【視点】バフェット氏のTSMC全株売却はグローバル化時代の終焉の兆しの一つ=中国の専門家

© AP Photo / Nati Harnik米国人投資家ウォーレン・バフェット氏
米国人投資家ウォーレン・バフェット氏 - Sputnik 日本, 1920, 17.05.2023
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米国人投資家ウォーレン・バフェット氏が経営トップを務める米投資会社「バークシャー・ハサウェイ」が16日、世界最大の半導体メーカー「台湾積体電路製造(TSMC)」の保有株をすべて売却したことが明らかになった。バフェット氏自身が5月の投資家との会合で認めたように、こうした措置は台湾海峡の地政学的緊張の高まりを懸念して行ったという。
バフェット氏が半導体大手の台湾企業の株式を急に売却したことは、投資家の間で懸念を抱かせずにはいられなかった。バフェット氏はもっぱら長期投資を行う最も成功した投資家の一人だ。同氏が2022年9月末にTSMC株(6000万600株)を購入した。これは当時の市場価格だと約41億2000万ドル(約5650億円)。山西財経大学の李凱准教授はスプートニクに対し、この売却は台湾経済だけでなく半導体業界全体への警鐘でもあるが、世界の反グローバリズム傾向の兆候の一つでもあると語った。
ペロシ米下院議長の訪台後、中国人民解放軍は台湾周辺で2度にわたって軍事演習を行った。ロシア・ウクライナ紛争の影響も相まって、台湾海峡両岸の対立がエスカレートし、武力衝突に発展する可能性があるという国際社会の見方が形成されていると李氏は指摘している。この見方は、西側メディアだけでなく、武器供給業者、特にその利益を得ようとする米国軍産複合体によっても活発に流布されている。李氏は、こうしたことが台湾の投資環境(長期的には経済)を悪化させ、バフェット氏の株式売却はこれを明確に示していると強調した。
米国防総省のキャスリーン・ヒックス副長官 - Sputnik 日本, 1920, 26.04.2023
中国との戦争に備えてウクライナ紛争から教訓を得ている=米国防総省
李氏によると、バフェット氏の決断は、世界で反グローバル化の路線が勢いを増していることを示すもう一つのサインだという。

「米中両政府の間で競争が激化する中、グローバル化の傾向は鈍化し、逆転している。サプライチェーンのアンバンドリングを求める声が大きくなっている。サプライチェーンの切り離しを求める声が高まっている。将来、サプライチェーンは中国から、欧米からの2つになるというアナリストもいる。反グローバリズムの流れに陥っているのだ。この点に関して言うと、投資の利益を評価する際に、地政学的な要素を取り入れる海外投資家が増えている。地政学は、今後長きにわたって投資家の意思決定に影響を与えると私は思う」

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