【視点】日本の輸出 良くも悪くもなし

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コンテナ船 - Sputnik 日本, 1920, 27.08.2024
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財務省が発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、日本の7月の輸出額は前年同月比で10.3%増の9兆6192億円となったが、輸出数量は5.2%落ち込んだ。輸入額は前年同月比16.6%増の10兆2410億円で、その結果、貿易収支はここ2か月で初めて6218億円の赤字となった。
輸出額が伸びたのは、円安と半導体製造プラントのアジア向け輸出(27.8%増)、半導体およびその他電子部材(25.2%増)、自動車(6.2%増)の増加による。ただし、自動車の輸出台数は6.9%減少した。輸出を地域別にみると、米国向けが7.3%増、中国向けが7.2%増となった反面、EU向けは5.3%減となった。輸入の伸びは主に電気通信機器(47.1%増)、医薬品(45.5%増)、原油(12.7%増)の増加による。
独立系エコノミストのウラジーミル・ブルナエフ氏は、輸出入には季節性の変動率があるため、1か月や、2,3か月分の収支統計で貿易状況を語るのは意味がないとして、次のように語っている。
「いずれにせよ、ある一定期間、輸出と輸入の両方が伸びているということは、その国が世界貿易に積極的に参加していることを意味する。黒字の方がいいのか、赤字の方がいいのか、一概には言えない。どちらのシナリオにも長所と短所がある。
黒字の貿易収支、つまり輸出が輸入を上回る状態とはその国のプロダクトが国際市場で求められていることを示す指標だ。赤字収支になるのは、その国が有しておらず、製造もしていないものへの需要があるからだ。
もちろん、理想では貿易収支は売り買いがバランスがとれているほうがいい。だが、赤字収支はネガティブな傾向の印であり、経済状態の悪化を招くという見解が行き渡っているが、それは一様には当てはまらない。
米仏英のような国は輸入が輸出を格段に上回ってもまったく困らない。日本については、日本の大企業は中国、韓国のメーカーに追われ、国際市場での地位を年々失いつつある。過去20年、たとえば2000年代初めと、今の日本の統計を比べた場合、その差は大きい。市場の喪失は経済力の弱体化へ導く。このプロセスは急速には進んでいないが、拡大傾向にある…」
ブルナエフ氏は、日本はロシアに供給することで世界市場での地位喪失を食い止められただろうが、どうやらそうはしたくないようだと語っている。露日間の貿易は暗澹たる印象を与えている。
露日の貿易収支は7月、前年同月比で32.47%縮小し、707億円となった。中でも特に縮小したのは液化天然ガスの63.9%減、石炭の80.2%減。ただし、目覚しく伸びたのがロシア産水産物の18.8%増。日本の自動車の対露輸出は34.3%減だったが、部品は反対に13%伸びている。
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