【視点】なぜ日本は秘密保護体制を強化しているのか?
「こうした問題は昔からあった。1980年代後半、中国と韓国は『組立工場』としての役割に満足しなくなり、工作機械や自動車などの生産分野で日本の技術『狩り』を始めた。最初は単なる模倣だけだったが、1990年から2000年初頭にかけて、様々な形でのスパイ活動が激化し、その結果、これらの国々が台頭し始めた。
日本の労働の特徴は、会社への信頼、誠実、忠誠という原則に基づいている。だから、日本の企業は長い間、情報保護にあまり注意を払ってこなかった。今、日本は自国をハイテク国家と位置づけ、経済の停滞を背景に、先端技術でお金を稼ごうとしている。そのため、この問題がクローズアップされ、真剣に取り組まれるようになった。英、米、豪を始めとする日本の海外パートナーはこれまで、日本がこの問題に十分な注意を払っていないことに繰り返し懸念を表明してきたわけだから、なおさらだ」
「これまでのところ、ハッカー攻撃から完全に身を守ることができた国はない。日本でもこれまでに情報漏洩を伴う不祥事は何度も起きている。自衛隊関連の情報に第三者がアクセスできるようにしたNTTや、航空宇宙用電子機器メーカーの日本航空電子工業がその例だ。そして、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)でさえ、電子メールシステムの脆弱性が原因でユーザー情報が流出した事例が確認されている。銀行については言うまでもない。
しかし、銀行ハッカーが金銭を狙うのに対し、さらに本格的なハッカー集団の関心は産業開発、航空機、巡航ミサイル、船舶、潜水艦、通信、レーダー、防空システム、さらには宇宙開発や原子炉に関連する軍事機密など、あらゆるものにある。現在、サイバー攻撃が頻発しているわけは、軍事分野の産業スパイは、先端技術を独自に開発するよりもはるかに時間もお金も節約できるからだ。
また、日本はコンピューター化された国だ。産業用ロボットの追跡記録がハッカー攻撃によって入手され、自分たちの目的に利用される恐れがある」