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【視点】日本の新型潜水艦は攻撃戦法のためのものなのか
【視点】日本の新型潜水艦は攻撃戦法のためのものなのか
Sputnik 日本
日本の防衛省は海上自衛隊に配備する新型潜水艦の開発を進めている。現在のところはまだ計画段階にあり、その内容についてはほとんど発表されていない。しかし、この潜水艦は近い将来、海上自衛隊で最強のミサイル発射可能な潜水艦となる。 2023年8月9日, Sputnik 日本
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2023年、日本の防衛省は2隻の船体の設計や対潜水艦戦システムの装備品調達費として2208億円の予算を求め、すでに設計のための資金が拠出されている。おそらく新たな潜水艦の1隻目は2028年3月に、2隻目は2029年に就役するものと見られる。護衛艦まやの3倍の攻撃能力防衛省の最初の予算概要では、新型潜水艦は全長210メートル、幅およそ40メートル、基準排水量が20000トンと記載されている。これは基準排水量が19500トンの駆逐艦いずもとほぼ同等の大きさで、いずもは飛行甲板がある分、やや船体が長くなっている。報道では、防衛省はある批判を受けて、潜水艦の大きさをやや小型にすることに同意したと伝えられているが、それがどの程度なのかはまだ明らかになっていない。新型潜水艦は、排水量8500トン、全長170メートルのまやよりは大型になることだけが発表されている。また新型潜水艦には128発分の垂直発射能力が備わる(まやは96発)ことも明らかになっているまやよりも32発分(あるいは1ブロック)の発射能力が増えることで、潜水艦の砲撃能力は30%上昇する。また新型潜水艦には最新鋭ミサイルRIM-174 SM-6 ERAMが搭載される予定である。この長距離艦対空ミサイルの性能は、速度マッハ3.5、射程370キロ、射高は33キロである。ミサイルには無線の自動誘導弾が搭載され、船舶レーダーの照射なく、目標を自動で迎撃する。またミサイルは弾道ミサイルから小型の無人機まであらゆる目標を撃ち落とすことができる。さらにSM-6は対艦ミサイルとしての攻撃用途にも使用できる。2016年1月、ハワイ沖で水上射撃実験が行われ、SM-6は標的艦である退役したO.H.ペリー級ルーベン・ジェームズに命中、撃沈に成功した。つまり、これは万能ミサイルということができる。攻撃のための潜水艦こうした状況により、すべては違って見えてくる。新型潜水艦は地上配備型ミサイル迎撃システムイージスに代わるものではなく、海上自衛隊の攻撃能力を質的に高めるものである。第一に、新型潜水艦は、新型の艦船は少なくとも2隻というシリーズで建造されることになっていること。海上自衛隊には2隻の空母があることから、すべての艦船を2つの空母群に分けられるようにするためである。第二に、中国が海上の空母への攻撃を目的に、機動型の弾道を搭載したミサイルの開発を行なっていることから、日本の空母はさらなる対ミサイル能力が求められているということ。空母群には大規模なミサイル攻撃にも十分に対抗するための複数のイージス艦や防空艦が含まれていなければならない。そして第三に、海上自衛隊に配備される新型潜水艦は、敵の空母群に対し、より激しい攻撃を実施することができるということ。新型潜水艦に搭載された万能ミサイルSM-6は防衛するだけでなく、上空にいる敵の航空機を攻撃し、海上の艦船を攻撃することができるのである。そしてこれにより、日本の空母は攻撃機をより自由に利用することができる。対空ミサイルと敵の空母群の爆撃機に対する空からの攻撃という組み合わせによって、一定の条件下では、日本の海上自衛隊が勝利を収める可能性がある。これは、戦争の転換点ともなりうるものである。いずれにせよ、日本が純粋に防衛を目的とした課題を据えたとしても、日本は敵の空母を撃破する必要があり、そのためには艦船および海上自衛隊の航空部隊にもっとも攻撃的でもっとも強力な戦法が必要となるのである。勝利は攻撃によって得られるものであるこうした観点から、防衛省はできるだけ大型の潜水艦を新たに建造するであろうことが予想される。排水量が大きければ、より多くの燃料や食料備蓄を積載することができ、よって海上により長く留まっていることができる。また容量の大きな船倉があれば、弾頭を搭載していないミサイルの予備を積むこともでき、会戦の後、基地に戻ることなく、会場で次の発射の準備ができるのである。つまり、潜水艦の攻撃能力を高めることが可能となる。潜水艦の建造にはミサイル工場の建設が必須たしかん日本のアイデアは素晴らしい。しかし、これを実現するには大きな問題がある。日本に船を建造する能力があることについては、疑いようもない。しかし、建造した潜水艦にはミサイルが必要なのである。ミサイルがなければ、新型潜水艦は、海上自衛隊の他の駆逐艦同様、何の価値もない。2隻の新型潜水艦には、1回分の弾薬として256発のミサイルが必要であり、2回分となれば512発である。ミサイルの製造は2013年にスタートしたが、完成についての正確な情報は明らかにされていない。一方、米国議会の透明性により、我々は、2024年に総額16億ドル(整備費、部品などを加えて1発1280万ドル)ミサイルSM-6が125発製造される計画であることを知っている。総じて、米国の防衛産業には、日本が計画している新型潜水艦の弾薬を作るだけでも2年かかる。しかも、米国とその同盟国の海軍にそのミサイルに対する需要がある。つまり、米国の同盟国が、この場合は中国の空母に断固とした攻撃を行うという計画を実現するために、日本にそれだけのSM-6ミサイルを供給することができるかどうかは疑問である。新型潜水艦の完成に向けて日本は、年間150〜200発の生産能力を持つ別のミサイル工場を建造する必要がある。そうすれば、あらゆる攻撃に反撃するのに十分な武器を持つことができるだろう。ミサイル工場を持つことなく、新型潜水艦を建造してもただの空費である。
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【視点】日本の新型潜水艦は攻撃戦法のためのものなのか
日本の防衛省は海上自衛隊に配備する新型潜水艦の開発を進めている。現在のところはまだ計画段階にあり、その内容についてはほとんど発表されていない。しかし、この潜水艦は近い将来、海上自衛隊で最強のミサイル発射可能な潜水艦となる。
2023年、日本の防衛省は2隻の船体の設計や対潜水艦戦システムの装備品調達費として2208億円の予算を求め、すでに設計のための資金が拠出されている。おそらく新たな潜水艦の1隻目は2028年3月に、2隻目は2029年に就役するものと見られる。
防衛省の最初の予算概要では、新型潜水艦は全長210メートル、幅およそ40メートル、基準排水量が20000トンと
記載されている。これは基準排水量が19500トンの
駆逐艦いずもとほぼ同等の大きさで、いずもは飛行甲板がある分、やや船体が長くなっている。報道では、防衛省はある批判を受けて、潜水艦の大きさをやや小型にすることに同意したと伝えられているが、それがどの程度なのかはまだ明らかになっていない。新型潜水艦は、排水量8500トン、全長170メートルのまやよりは大型になることだけが発表されている。また新型潜水艦には128発分の垂直発射能力が備わる(まやは96発)ことも明らかになっているまやよりも32発分(あるいは1ブロック)の発射能力が増えることで、潜水艦の砲撃能力は30%上昇する。
また新型潜水艦には最新鋭ミサイルRIM-174 SM-6 ERAMが搭載される
予定である。この長距離艦対空ミサイルの性能は、速度マッハ3.5、射程370キロ、射高は33キロである。ミサイルには無線の自動誘導弾が搭載され、船舶レーダーの照射なく、目標を自動で迎撃する。またミサイルは弾道ミサイルから小型の無人機まであらゆる目標を撃ち落とすことができる。さらにSM-6は対艦ミサイルとしての攻撃用途にも使用できる。2016年1月、ハワイ沖で水上射撃実験が行われ、SM-6は標的艦である退役したO.H.ペリー級ルーベン・ジェームズに命中、撃沈に
成功した。
こうした状況により、すべては違って見えてくる。新型潜水艦は地上配備型ミサイル迎撃システムイージスに代わるものではなく、海上自衛隊の攻撃能力を質的に高めるものである。
第一に、新型潜水艦は、新型の艦船は少なくとも2隻というシリーズで建造されることになっていること。海上自衛隊には2隻の空母があることから、すべての艦船を2つの空母群に分けられるようにするためである。
第二に、中国が海上の空母への攻撃を目的に、機動型の弾道を搭載したミサイルの開発を行なっていることから、日本の空母はさらなる対ミサイル能力が求められているということ。
空母群には大規模なミサイル攻撃にも十分に対抗するための複数のイージス艦や防空艦が含まれていなければならない。そして第三に、海上自衛隊に配備される新型潜水艦は、敵の空母群に対し、より激しい攻撃を実施することができるということ。新型潜水艦に搭載された万能ミサイルSM-6は防衛するだけでなく、上空にいる敵の航空機を攻撃し、海上の艦船を攻撃することができるのである。そしてこれにより、日本の空母は攻撃機をより自由に利用することができる。対空ミサイルと敵の空母群の爆撃機に対する空からの攻撃という組み合わせによって、一定の条件下では、日本の海上自衛隊が勝利を収める可能性がある。これは、戦争の転換点ともなりうるものである。
いずれにせよ、日本が純粋に防衛を目的とした課題を据えたとしても、日本は敵の空母を撃破する必要があり、そのためには艦船および海上自衛隊の航空部隊にもっとも攻撃的でもっとも強力な戦法が必要となるのである。
こうした観点から、防衛省はできるだけ大型の潜水艦を新たに建造するであろうことが予想される。排水量が大きければ、より多くの燃料や食料備蓄を積載することができ、よって海上により長く留まっていることができる。また容量の大きな船倉があれば、弾頭を搭載していないミサイルの予備を積むこともでき、
会戦の後、基地に戻ることなく、会場で次の発射の準備ができるのである。
つまり、潜水艦の攻撃能力を高めることが可能となる。
たしかん日本のアイデアは素晴らしい。しかし、これを実現するには大きな問題がある。日本に船を建造する能力があることについては、疑いようもない。しかし、建造した潜水艦にはミサイルが必要なのである。ミサイルがなければ、新型潜水艦は、海上自衛隊の他の駆逐艦同様、何の価値もない。
2隻の新型潜水艦には、1回分の弾薬として256発のミサイルが必要であり、2回分となれば512発である。ミサイルの製造は2013年にスタートしたが、完成についての正確な情報は明らかにされていない。
一方、米国議会の透明性により、我々は、2024年に総額16億ドル(整備費、部品などを加えて1発1280万ドル)ミサイルSM-6が125発製造される計画であることを知っている。総じて、米国の防衛産業には、日本が計画している新型潜水艦の弾薬を作るだけでも2年かかる。しかも、米国とその同盟国の海軍にそのミサイルに対する需要がある。
つまり、米国の同盟国が、この場合は中国の空母に断固とした攻撃を行うという計画を実現するために、日本にそれだけのSM-6ミサイルを供給することができるかどうかは疑問である。新型潜水艦の完成に向けて日本は、年間150〜200発の生産能力を持つ別のミサイル工場を建造する必要がある。そうすれば、あらゆる攻撃に反撃するのに十分な武器を持つことができるだろう。ミサイル工場を持つことなく、新型潜水艦を建造してもただの空費である。