【視点】NATOに深くはまり込みつつある日本

© AFP 2023 / Virginia Mayo/PoolNATOのストルテンベルグ事務総長と日本の林芳正外相
NATOのストルテンベルグ事務総長と日本の林芳正外相 - Sputnik 日本, 1920, 07.04.2023
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日本の林芳正外相は、日本は今、NATO(北大西洋条約機構)との協力を深化すべきときだとの確信を示している。しかも日本はただ単に協力を深化させるだけでなく、この西側の軍事同盟と共に自由で開かれた国際秩序を維持、強化するためのイニシアチブをとる決意に満ちている。しかしこうした発言は、平和主義的な日本国憲法と合致したものなのか、「スプートニク」が専門家に取材した。また、日本は積極的に国の軍事化を進めており、アジアにおける中国との軍事対立に関するNATOの戦略への関与を深め、完全な加盟国になろうとしている。
アンドレイ・フェシュン氏は、日本は、国際舞台において、米国の承認なしに、新たな提案を行ったり、イニシアチブを示すことができるような独立した国ではないと指摘している。
「とりわけ、岸田首相が日本を率いているうちは無理です。なぜなら彼は完全なる親米派の人物だからです。そこで日本は現在、米国とNATOに必要なことを口にしています。数十年前、米国には、いわゆるアジア版NATOを創設するという構想がありました。西側の軍事同盟と米国主導による集団が欧州大陸で集結し、もっぱらロシアに対抗することを目的としていました。同時に、米政府には、もっぱら中国に対抗するためのアジア版NATOを別に創設するという計画があったのです。
一方、現在、ロシアと中国の間には大きな対立はありません。現在、露中の首脳は、会談を行い、軍事同盟も政治同盟も結んではいないものの、現在、世界で起こっていることに対する両国の考えや目的が多くの点で一致していると公言しています。ですから、今の現実に照らし合わせれば、かつて考案していた軍事ブロックを2つに分けることはNATOにとって焦眉の問題ではありません。日本の外相の発言は、ロシアと中国の周囲にいわゆる『アナコンダの輪』を作るという現在の米国の主要な目的を反映しています。彼らの戦略では、この露中の首をしめる輪は、中国とロシアに対し、いつでもすぐ攻撃し、軍事行動を取ることができるアジア諸国のつながりで作られるべきだとされているのです」
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以前、NATOは、軍の戦車部隊や攻撃爆撃機を欧州諸国の国境にすばやく配備できるよう、ロシア周辺にNATOの軍事基地や司令部を集中させていた。しかし、NATOは現在、中国を抑止し、必要であれば、軍事力で中国を無力化するため、その計画をアジアで実現する用意がある。
軍事アナリストで、雑誌「国家防衛」の編集長であるイーゴリ・コロトチェンコ氏は、まさにそのために、NATOには日本が必要なのだと指摘する。
「NATOのグローバルなミッションと、オーカスのような地域の新たな軍事組織とを結びつけるためです。そして日本の協力だけでなく、韓国、インドなどを引き入れ、それは本質としてアジア版NATOとなるのです。これは間違いなく、その同盟にとっての第一の敵となる中国の安全保障問題に関わってくるものです。地政学的な見解から見て、こうした組み合わせを主に提唱しているのは米国で、日本はただそれを実行しているに過ぎません。NATOのストルテンベルグ事務総長はこのミッションを実行するため、最近、日本と韓国などアジアを訪れました。そのときの合意については非公開で議論されたものですが、それは現在、日本政府が国際舞台で発言するという形で実現されています。
岸田首相は、これより前、兵器の開発に関する可能性を拡大する一連の文書を提案しています。特に、射程1500キロまでの巡航ミサイルのような不安定化させる兵器の開発に関するものなどです。つまり、こうした変更の中で、日本は自衛隊ではなく、人員数も増え、攻撃力も一層大きくなった完全なる軍を持つことになるのです」
そして、将来的に、日本が核大国の仲間入りを果たす可能性も除外できない。イーゴリ・コロトチェンコ氏は、日本の技術力は、きわめて短期間で核兵器を開発することが可能であり、また運搬手段はすでに日本国内に展開していると指摘する。
「中国はもちろん、このことをかなり否定的に捉えています。また中国は、今、米国、日本、NATOが提唱しているあらゆるイニシアチブが、反中国的なものであることをはっきりと理解しています。それらは中国を抑止するものであり、影響力を豪州に至るまで拡大しようとしています。そのカウンターウエイトとして、オーカスが創設され、原子力潜水艦が作られているのです。その主な目的は、中国が台湾を管理下に置くための作戦を行うのを阻止するため、新たな軍事ブロックを作ることです。中国の国家主席は、中国軍に対し、2027年にその用意を行うよう指示しています。米国とその同盟国の現在の行動は、こうした計画を邪魔しようとする米国の措置です」
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またコロトチェンコ氏は、そして米国は同時に、中国を新たな軍拡競争に引き込み、将来的な経済発展を停滞させようとしているとも述べている。
一方、アンドレイ・フェシュン氏は、これに関して、特に注目すべきなのは、欧州の安全とインド太平洋地域の安全を個別に議論することはもはやできないという日本の外相の発言であると指摘している。

「日本はNATOの戦略にますます積極的に参加する用意があり、グローバルなNATOの創設に近づきつつあります。かつて日本は、国際的な争いを解決するための戦争を永久に放棄すると述べ、軍事同盟に参加することはないとしていたにもかかわらずです。現時点で、憲法を改正することなく、日本政府はそのいくつかの条項について、国の軍事化に向けた方針を可能にするものだとコメントしています。そして、自衛という認識に、それがまるで軍事行動ではないかのように、先制攻撃の権利を付与しました。しかし、日本が米国から調達するトマホークは、防衛兵器ではなく、攻撃兵器なのです」

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日本とNATOは現在、協力のための個別のプログラムを検討している。このプログラムで、日本は多くの新たな分野で、NATOとの協力を大幅に強化する意向である。
しかし、日本は技術的には素晴らしい軍備を持ってはいるものの、1945年以降、一度も実戦を経験していない。そして最後にフェシュン氏は、そこで湧き上がってくるのは、自衛隊員らが明日にも、事実上、自分たちの国ではなく、米国の目的のために命をかける用意があるのかという疑問だと述べている。
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