【視点】日本のNATOへの接近-メリットとデメリット

© AP Photo / Takashi Aoyama/PoolNATOのストルテンベルグ事務総長と岸田首相(2023年1月)
NATOのストルテンベルグ事務総長と岸田首相(2023年1月) - Sputnik 日本, 1920, 27.06.2024
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2022年、岸田氏は日本の首相として初めてマドリードで開催されたNATO首脳会議に出席した。昨年、岸田首相はビリニュスで開催されたNATO首脳会議に出席し、そこで日本とNATOの「個別適合パートナーシップ・プログラム」(ITPP、Individually Tailored Partnership Programme)に関する合意が発表された。7月9日から11日にかけて、NATO設立75周年を記念するNATO首脳会議がワシントンで開催される。岸田首相も出席予定である。
1990年代初頭から、日本とNATOは対話と協力を続けてきた。 2013年4月に日・NATO共同政治宣言に署名され、2014年からは個別に協力計画を策定し、実効的な協力を推進する作業が進められてきた。2019年、日本は初のNATO大使を任命した。 2023年7月、個別適合パートナーシップは新たなレベルに達し、16の具体的な協力分野が盛り込まれた。最優先とされているのは、サイバー防衛、海洋・宇宙安全保障、偽情報対策、戦略的コミュニケーション、科学・技術における協力である。
NATOとの緊密な協力は日本にとってどんなメリットとデメリットをもたらすのか? ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所日本研究センターの上級研究員オレグ・カザコフ氏がスプートニクの問いに答えた。
「日本にとってまず利点となるのは、非公開チャンネルを通じた安全保障情報の交換だ。まず、ウクライナ紛争、台湾周辺、朝鮮半島、その他の潜在的な 『ホットスポット 』に関する情報だ。遅かれ早かれNATO事務所が日本に設置され、その職員がこの情報交換に対応する可能性は否定できない。第二の利点は、日本が標準的な防衛装備や新技術・兵器の開発、製造においてNATOの技術基準に準拠することだ。その結果、防衛装備品輸出の制限を徐々に解除しつつある日本は、NATO規格適合した兵器を世界市場で販売することができるようになる。高品質の兵器の販売は、経済成長と大きな利益をもたらす。 そして第三の利点は、NATO諸国との二国間協力により、日本は開発コストを節約し、新しい経験を得ることができる。例えば今、日本はイタリア、英国とともに新世代の戦闘機の開発を進めている」
同時に、自民党の盟友である公明党の議員を含め、国内では、すべての人がNATOとの急速な接近を支持しているわけではない、と専門家は指摘する。 この決定は国内で十分な議論がされずに下されたものであり、憲法に反しており、日本にとって危険であると、これを警戒する人もいる。
「日本にとっての欠点は、主にイメージの問題だ。NATOへの接近は日本社会の一部からだけでなく、この地域の多くの近隣諸国からもネガティブな反応を引き起こす。歴史から教訓を学ばず、再軍備化する日本を斥けるであろう国々がある。ASEAN諸国は、日本のNATOへの接近へも、アジアにおけるNATOの活動拡大に対しても、積極的なアプローチしてない。彼ら自身も米中対立が激化し続ける中で、どちらの側につくか難しい選択を迫られているからだ。そして第二の欠点は、もしこの地域で軍事衝突が起きれば、日本もそれに参加せざるを得ない可能性が非常に高いということ、しかもそれは日本社会では全く支持されていない。こうしたリスクは存在し、経済全体に大打撃をもたらす恐れがあり、日本にとっては非常に憂慮すべきこと。だから、これは大きなデメリットだ...」
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