【視点】タリバン政権誕生から1年半 基本的医療でさえアクセス困難=国境なき医師団のアフガン支部代表

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【視点】タリバン政権誕生から1年半 基本的医療でさえアクセス困難=国境なき医師団のアフガン支部代表 - Sputnik 日本, 1920, 03.04.2023
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民間で非営利の医療・人道援助団体「国境なき医師団」のアフガニスタン支部広報担当のトーマス・ベンドル氏はスプートニクからの取材に答え、タリバン政権が誕生して1年半の間に安全状況がどう変わったか、現時点でどういった人道状況にあるかについて、語った。
現在、アフガニスタンで活動する国境なき医師団のスタッフ数はおよそ3000人。そのうち1700人以上が医療関係者で構成されている。
スプートニク:タリバンが政権について、この1年半の間にアフガニスタンの安全状況はどう変わりましたか?
トーマス・ベンドル氏:2021年8月に紛争が停止されたことで、安全面は全体として改善され、市民は自由に往来ができるようになりました。数か所の国境なき医師団の病院で戦時中よりも受け入れ患者数が増えたのはひとつにはこれが原因です。移動が安全になったために病院まで行けるケースが増えたからです。
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スプートニク:国境なき医師団に支援を求める人の数は増えましたか?
トーマス・ベンドル氏:場所によっては増えています。でも、単に医療施設にたどり着けば適切な治療を受けられるという保証はありません。社会医療制度は資金不足で、スタッフ、専門家養成、医薬品、設備、ベッドが不足しています。既存の医療施設は過密状態という県もありますし、インフラは過去20年で増えた人口には対応できていません。多くの人々は、民間の病院にたどり着くどころか、医薬品を購入する余裕もありません。国境なき医師団の病院に来る人が多いのは、 自宅近くの医療機関は患者のニーズに対応しきれていないことと、私たちの病院なら無料で医療が受けられるからなのです。経済的に余裕がないため、体調が悪くなるまで医者にかからないという人も多く、その結果、病院に来たときにはすでに救いようのない状態だというケースもあります。
スプートニク:現在のアフガンの人道状況をどう評価されますか?
トーマス・ベンドル氏:アフガンの人たちは数十年に渡る武装闘争、自然災害、パンデミックを耐え抜いてきた挙句、今、経済危機の真っただ中にいます。病院が遠い、費用がかかる、多くの医療施設で必要なスタッフや設備が不足しているといった理由で、市民が基本的な医療や緊急医療にたどり着くのは大変です。国境なき医師団は活動する地域での健康医療の空洞をかなり埋めてはいますが、市民はまだまだ大きな必要性を抱えています。国連の推定では、アフガニスタンの人口の半分以上にあたる2280万人が食糧安全保障の欠如に直面し、2440万人が人道支援を必要としています。アフガンの人々が忘れ去られないようにすること。これが急務です。
スプートニク:2015年、米軍は国境なき医師団がクンドゥーズ市で運営していた外傷た病院を空爆しました。2021年末、国境なき医師団ベルギー支部、人道問題上級顧問のクリストファー・ストークス氏はスプートニクからの取材に対し、殺害された人の遺族に「謝罪金」が支払われ、詫びが入れられたにとどまり、懲役を科せられた者は誰もいなかったと語っていました。国境なき医師団は犠牲者の遺族に払われて当然とされていただけの額まで補償金を引き上げることはできましたか?
トーマス・ベンドル氏:これに関しては国境なき医師団は権限を有していません。米国政府へ私たちが向けた呼びかけは変わっていませんが、最終的には向こうに決定権があるのです。私たちとしてはもちろん、犠牲者は今まで受け取ったよりも多い慰謝料をもらうべきだと考えています。
スプートニク:アフガニスタンにはダーイシュ(ISIS,イスラム国)の脅威はどの程度あるのでしょうか? 武装戦闘員による危険性は万人に及んでいますか?
トーマス・ベンドル氏:私たちはスタッフと病院の患者さんたちへのリスクを最大限下げるために厳格な安全プロトコルを策定しました。それでもリスクがゼロという状態はありえないことは、2020年のダシュ・バルチ産院への襲撃の悲劇で私たちも痛感しました。(2020年5月12日、首都カブールで国境なき医師団が支援するダシュ・バルチ産院にダーイシュがテロ攻撃を行い、16人が殺害された事件:スプートニク編集)
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私たちはスタッフの安全の評価し、なんとか確保しようと必死です。私たちの病院で働くスタッフと患者さんの安全は私たちの最優先課題です。
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