高まるNATO東京事務所開設の可能性 岸田氏のNATOサミット出席

© 写真 : Social media of the prime minister's office of Japan高まるNATO東京事務所開設の可能性 岸田氏のNATOサミット出席
高まるNATO東京事務所開設の可能性 岸田氏のNATOサミット出席 - Sputnik 日本, 1920, 06.07.2024
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日本の岸田首相は、来週、ワシントンで開催のNATO首脳会議への出席とドイツ行きへの準備を進めている。日本のメディア報道によれば、NATO首脳会議には韓国も招待されており、岸田首相は米韓との3カ国首脳会議を開き、3カ国の安全保障協力の拡大、ウクライナ情勢、中国の立場などについて意見を交換する。ドイツでは、岸田外相はショルツ首相と会談し、経済の安全保障と防衛協力について話し合う。
「NATOには日本よりも近しく、能力のあるパートナーはない」。ストルテンベルグ事務総長は2023年の訪日で日本をこのように描写した。近年、NATOのアジア太平洋地域への関心は著しく高まったが、こうした中で日本のNATOにとってのパートナーとしての重要度は増す一方だ。2015年の時点では当時のNATO副事務総長のワーシュボー氏は、「日本や東アジアの他の国が中国に対して直面している問題、係争水域における軍事活動にNATOは直接的に影響を及ぼさない」と言っていたのに比べ、今やストルテンベルグ事務総長は、「欧州で今日起きていることは東アジアで明日起きてもおかしくない」と強調し、岸田氏の発言をほぼそのまま繰り返している。NATOの新戦略にはインド太平洋地域への関心が明記されており、中国を「直接の脅威」の根源と呼んでいる。
なにが日本のNATO迎合を後押ししているのか、NATO
や独との安全保障面での協定は日本にとって旨味があるのか、またはこれは緊張拡大を呼ぶだけなのか。ペテルブルク極東諸国調査センターのキリル・コトコフ所長はこれについて、次のような見解を寄せている。
「日本の隣にロシア、中国、加えて今や北朝鮮という3つの核大国が存在すること、さらに日本と中国の間には政治的、歴史的に越えがたい矛盾があることを考えると、日本には自国の防衛能力を強化する道は他に残されていないのだろう。日本の自衛隊は軍隊ではないものの(軍隊となるのは時間の問題だとは思うが)、十分に戦闘軍事力を持っている。それでも、日本政府はトランプ氏が政権に就いた場合に備え、日米安保同盟を当てにするだけではなく、NATOとの緊密な協力も念頭に置いて、自国の保障を図りたい。そして、こうした関係はさらに強くなっていくだろう。近年、日本がこのような方面で活動しているのは、中国の軍事力と政治力の増大、ウクライナでの出来事、ロシアと北朝鮮による戦略的パートナーシップ条約の締結によって説明がつく。日本にとってはこれらの状況はすべて、脅威と捉える課題に対応をせまるものだ」
NATOには、オーストリア、キプロス、アイルランド、マルタを除くほぼすべてのEU諸国が加盟している。この4カ国はいずれも軍事的には中立だが、それぞれがNATOと独自の結びつきを持っている。 コトコフ氏は、「EUは、米国、中国に次いで、ハイテクを有する非常に強力な経済クラスターであり、これも日本には刺激を与えている」と考えている。
「日本経済は1989年から景気後退に移行した。軍需産業の発展は国を隅々から経済発展させる上で非常に強力な注入となる。このため、もし日本政府が軍需産業の発展に真剣に取り組むのであれば、それが中国、ましてロシアからのありもしない脅威論をふりかざしてもなんでもいいのである。加えて、日本がNATOに接近すれば、インド太平洋地域の緊張は高まるが、急激なエスカレーションは起きないだろう。なぜならば、この傾向は今日に始まったことではないからだ。1949年にNATOが創設された段階で世界で、特にアジアにおいてどの国が連盟に属することになるかはすでに決まっていた。だから日本のNATO諸国との接近は予想の範疇であったわけで、そうならなかったとしたら、その方が驚きだ」
日本のNATO接近のクライマックスはNATOの東京事務所の開設の承認になるだろう。この構想をストルテンベルグ事務総長は東京訪問の際に発表しており、中国側からのかなり厳しいコメントも含め、マスコミでも政界でも大きな論議を呼んだ。ところが、事務所開設は中国他、アジア諸国との関係悪化を望まない仏の立場が邪魔して、実現しなかった。それでもコトコフ氏は、事務所開設構想は葬り去られたわけでは全くないと語っている。
「日本にNATO事務所が開設される可能性は極めて高い。だから、今回のNATOサミットでそれが決定されたとしても、私は驚かない。もちろん、そうなるという確証はないが、可能性は非常に高い」
岸田、ショルツ独両首相の会談についてはコトコフ氏は、ドイツはEUのけん引役であるため、経済面での協力は両国にとってプラスにしかならないはずだと語った。今年1月、日独は物品役務相互提供協定(ACSA)に調印しており、これにより、両国は燃料、弾薬を、例えば、自衛隊と独軍の合同演習などの時に共同で利用することが可能となる。同様の協定を日本はすでに米国、英国、仏、カナダ、豪州、インドと結んでいる。
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