【視点】日米トップの交代-日米関係に変化はあるのか?

© AP Photo / Evan VucciПремьер-министр Японии Фумио Кисида и президент США Джо Байден в Белом доме
Премьер-министр Японии Фумио Кисида и президент США Джо Байден в Белом доме - Sputnik 日本, 1920, 21.09.2024
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9月21日、米国で、ジョー・バイデン米大統領、岸田文雄首相、豪州のアンソニー・アルバニージー首相、インドのナレンドラ・モディ首相が参加するQUAD(4ヵ国安全保障対話)サミットが開催される。当初、サミットは今年はインドで、2025年に米国で開催予定であったが、開催地を入れ替えることで合意し、来年インドで開催することになった。サミットでは、とりわけ4カ国の海上保安機関によるアジア太平洋での共同パトロールに関する声明が発表される見込みだ。

岸田首相とバイデン大統領は、それぞれ国の次期代表選挙に参加しないため、今回のQUADサミットが首脳として二人が会談する最後となる。防衛・安全保障分野のおける岸田・バイデン時代の日米関係の特徴と成果とは何だったか。スプートニクは3人の専門家に話を訊いた。

日本の対米依存は、いまだに日本外交の礎となっている、とモスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレルツォフ東洋学部長は語る。
「私はこれを日本の米国依存とは言わず、むしろ相互依存と言いたい。米国にとって日本はインド太平洋地域で最も信頼できる同盟国であり、日本にとって米国は安全保障の保証人だから。日本は技術的に優れた防衛装備を持ち、防衛予算をGDPの2%まで段階的に増やし、防衛力を強化しているにもかかわらず、自国の安全保障を自力で確保することはできない。ウクライナ危機を含む地政学的状況は、日米関係、つまりは、岸田・バイデン政権時代の関係を強化している。対露関係では異なる意見であった安倍元首相の時代とは対照的で、今回の場合、日本は完全に米国の言いなりになってしまった。岸田政権下、日本は対露関係で米国よりもさらに踏み込んでいる。一般的な方向性として言えば、米国が作り出している、明らかに反中志向をもったQUADやそのほかの同盟に、日本は積極的に参加している。そして日本は台湾危機を自国の安全保障に対する脅威だと考えている。これもまた、米国との軍事的発展に向かわせている。私が思うに、米国でトランプ氏が勝利した場合、トランプ氏は予測が難しく、同盟国との協調を欠いた決定をする傾向があるから、日米関係に問題が生じる可能性はある。日本の新首相は、何とかしてトランプ氏との関係を修復する必要がある。こうしたことはカリスマ性があった安倍元首相のような人物にとっては簡単なことだが、今の首相候補の中にはそんな人物は見当たらない。もちろん米国民主党との関係はすでに構築されているから、カマラ・ハリス氏と付き合う方が日本にとっては簡単だろう。どちらにせよ、岸田・バイデンで決められたことは長期的なもので、日米で誰が政権を取ろうが実施されていくだろう。これらの計画には、多くの支出と軍事施設の建設などが含まれる。これをたった一つの政治的決定でひっくり返すことは不可能だ。そんなことができたならば、アジアと世界における米国支配体制が崩壊する。同盟国に対する義務がある分野での外交政策全体も崩壊する。」
日米同盟の安全保障関係の強化は、岸田首相よりずっと以前から、そして安倍元首相よりずっと以前から始まっていた。しかし、この関係を最優先させたのは岸田首相だ、とモスクワ国立国際関係大学、東洋学部のウラジーミル・ネリドフ准教授は語る。
「特に今年4月に行われた岸田・バイデン首脳会談では、日米同盟の強化について合意に達し、自衛隊と米軍の連携や指揮・統制メカニズムを向上させると言っている。これは、インド太平洋地域における中国の勢力拡大と軍事活動、台湾周辺の危険で予測不可能な状況、ウクライナ紛争などのいくつかの要因によって促進された。日本にとってウクライナ危機の教訓は、どんな軍事衝突、または外部からの攻撃、中国との関係のエスカレートにも備える必要があるということ。日本では、中国と北朝鮮は依然として国家安全保障に対する差し迫った脅威とみなされている。だが、岸田首相時代に、ロシアの脅威という問題も浮上した。さらに言うと、安倍元首相が反日という共通項で中国とロシアが接近するのを阻止しようとしたのに、岸田政権では、対露制裁に熱心になることにより、まさに中露接近という結果を招いている。日米の軍事面での『アップグレード』の暗黙の了解の一つは、米大統領選挙によって生じるリスクに保険をかけたいという願望であったことを思い出してほしい。しかも、あらゆる国際的な決まり事に対して企業家的なアプローチをとるトランプ氏が大統領になるとすれば、変化のリスクは米国側の方がはるかに大きい。」
米国へのさらなる接近は日本の国益にかなうのだろうか。 高等経済学院・総合欧州・国際研究センターのドミトリー・ススロフ副所長はこう考える:
「まず第一に、日米接近は岸田首相のビジョンに合致している。米国との関係だけが日本の安全を守れると信じている。しかし米国は二国間の軍事協力にはほとんど関心がない。QUADやAUKUSのメンバー間の交流を強化し、日米韓、日米比の三国同盟の構築を目指している。長期的に見れば、こうした米国への接近は、地域を分裂させるものとなり、日本の利益にはならない。日米同盟のあからさまな反中・反露志向は、この地域の多くの国々にとっては受け入れがたいものであり、地域の国々はどんなブロックにも関わりたくないし、対立にも巻き込まれたくない。そして、日本がこうした同盟に積極的に参加すればするほど、非同盟諸国を疎外することになる。その結果、日本にとって危険は増すばかりだ。」
リュドミラ サーキャン
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