【視点】中国の艦隊を粉砕できる日本の潜水艦

12式地対艦誘導弾 - Sputnik 日本, 1920, 17.04.2023
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日本の防衛省は、潜水艦からの発射が可能な長射程の対艦ミサイルの開発を始めることを明らかにした。2023年4月7日、防衛省は三菱重工業との間で、2023年から2027年の間に(2028年3月31日まで)開発を行うことで合意した。新たな兵器の開発は試験で終了することを鑑みれば、2027年には新たな対艦ミサイルの試験が行われることになる。

際限なく改良され続ける12式地対艦誘導弾

しかし、三菱重工業がそれほどの短期間で、まったく新たな形のミサイルを開発できるとは考えにくい。おそらく、その開発は、すでによく知られている12式地対艦誘導弾の改良型になるものと見られる。
© AP Photo / Kiyoshi Ota/Pool2021年の陸上自衛隊朝霞駐屯地の視察時の岸田首相。後方に19式装輪自走155mmりゅう弾砲(左)と12 - 12式地対艦誘導弾(右)が写っている。
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2021年の陸上自衛隊朝霞駐屯地の視察時の岸田首相。後方に19式装輪自走155mmりゅう弾砲(左)と12 - 12式地対艦誘導弾(右)が写っている。
日本の12式地対艦誘導弾は、車両に搭載するタイプの射程200キロの地上発射型対艦ミサイルである。そして、17式艦対艦誘導弾は、12式地対艦誘導弾をベースに、艦上用に開発されたものである。
2020年には、12式地対艦誘導弾の射程を900キロ程度にまで延伸することが決定されたが、最終的には射程1500キロを目指すとしている。またレーダーからの被探知性を低減させるステルス能力や、複雑な動きで敵からの迎撃を防ぐ高機動性も追求することが計画されている。
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新型ミサイルは、陸(地上)、海(艦艇など)、空(戦闘機など)のいずれからも発射できるものとなる。いずれにせよ、防衛省と三菱重工業は、このミサイルの量産について合意し、2026年から2027年には納入するとしている。
潜水艦用の対艦ミサイルには2つの発射方法がある。
1.
1つ目は、潜水艦上に設置された発射装置から発射するというもので、この方法はロシアの対艦ミサイルP–700(グラニート)およびP–800(オーニクス)の発射に使用されている。
2.
そしてもう一つの方法は、魚雷発射管から発射するというもので、これは米国の対艦ミサイルUGM–84(ハープーン)に使用されている。
日本の12式地対艦誘導弾は米製のUGM–84に非常に似ていることから、おそらく日本の設計チームは後者の方法を選ぶと見られる。
この改良型の対艦ミサイルは、魚雷によく似た発射カプセルに収納され、このカプセルが魚雷発射管に詰められて、洋上に発射される。海面に達するとこのカプセルが開き、固体燃料ブースターに点火し、空中へと上昇する。そして一定の高度で、推進エンジンに切り替わり、目標に向かって飛翔するのである。
日本にはすでにミサイルがあることから、日本の設計チームは、発射筒の開発を行い、潜水艦上に発射・制御装置を設置し、その機能を試すことになるわけだが、その課題自体は5年あれば遂行できるように思われる。

中国の艦隊にとって深刻な脅威に

日本の自衛隊司令部は、東シナ海および琉球諸島周辺で中国の海軍に対抗するのに、地対艦誘導弾では効果がないことを認識したと見られる。地上型の発射装置は、島に配備することができるが、その位置を中国の偵察隊に知られることになる。
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中国人民解放軍の偵察部隊はおそらく、衛星を使って、島におけるあらゆる変化を把握し、持てる限りの手段を使って、日本の対艦誘導弾の配備に関する情報を収集していることは疑いようもない。地上型の発射装置は、敵に向けて発射される以前に、ミサイルあるいは空爆、破壊工作部隊の攻撃により破壊されるだろう。そこで、対艦ミサイルを潜水艦に搭載するというのはより良い考えだといえる。
1.
第一に、潜水艦は発見しにくく、破壊しにくい。これを行うには、対潜艦と対潜哨戒機が必要となる。
2.
第二に、潜水艦は防御線に配備することができ、また敵の艦隊を発見した場合、攻撃を行うために集団を作ることができる。こうした状況は、敵の艦隊に対する戦略を柔軟なものにすることができる。
3.
第三に、潜水艦は敵の艦艇を2段階にわけて攻撃することができる。第一段階は遠方からの対艦ミサイルによる攻撃で、このミサイル攻撃が成功した場合、第二段階として、敵の艦艇に近づき、魚雷で更なる攻撃を加えることができるのである。もし潜水艦が400キロの射程でミサイル攻撃を行い、深刻な被害を与えることができれば、潜水艦は12時間で魚雷攻撃のために敵艦艇に接近することができる。
日本の海上自衛隊には現在3つのタイプの潜水艦が合計25隻ある。
11隻の「おやしお」型潜水艦は最大20発の魚雷またはミサイル、12隻の「そうりゅう」型潜水艦は最大30発の魚雷またはミサイル、そして2隻の新型潜水艦「たいげい」型潜水艦もおそらく最大30発の魚雷またはミサイルを搭載することができる。合計で640発である。
もしこれらが、合わせて125発の対艦ミサイルと515発の魚雷を搭載して一斉に海上に出れば、これは中国の艦隊にとっては深刻な脅威となる。
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12式地対艦誘導弾は重量225キロの弾頭を持ち、およそ120キロの弾薬が詰められている。ミサイルはコルベット艦とフリゲート艦に多大な損害を与え、戦闘力である空母にも深刻な被害を与えることができる。中国の空母「遼寧」は対艦ミサイルで攻撃するにはあまりにも大きすぎる。とはいえ、数十発のミサイルがうまく命中すれば、飛行甲板上の爆撃機やヘリコプターを破壊することができ、これによって格納庫で火災と爆発を引き起こされれば、空母を制御不能にすることはできる。
1945年5月11日、沖縄戦で戦っていた神風特別特攻隊の安則盛三と小川清は米国の空母USSバンカーヒル(CV-17)に突撃した。彼らが投下した250キロの爆弾は12式地対艦誘導弾の破壊力に匹敵する。そのとき、空母は炎に包まれ、甚大な損害を受け、終戦はドックで迎えることとなった。つまり、ミサイルによる攻撃は、大型の空母にとっても危険だということである。
良好な条件が揃えば、対艦ミサイルを搭載した日本の潜水艦は、中国の艦隊を抑止できるだけでなく、激しい損害を与え、空母群のような大規模な部隊を殲滅することもできるのである。そして、そのような可能性が、2030年までに日本の海上自衛隊に備わろうとしている。
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