう。カナダの安全保障は自国の軍隊ではなく、北大西洋条約機構(NATO)加盟国および米国との同盟によって確保されている。どのような力が約30倍の軍隊を持つ中国との対立へカナダを駆り立てているのか理解することは不可能だ。
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ドイツ軍縮の結果

ドイツはかつて非常に強力な軍事大国で、2つの世界大戦を引き起こした。しかし今や、ドイツは小さな軍隊しか持たない国となった。
ドイツ連邦軍の現在の人員は26万4400人。そのうち兵士は18万3200人、文民職員は8万1200人だ。なお、1989年の人員は48万6800人だった。しかし、これは全ドイツ軍ではなかった。ドイツ連邦軍は西ドイツの軍隊だった。西ドイツ軍は東ドイツ軍と対立関係にあった。東ドイツ軍の1990年初頭の人員は13万5000人。ドイツ軍の総人員は62万1000人だった。1990年の東西ドイツ統一後、大規模な軍縮が始まった。まず東ドイツ軍が解体され、その後、ドイツ連邦軍が縮小された。その結果、現在のドイツ軍の規模は30年前の約3分の1となった。
ドイツ連邦軍と1989年当時の東ドイツ軍は大規模な戦争に向けた準備をしており、両軍は世界で最も戦闘能力の高い軍隊の1つだった。しかし、軍縮によってドイツ軍の質は急激に低下した。ドイツ連邦軍は多くの問題を抱え、ドイツのメディアではそれについて活発な論争が繰り広げられ、大げさではなく、何百もの記事が書かれた。
例えば、ドイツ連邦軍では約2万人の将校と下士官のポストが空いている。なお、発表された予算案によると、2020年は3万8700人の将校および9万4900人の下士官の計13万3600人が想定されていた。このうち2万人のポストが空いているとしたら、指揮官と技術者の15%が不足しているということになる。
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さらに2014年には、ドイツ連邦議会の議員らが、軍事装備品の大半が使用に適していないことを明らかにした。戦闘で使用できるのは装甲車「ボクサー」180台のうち70台、戦闘機「トーネード」89機のうち38機、戦闘機「ユーロファイター」109機のうち42機などであることがわかった。これは衝撃的な事実の発覚となった。それ以来、ドイツ国防省は軍事装備品について報告している。例えば、2021年末時点のドイツ連邦軍の準備態勢は、戦闘車両に関しては71%、輸送車両に関しては82%で、平均およそ70%の準備態勢となる。一方、これはもちろん統計上のトリックだ。詳しく見てみると、アラが出てくる。例えば、2017年の装甲兵員輸送車「フクス」の準備態勢は77%。すなわち、907台のうち配備されているのは684台だが、実際に戦闘で使用できる状態にあるものはわずか525台しかない。つまり、戦場におけるドイツ連邦軍は紙に書かれているよりもさらに小規模ということだ。
ドイツは、自国の軍隊の戦闘能力を確保する上で新しい軍事装備品や兵器の生産において深刻な問題に直面した。戦闘能力を確保するために追加資金が拠出されているが、ドイツの専門家たちはこれが効果を発揮するかどうかに疑問を抱いている

1000人の兵士で中国人民解放軍に対抗?

ドイツ連邦軍は、ウクライナで戦闘行為が始まる前からすでに戦闘能力が制限された軍隊だった。正式には、ドイツ連邦軍は世界中で活動していた。一方、さまざまな任務のためにドイツが割り当てた人員のリストによると、その数は多くないことがわかる。ドイツ連邦軍最大の国外駐留部隊はマリ駐留部隊で、その人数は1158人。イラクおよびシリア駐留部隊は298人、レバノン駐留部隊は82人だ。これ以上多くの人員を派遣することはできなかった。さらにこれらの部隊は同盟国の支援を受けて投入された。
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ウクライナで戦闘行為が始まってから、ドイツ連邦軍はウクライナ軍への支援に真剣に力をつくすようになった。
2022年1月から2023年3月13日までにウクライナへ27億ユーロ(約3853億円)相当の兵器や弾薬、軍事装備品が供与された。その他にもドイツ連邦軍は、ロシアと直接的に国境を接するNATOのより弱い同盟国の強化も余儀なくされている。リトアニアには約1000人のドイツ兵が派遣され、リトアニアおよびポーランドの兵士と戦闘グループを形成した。
このような状況においては、中国への対抗を念頭に日本との協力を強化するというショルツ首相の約束は根拠がないように思われる。ドイツ連邦軍は太平洋地域に実際にどのくらいの兵士、軍艦、戦車、戦闘機を派遣することができるのだろうか?兵士は最大1000人、戦闘機は8~10機、フリゲート艦は1~2隻と予想することができる。ドイツには自国の国境近くに直接的な脅威があるため、これが限界と思われる。このような部隊は、地域におけるドイツのプレゼンスを示す可能性がある。一方、1000人ほどのドイツ兵で中国人民解放軍を抑え込むことができると言うのは、もちろん滑稽だ。小さな軍隊しか持たない国々が団結するという提案は、希望や幻想を生み出すおそれがある。すでに17世紀にフランスのジャック・デスタンプ(Jacques d'Éstampes)元帥は、神は常に大きな大隊の見方をすると述べていた。部隊の数と兵器の質で勝っている者が勝利する。
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