【視点】北朝鮮指導者と会談の意向表明のバイデン氏 プロパガンダか隠れ蓑か、それとも真意なのか

© AP Photo / Ahn Young-joon北朝鮮の金正恩委員長とジョー・バイデン大統領の肖像。アーカイブ写真
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キャンプデービッドでの日米韓の首脳会談を目前に控えた8月18日、朝鮮半島の非核化問題を話し合うためにバイデン米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と前提条件を付けずに会談する用意があることが明らかにされた。現段階では北朝鮮はこれに応じていないものの、米国側の提案は依然として有効だと報じられている。
提案の事実は、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官が共同通信の単独インタビューに応じた中で明らかにしたもの。カービー調整官は北朝鮮が提案に応じていないことに言及し、会談に応じない場合、米国は自国の安全保障、同盟国である日本、韓国の国益を守る決意だと補足した。

「これはつまり、我々は地域に我々が持てる追加戦力を配備せねばならず、必要となれば、これを将来繰り返す可能性を検討していることを意味する」

ジョン・カービー
米国家安全保障会議(NSC)、戦略広報調整官
これまでバイデン大統領は声明で、米国ないしはその同盟国に対する北朝鮮の核攻撃は受け入れ不可能であり、こうした行為を行った体制は終焉するとする明言していた。
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バイデン政権は本当に北朝鮮指導者との交渉を行うつもりなのか、それともこれはキャンプデービッド首脳会談でこれから採られる、そして北朝鮮の気には沿わない決定のカムフラージュなのか? スプートニクはこの問いをロシア科学アカデミー、中国現代アジア研究所、朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン上級研究員にぶつけた。

「北朝鮮としては米国は対話を行う構えであるところを実際に証明しなくてはならないというところに立脚しています。ところが米国は演習と中止し、制裁を緩和することなど考えもしていません。バイデン政権時だけでも北朝鮮には10もの新たな制裁が科されましたが、少なくとも人道的、医療的な意味での制裁を解除することはできたはずです。 二次的な制裁のせいで、北朝鮮は病院の設備を整えることができません。米国はマヌーバの規模を縮小し、軍事境界界線から離れることもできたはずでが、米国は今のところ、そうした用意があるようには見えません。米国は国連安保理で北朝鮮の人権問題を提起していますが、これは安保理のテーマではありません。そのための国連人権委員会があるわけです。北朝鮮が平和的宇宙開発に関する国際条約に加盟しているにもかかわらず、米国は北朝鮮の弾道ミサイル発射を国連決議違反とみなして、北朝鮮の平和的宇宙探査の権利を認めていません。近隣諸国は北朝鮮用に監視衛星を打ち上げているにもかかわらず、この禁止令は世界の一国だけに適用されています。 こういうことから北朝鮮は、ほとんどすべての問題で自国への敵対的な政策がある状況では対話は無意味だと考えています」

アレクサンドル・ジェビン
ロシア科学アカデミー、中国現代アジア研究所、朝鮮調査センター、上級研究員
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ジェビン氏は、声明がバイデン氏本人から出たものであれば、これを信じる価値は多少は大きかっただろうと語っている。ただし、北朝鮮は中国の、制裁対象となった国防相が米国の公人との会談は一切断っている例に倣っている。ジェビン氏はこれはおそらくはプロパガンダだろうと見て、次のように語っている。

「対話が再開されるのであれば、米国からの何らかの重要な譲歩が外交チャンネルを通じて北朝鮮指導部にもたらされたことを意味します。もしそうでなければ、これはキャンプ・デービッドの3カ国首脳会談での決定で北朝鮮の『強硬さ』を正当化するための純粋なプロパガンダです。そこでは、明らかに軍事同盟を結ぶという話が出るだろうが、それは平壌の最も厳しい批判を引き起こすことは間違いありません。この同盟は、日韓の間でさまざまな意見の相違があったため、長い間結ぶことができなかったものです。ですが今、日韓両国は領土問題を含め、両国間に存在する問題に目をつぶることを決めたようです。米国が交渉テーマとして宣言している朝鮮半島の非核化の問題については、北朝鮮はすでに核保有国であり、憲法にそのことが明記されているため、これは受け入れられないと表明しています」

アレクサンドル・ジェビン
ロシア科学アカデミー、中国現代アジア研究所、朝鮮調査センター、上級研究員
先週末、金正恩氏は戦術ミサイルの製造工場をはじめとする、一連の軍需工場を視察した。正恩氏は「いかなる戦争にも即応できる完璧な準備態勢」が整った状態にあるよう、自国の防衛ポテンシャルの強化を呼びかけた。正恩氏の工場視察は毎年実施されている米韓合同軍事演習に先駆けて行われた。今年の軍事演習は8月21日から31日にかけて実施される。
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