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【視点】アラスカの液化天然ガス輸出は時間もコストもかかるプロジェクト
【視点】アラスカの液化天然ガス輸出は時間もコストもかかるプロジェクト
Sputnik 日本
... 2023年4月17日, Sputnik 日本
2023-04-17T19:24+0900
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4月13日、米エネルギー省は、アラスカガスライン開発公社(AGDC)からのガスの輸出を承認した。輸出の大部分はアジア諸国向けとなるが、その中には、米国との間で自由貿易協定非締結国も含まれる。アラスカLNGプロジェクトは、アラスカ州南部のケナイ半島に天然ガスの液化工場を建設することを見込んだもので、ガスはプルドーベイ油田およびアラスカ北部のポイント・トムソンから、1300キロのガスパイプラインを通じて工場に運ばれる。パイプラインは、ノーススロープ地区やアラスカ山脈を通過し、工場が置かれる予定のクック湾へと延びることになっている。液化工場の3本のラインを用いた液化天然ガスの生産量は、年間最大2000万トンとなる。工場のその他のインフラ設備には、24万立方メートルの貯蔵施設2つ、ターミナル設備、またガス輸送タンカーの受け入れ基地2つが含まれている。プロジェクトの総事業費はおよそ390億ドルと試算されており、あらゆる問題について合意に達し、必要な許認可をすべて取得できれば、2030年にはプロジェクトが稼働される見込みだという。このプロジェクトの将来性と、輸出の可能性について、ロシア国家エネルギー安全保障基金の主任アナリスト、イーゴリ・ユシコフ氏にお話を聞いた。アラスカLNGプロジェクトは、トランプ前大統領の時代にも、環境保護活動家から厳しい批判を受けていた。気候変動問題に取り組むバイデン政権は環境評価分析を行い、プロジェクトは国家の経済に原則的に重要なものであるとの結論を下した。しかも、バイデン政権はトランプ前大統領の許可に変更を加え、プロジェクトに関するガスの放出を禁止した。ユシコフ氏は、アラスカLNGがアジア向けとなっているのは、当然、地理的条件によって決定づけられたものだと指摘する。アラスカのガスのアジア向け輸出は、ロシアの供給者の競争相手となるのかという「スプートニク」の問いに対し、ユシコフ氏は次のように答えている。アラスカLNGプロジェクトはアラスカで建設が予定されている唯一の液化工場ではない。これより前、アラブ首長国連邦(UAE)のLNG供給会社ロイズ・エナジーの兄弟会社であるQilak LNGが、アラスカでの天然ガス液化工場に50億ドルを投資する計画であることが報じられた。プロジェクトの第一段階の液化天然ガスの輸出量は年間400万トン、世界の需要およびガス供給による収益性に応じて、将来的には生産量が追加されることが計画されている。
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【視点】アラスカの液化天然ガス輸出は時間もコストもかかるプロジェクト
バイデン米政政権はアラスカにあるアラスカガスライン開発公社(AGDC)から液化天然ガス(LNG)を輸出する事業を承認した。プロジェクトの実現は2030年に予定されている。液化天然ガス工場の地理的条件から、アラスカのLNGは主にアジア諸国向けの輸出を見込んだものとなっている。こうして米国はLNG市場の他のプレーヤーと競合することとなり、そして天然ガスの需要が高いアジア諸国への供給でロシアとも競うことが可能となる。
4月13日、米エネルギー省は、アラスカガスライン開発公社(AGDC)からの
ガスの輸出を承認した。輸出の大部分はアジア諸国向けとなるが、その中には、米国との間で自由貿易協定非締結国も含まれる。
アラスカLNGプロジェクトは、アラスカ州南部のケナイ半島に天然ガスの液化工場を建設することを見込んだもので、ガスはプルドーベイ油田およびアラスカ北部のポイント・トムソンから、1300キロのガスパイプラインを通じて工場に運ばれる。パイプラインは、ノーススロープ地区やアラスカ山脈を通過し、工場が置かれる予定のクック湾へと延びることになっている。液化工場の3本のラインを用いた液化天然ガスの生産量は、年間最大2000万トンとなる。
工場のその他のインフラ設備には、24万立方メートルの貯蔵施設2つ、ターミナル設備、またガス輸送タンカーの受け入れ基地2つが含まれている。
プロジェクトの総事業費はおよそ390億ドルと試算されており、あらゆる問題について合意に達し、必要な許認可をすべて取得できれば、2030年にはプロジェクトが稼働される見込みだという。
このプロジェクトの将来性と、輸出の可能性について、ロシア国家エネルギー安全保障基金の主任アナリスト、イーゴリ・ユシコフ氏にお話を聞いた。
「プロジェクトは非常に費用がかかり、また実現に向け時間もかかりますが、最大の問題はコストでしょう。アラスカはインフラが整備されておらず、かなり長いパイプラインを建設しなければならなくなります。天然ガスの採油と液化にもかなり費用がかかります。とはいえ、液化は南の国々で行うよりは安く上がるでしょう。外気の温度が+40度で冷却するのと、マイナスの気温で冷却するのではまったく違うからです。ただ、このプロジェクトにはもう1つ障壁があります。それは地元の人々、先住民の合意を得て、調整しなければならないことです。彼らはアラスカにおけるあらゆる工場の建設に対し、たとえそれが新たな雇用を生み出すものであったとしても、反対の立場に立っています。また、アラスカ領内の自然を産業や掘削から守るための活動を行っているアラスカ連合などの環境保護団体からの新たな抗議もあるでしょう」。
アラスカLNGプロジェクトは、トランプ前大統領の時代にも、環境保護活動家から厳しい批判を受けていた。気候変動問題に取り組むバイデン政権は環境評価分析を行い、プロジェクトは国家の経済に原則的に重要なものであるとの結論を下した。しかも、バイデン政権はトランプ前大統領の許可に変更を加え、プロジェクトに関するガスの放出を禁止した。
ユシコフ氏は、アラスカLNGがアジア向けとなっているのは、当然、地理的条件によって決定づけられたものだと指摘する。
「これは米国からアジアへの液化天然ガス輸送のもっとも短いルートです。加えて、アジアは液化天然ガスの需要が高く、中国、日本、韓国を中心に、消費者も非常に多い場所です。もし価格が妥当であれば、インドやその他の国々も関心を持つでしょう」。
アラスカのガスのアジア向け輸出は、ロシアの供給者の競争相手となるのかという「スプートニク」の問いに対し、ユシコフ氏は次のように答えている。
「実現されるあらゆるプロジェクトが市場のプレーヤーにとっての競争相手となります。問題は価格です。それがどれほど競争力を持つものになるのかという点でしょう。2023年の末に、ロシアのノヴァテクは工場『アルクティクLNG2』の3本のラインのうちの最初の1本を稼働させる計画です。1本のラインは年間660万トンの生産能力を持ち、3本で1980万トン、これが2026年には稼働することになっています。ただ問題は、EUの制裁が大規模なガスの液化に必要な設備の供給を制限しているということです。ロシアには現時点では、そのような設備が足りていないのです」。
アラスカLNGプロジェクトはアラスカで建設が予定されている唯一の液化工場ではない。これより前、アラブ首長国連邦(UAE)のLNG供給会社ロイズ・エナジーの兄弟会社であるQilak LNGが、アラスカでの天然ガス液化工場に50億ドルを投資する計画であることが報じられた。プロジェクトの第一段階の液化天然ガスの輸出量は年間400万トン、世界の需要およびガス供給による収益性に応じて、将来的には生産量が追加されることが計画されている。