【視点】キャンプデービッドで開かれた会談 偶然の会合か新たな同盟か?

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日米間首脳会談の後、記者会見に臨む岸田首相とバイデン、尹両大統領 - Sputnik 日本, 1920, 23.08.2023
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米ワシントン近郊の大統領山荘キャンプデービッドで開かれていた日米韓首脳会談が終了した。今回の会談が、何らかの国際的な会合の一環ではなく、個別の首脳会談という形で実施されたことは特筆すべきことである。このような理由から、今回の会談はすでに、アジア太平洋地域にとって「歴史的なもの」と評価されている。こうした会談がなぜ開かれたのか、またその主なテーマとなったのは何なのか。またもっとも重要なのは、その成果はどのようなものだったのか、そして実際、この会談は3カ国間の協力にとって新たな時代を切り拓くものとなるのかということである。

複雑に絡み合う問題

雑誌「日本研究」、「東アジア:事実と分析」の編集主任、オレグ・カザコフ氏は、3カ国の首脳を結集させた理由は一つではないと指摘する。

「現在、複雑に絡み合った世界的な問題が発生しています。そこで3カ国の首脳たちは、新たな脅威に共同で対抗するため、より緊密な協力をすることになったのです。それは米国、日本、韓国が占めている地政学的立場に関するものです。

 しかもそれも一つではありません。対中国、対北朝鮮、そして(ウクライナ危機を念頭にした)対ロシア的立場です。米国、日本、韓国はアジア太平洋地域で大きな力を形成するための三角協力を築こうとしています。

 とはいえ、日本と韓国の間には長期にわたり、共通の歴史を原因としたきわめて緊張した関係が続き、両国ともに互いを激しく非難していました。そして、政治家たちも度々、互いを非難する声明を出し、両国を接近させまいとしていました。

 しかし、今、歴史問題を政治から切り離すべきときがきたのです。そこで、日韓関係には肯定的な前進が見られ、そしてこれは実際、両国にとって大きな意味を持つものとなりました」

オレグ・カザコフ
雑誌「日本研究」、「東アジア:事実と分析」編集主任
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一方で、この同盟の今後の展望に関しては、まだ疑問が残っているとカザコフ氏は続ける。

「これが何か決定的な政治的、歴史的な前進をもたらすと考えるのは時期尚早です。米、日、韓による3カ国の体制には、まだ共通の軍事的な指揮系統はなく、また国外での軍事作戦に関する目的についても言及されていません。つまり、3カ国が具体的にどの地域に対して行動を取るのかについては発表されていないのです。

 ただ、基本的にキャンプデービッドでは、主な脅威が何かということについては特定されています。主な脅威の一つは、北朝鮮のミサイル発射実験と核実験です。 2つ目はアジア太平洋地域、とりわけ係争中の島をはじめとする紛争地帯での中国の軍事的プレゼンスの拡大です。それに加えて、全方向から揺さぶられ、煽られている台湾をめぐる緊張状態です。ですから、近い将来、米日韓の3カ国協力が強化されるのは明らかです」

一方、ウクライナ問題は、キャンプデービッドでの会談において重要なテーマとなった可能性は低いとカザコフ氏は述べている。

「ウクライナ紛争はすでにかなり前から常に扱われる話題の一つとなっています。ですから各国はあらためて、それぞれの立場で、これはよい、これは悪いと調整しています。これは、それぞれの国がどちらの側についているかにかかっているわけですが、この問題についてはそれがすべてでしょう。

 つまり、キャンプデービッドでの3カ国首脳会談が興味深いのは、他でもないアジア太平洋地域において新たな防衛体制を形成しようとしているという点に関してです。しかも、そこには何らかの形でNATO(北大西洋条約機構)も関与してくるはずです。何よりも、アジア太平洋地域の安全保障および集団防衛戦略の枠内での、日本、豪州との協力を目的としたものになるでしょう」

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地域の分断

そしてこの戦略はこの地域の国々を2つの陣営に分裂させることになるとカザコフ氏は指摘する。

「分断は、誰の目にもまったく明らかな原則に従ったものになります。つまり、一方は米国支持の国、そしてもう一方は中国支持の国です。米国は現在、何十年もの間成し遂げられなかった結果を出すことに成功しました。それは日本と韓国との3カ国同盟を創設するということです。

 しかし、あらゆる分野での日韓関係に雪解けをもたらしたのは現在の世界情勢です。そして今その協力が、他でもない、安全保障と共同での防衛システムの構築という文脈で、より強固なものになろうとしています」

もちろん日本と韓国はまだこの道を歩み始めたばかりであり、その同盟関係は米国にとって、依然、厳しいものであり続けている。その原因は、両国の過去の歴史的意見の相違であるとカザコフ氏は述べている。

「日韓関係における『障害』はこれまで何度も、両国の歩み寄りを阻止し、前進を妨げてきました。しかし、今回は実際、アジア太平洋地域に新たな状況が生まれている可能性は除外できません。これは中国にとっては非常に嫌な動きです。

 中国は、地域に新たに縮小版のNATOが創設されることに反対し、不満を露わにしています。そこで、中国は、これに対抗し、BRICS方式の同盟を作ろうとしています。今、このやり方がどれくらいうまくいくのかについて評価するのは困難です。というのも、中国とインドの間にも、独自の『歴史問題』があるからです。しかし、もう躊躇する時代は過ぎ去りつつあります」

現在の世界情勢は激しく揺れ動いており、各国の政治家たちは厳しい決断を迫られている。なぜならその決定の裏には、さまざまな国の政治的野望と国益があるからだとカザコフ氏は締めくくっている。
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