【視点】ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池の代替になるか?

「広く使われているリチウムイオン電池に比べ、ナトリウムイオン電池には多くの利点がある。まず、地球上のナトリウムの埋蔵量はリチウムの500から1000倍もある。そしてナトリウムの採掘は環境に深刻なダメージを与えない。一方、リチウムの採掘は環境に負荷を与える。さらに、ナトリウムイオン電池の製造にはアルミニウム、鉄、マンガンといった広く入手可能な材料が使用されるため、コバルトのようなレアメタルへの依存を最小限に抑えることができる。もうひとつの利点は、ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池に比べて発火しにくいことだ。テスラの電気自動車が、バッテリーが原因で何度か炎上したことはよく知られている。
一方、重大な弱点が1つある。それは、ナトリウムイオン電池は容量がリチウム電池の3分の2ということだ。つまり、リチウムイオン電池が 10 時間動作するとしたら、ナトリウムイオンモバイルバッテリーが同じ時間動作するためには、1.5 倍の重量が必要。ナトリウムイオン電池をドローンや自動車に使用する場合、重量が問題になる。重量と容量はあらゆる電子機器にとって重要だからだ。ちなみに、中国はすでに自動車用のナトリウムイオン電池を製造している。昨年、中国の自動車メーカーJACグループは、ナトリウムイオン電池を搭載した初の電気自動車の発売を発表した。しかし、それがすでに運転されているという情報はいまのところない。また同じく2024年に、米国のナトロン・エナジー社が、リチウムイオン電池に代わる革新的なナトリウムイオン電池の生産を開始すると発表した。今現在、多くの専門家が、技術が進歩し、時間の経過とともにナトリウムイオン電池がリチウム電池に匹敵するものになると予測している。一方、現時点ではリチウムイオン電池の方が優れている。したがって、これを技術革新と言うのは今のところ難しい。まだ開発と改良の段階にあるからだ。とはいえ、ナトリウムイオン電池はリチウム電池に代わる競争力のある、環境に優しい電池になる可能性がある...」