【人物】露日協会モスクワ支部長:文化は政治の流れの影響を受けるべきではない

© 写真 : Aleksandr DvoryankinАлександр Дворянкин
Александр Дворянкин - Sputnik 日本, 1920, 13.04.2023
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ロシアと日本の間には、政治的およびイデオロギー的対立があるにも関わらず、ロシア人の日本文化に対する関心は尽きることはない。この関心を維持し、支援しているのが、日本とソ連の国交が回復した2年後の1958年に「ソ日協会」の後身である露日協会である。1961年、「ソ日協会」と「日ソ親善協会」の間で、初の文化協力に関する協定が署名された。そして、この協定とその後の合意が、大々的な文化協力イベント実現の基礎となった。それ以来、多くのことが変化したが、文化に対する興味は、ロシア人にも、そして日本人にも互いに残されている。
「スプートニク」は、全ロシア露日協会のモスクワ支部長を務めるアレクサンドル・ドヴォリャンキン氏に取材し、ロシア人は日本文化のどのような側面により大きな関心を持っているのか、また近い将来、どのような露日協力の展望が開けているのか、お話を伺った。
© 写真 : Aleksandr Dvoryankin折り紙教室
Александр Дворянкин - Sputnik 日本
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折り紙教室
© 写真 : Aleksandr Dvoryankin「着物伝説」展 
Александр Дворянкин - Sputnik 日本
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「着物伝説」展 
© 写真 : Aleksandr Dvoryankin手短な食材で和食を作るマスタークラス「あなたのキッチンにある日本」
Александр Дворянкин - Sputnik 日本
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手短な食材で和食を作るマスタークラス「あなたのキッチンにある日本」
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折り紙教室
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「着物伝説」展 
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手短な食材で和食を作るマスタークラス「あなたのキッチンにある日本」
スプートニク:「マトリョーシカさん」フェスティヴァルのクリエイティヴ・ディレクターをされていると伺っていますが、露日協会モスクワ支部がこれまでに参加したイベントについて教えていただけますか。
ドヴォリャンキン氏:まずは「マトリョーシカさん」フェスティヴァルですね。フェスティヴァルでは、オフライン形式で、さまざまなワークショップや小さなイベントを行っています。このフェスティヴァルは、合気道の達人アレクセイ・オシポフさんと共同で考案しました。コロナウイルスによるパンデミックの時に、わたしたちは小規模なワークショップを開く以外に、「コミーシヤ」というモスクワで最初に開かれた漫画フェスティヴァルとのコラボレーションで、大規模なオフライン・フェスティヴァルを開くことができました。そのフェスティヴァルで、わたしたちは日本文化デーを開き、墨絵、折り紙、手毬のワークショップを開いたり、さまざまな種類の武道の演武をプログラムしました。それから高等経済学院の学生歌舞伎団にも出演してもらいました。今年の4月にも、「コミーシヤ」はロシアの漫画をテーマにした恒例のイベントを開きます。展示は1ヶ月にわたり、モスクワのザリャジエ公園で行われますが、わたしたちは日本芸術に関するいくつかのワークショップを計画しています。また、伝統的な日本の楽器とクラシックなヨーロッパの楽器を演奏する「音道」という素晴らしいプロジェクトにも参加します。このプロジェクトの芸術監督であり、考案者であるのがナタリヤ・ゴルビンスカヤさんです。最初のコンサートは救世主キリスト大聖堂で、大聖堂合唱団と共に行われましたが、今は、ノソフの家を会場にし、2ヶ月に1度、音楽サロンを開き、ロシアやヨーロッパのクラシック音楽や日本の作曲家の曲を紹介しています。それから、モスクワ在住の松川直子さん、日本語教師のユリヤ・コロヴィナさんと一緒に「食の」プロジェクトをやっています。プロジェクトの名前は、「あなたのキッチンにある日本」といいます。日本食に興味がある人はたくさんいるので、このプロジェクトでは、モスクワで手に入る食材を使って、できるだけ本物の日本の料理に近い、日本食の作り方を指導しています。このプロジェクトは数年にわたって、順調に行われています。先週は手まり寿司のワークショップを開きました。
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スプートニク:あなたが露日協会モスクワ支部長になったのは、ロシアと日本の関係が記録的に低いレベルにまで落ち込んだ、かなり厳しい時代ですが, ロシアと日本の関係が今後どうなっていくといいと思われますか?
ドヴォリャンキン氏:日本は我々の隣国です。隣国とは仲良くしなければなりません。隣人との間では、塀を作るのではなく、関係を構築していく必要があると確信しています。よく言われているように、悪い平和は善良な喧嘩よりも良いものです。わたしは日本や日本文化に対して、ロシア人が拒絶したり、攻撃的になったりするのを見たことがありません。逆に、わたしたちが何らかのイベント、ワークショップをするとき、人々は生き生きと興味を示し、参加しようとしてくれています。そしてわたしたちはこれをさらに広げ、支持していくつもりです。しかも、日本にもそのような人はいるのです。たとえば、わたしたちの友人である中川亜紀さんは、「食の外交官」です。彼女は日本食と日本文学をロシアで普及し、一方、日本では、ロシア料理や旧ソ連諸国の料理を紹介しています。彼女のワークショップは本当に素晴らしいもので、関心を持つ人々を一つにしています。
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スプートニク:モスクワで国際交流基金とは協力されていますか?
ドヴォリャンキン氏:国際交流基金のいくつかのプロジェクトには写真家として参加していますが、残念ながら、共同プロジェクトはまだ実現できていません。わたしが知る限り、国際交流基金は、外国語文学図書館での活動を中止したようです。国際交流基金そのものは残るのかもしれませんが、これまでのような形ではなくなるでしょう。関係者と話したところ、これはロシア側の提案ではなく、彼ら自身の提案だということが分かりました。

もし、これが本当であれば、それは間違いだと思います。文化というのは短期的な政治の傾向の影響を受けるべきではないのです。

スプートニク:あなたは日本のどういうところに親しみを感じますか?
ドヴォリャンキン氏:わたしはグラフィックや絵画をやっていた学生時代から、日本に関心を持つようになりました。友人と一緒に、本を使って独学で日本語を勉強しましたが、まったく成果は出ませんでした。その後、合気道を始め、もう18年以上、続けています。しかしあるとき、畳の上でやる合気道の稽古だけでは満足できなくなったんです。それで日本文化に関心を持つようになり、ナタリヤ・ベズヴリャークさんの墨絵やウラナ・クウラルさんの生花や表千家の茶道をするようになりました。そのおかげで、わたしは日本文化に魅了されている多くの人々に出会い、これらの芸術についてのイメージを得ることができました。そして、わたしに大きな影響を与えたのが、ロシアで日本文化の普及に尽力されている山田みどりさんとの出会いです。
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スプートニク:もし日本に行かれたことがあれば、そのときの印象をお聞かせいただけますか?
ドヴォリャンキン氏:わたしは幸運にも、日本学者で文化研究家のタチヤナ・ナウモワさんが企画したユニークなツアーに参加することができました。わたしはもう立派な大人で、よっぽどのことでないと驚かない人間ですが、日本への旅行は本当に衝撃的でした。なぜならすべてがまったく違うものだったからです。建物、公共交通機関、伝統と新しいものの組み合わせなど、すべてです。京都に行ったとき、わたしは、日本の古都はモスクワに対するセルギエフ・ポサードのような佇まいを想像していました。つまり、古い町で、低い建物が並んでいるイメージです。それが、京都の鉄道駅が、まさに宇宙的な景観だったのには驚かされました。そしてまさにこの、現代文明のハイテクの成果と、伝統を重んじる姿勢とのコントラストというものは、驚きと感嘆を呼び起こすものです。また個人的に特別な出来事となったのは、合気道本部道場の道主、植芝守央氏と知り合えたことです。彼の参加する稽古にも参加させていただきました。

京都ではちょうど花見の時期で、そこで自分の誕生日を祝うことができました。これは運命の贈り物だと思いますね。

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