「ビフォーとアフター」 安倍政権と「ポスト安倍」時代で日露関係はどう変わった? 変化トップ5

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日露関係の協力関係は安倍政権下とポスト安倍時代でどのように変容しただろうか? 政治、経済、人道的関係、観光、安全保障における両国の協力関係はどう変わったか? 安倍首相は何を築こうとし、そのうち何が今でも残されているか?
1. 政治対話
2022年以前:安倍首相の以前は、最高レベルでの定期的な対話はほぼ皆無。2013年に初めて「2+2」形式(外務省+防衛省)の会談が行われた。2018年、 プーチン大統領は1956年の日ソ宣言に基づき、無条件での平和条約の締結を提案。安倍首相とプーチン大統領の会談は合計27回に及ぶ。

2018年、日露共同記者発表を行う安倍晋三元首相とプーチン大統領
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/ 2022年以降:日本は欧米諸国に続いて対露制裁を発動。ロシアは日本を非友好国リストに入れ、平和条約交渉から離脱。両国間の接触は最小限に制限され、関係は過去20年間で最低レベルとなっている。
© AP Photo / Pool Photo/Stanislav Kogiku2023年、新たな対露制裁措置を発表する岸田文雄前首相

2023年、新たな対露制裁措置を発表する岸田文雄前首相
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2. 経済と投資
2022年以前:2013年までに両国の貿易取引高は記録的な348億ドルに到達。輸出品はロシアは石油とガス、日本は自動車と機械。2016年、安倍首相は8項目の「協力プラン」を提案。日本はウラジオストク経済フォーラムに積極的に参加した。南クリル諸島沖で漁業がおこなわれる。日ロ共同経済活動が議論された。

ウラジオストクにあるマツダと露ソラーズの合弁工場を視察するプーチン大統領と安倍晋三元首相
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/ 2022年以降:制裁措置、プロジェクトの凍結(アークティックLNG2プロジェクトなど)、貿易高の急減(200億ドル→100億ドル)。日本は最恵国待遇を取り消し。南クリル諸島沖での漁業は停止。だが、日本は「サハリン2」プロジェクトへの参加を続行。
© Anadolu南クリル諸島・カムチャツカ沿岸の眺望(2022年3月撮影)

南クリル諸島・カムチャツカ沿岸の眺望(2022年3月撮影)
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3. 人道、文化交流
2022年以前:1990年代から南クリル諸島の旧島民に対するビザなし渡航が実施。2018年 に日本におけるロシア年とロシアにおける日本年の実施が宣言。2020 年、 2021年は地域間交流年が実施された。
© Sputnik / Alexei Druzhinin / メディアバンクへ移行2018年、ボリショイ劇場で開催された「日露文化交流年」開会式に出席したプーチン大統領、日本の安倍晋三元首相・昭恵夫妻

2018年、ボリショイ劇場で開催された「日露文化交流年」開会式に出席したプーチン大統領、日本の安倍晋三元首相・昭恵夫妻
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/ 2022年以降:日本の立場を背景にロシアはビザなし交流と人道的イニシアチブを停止。共同文化プログラムは部分的に縮小されたが、日本における「ロシア文化フェスティバル」とロシアにおける「日本映画祭」は引き続き開催されている。

ロシアのピアニスト、デニス・マツーエフ氏(左)とマリインスキー劇場の首席指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏(参考画像)
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/ 4.観光とビザ
2022年以前:2017年から、日本はロシア人に対するビザ制度を緩和。ロシアは日本人向けに極東地域への渡航に電子ビザを導入。直行便、観光客が増加した。

2020年、ウラジオストク国際空港で記念撮影をする日本の観光客
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/ 2022年以降:航空便運航が相互に停止。日本はロシアを「安全ではない」渡航先と考えている。逆にロシアから日本へ行く観光客は増加。
© AP Photo / Eugene Hoshiko羽田空港で発着案内板を見る旅行者

羽田空港で発着案内板を見る旅行者
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5. 安全保障分野の協力
2022年以前:2013年以降、2+2方式で安全保障対話を実施。ロシアは国境付近での日米演習に抗議したが、接触は維持された。
© Sputnik / Alexander Shcherbak / メディアバンクへ移行(写真左から)2017年、東京で行われた日露外務・防衛閣僚協議(「2+2」)に出席したロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)、セルゲイ・ラブロフ外相、日本の岸田文雄外相(当時)、稲田朋美防衛相(当時)

(写真左から)2017年、東京で行われた日露外務・防衛閣僚協議(「2+2」)に出席したロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(当時)、セルゲイ・ラブロフ外相、日本の岸田文雄外相(当時)、稲田朋美防衛相(当時)
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/ 2022年以降:2022年、日本は戦略を更新。ロシア連邦を「安全保障上の強い懸念」を呼ぶ国に規定し、防衛費も拡大。ロシアは南クリル諸島での軍事的プレゼンスを拡大。日露の安全保障対話は凍結。
© AP Photo / Russian Defense Ministry Press Service南クリル列島マツア島(日本表記:松輪島)に配備されたロシアの対艦ミサイルシステム「バスチオン」発射装置

南クリル列島マツア島(日本表記:松輪島)に配備されたロシアの対艦ミサイルシステム「バスチオン」発射装置
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