Место утечки на газопроводе Северный поток 1. Архивное фото - Sputnik 日本

【ガスパイプライン「ノルドストリーム」へのテロ攻撃】

「ノルドストリーム」(1224キロ)と「ノルドストリーム2」(1200キロ)は、バルト海を通る海底ガスパイプライン。これによって輸送国を経由せずにロシアから欧州へのガス供給が可能となった。

  • 各ガスパイプラインは2本のパイプ構成。ガス輸送能力は年間550億立方メートル、両パイプラインを合わせた輸送能力はプロジェクト上では1100億立方メートル。
  • プロジェクトの総投資額は74億ユーロ(1兆2939億円超)。
パイプライン敷設の歴史
  • 「ノルドストリーム」:敷設は2010年から、商業供給は2012年から開始。欧州への安定したガス供給を10年以上、確保してきたが、2022年8月末、ガスプロム社が不具合を発見して以来、供給は停止。独シーメンス社は不具合を直す準備ができていたが、欧米の制裁により修繕は不可能となった。
  • 「ノルドストリーム2」:2021年9月までに敷設完了。ガスが充填されたが、独が認証を一時停止したため、稼働開始に至らなかった。
パイプ敷設船「フォルトゥナ」、独ヴィスマールの港 - Sputnik 日本

パイプ敷設船「フォルトゥナ」、独ヴィスマールの港

「ノルドストリーム2」 - Sputnik 日本
「ノルドストリーム2」
ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設作業員、レニングラード州 - Sputnik 日本

ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設作業員、レニングラード州

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パイプ敷設船「フォルトゥナ」、独ヴィスマールの港

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「ノルドストリーム2」
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ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設作業員、レニングラード州

西側諸国は「ノルドストリーム」に反対
  • 2018年の段階ですでに、当時のティラーソン米国務長官は、「ノルドストリーム2」の実施に反対を表明。長官は、米国は同ガスパイプラインの稼働は欧州のエネルギー安全保障を損なうと判断したと説明し、ロシアが「エネルギーを政治的手段として悪用する」恐れを指摘した。ティラーソン氏は、米国の液化天然ガスを利用し、エネルギー供給源の多様化を目指す欧州(特にポーランド)を米国は支援するとした。
  • バイデン前大統領は、2022年に起きたパイプライン爆発の以前から、「約束する。我々はそれを実行可能だ」と述べていた(ロシアがウクライナに侵攻した場合、ガスパイプラインを停止するという意味)。米国人ジャーナリストのシーモア・ハーシュ氏は、バイデンは「パイプラインを、プーチン氏が天然ガスを武器として使う手段だと考えていた」と書いている。
  • トランプ大統領は、自身は2019年、「ノルドストリーム」に制裁を発動したにもかかわらず、バイデン氏は「ロシアの欧州向けパイプラインを承認した」としてこれを非難した。トランプ氏は2024年に米ジャーナリスト、タッカー・カールソン記者とのインタビューで、ガスパイプラインを実際に「破壊」したのは自分だと強調している。
  • 米国とは異なり、独メルケル政権は「ノルドストリーム」プロジェクトを支持していた。
ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の作業用ヘルメット、レニングラード州 - Sputnik 日本
ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の作業用ヘルメット、レニングラード州
破壊工作 2022年に何が起きたか
  • 2022年9月26日、バルト海の水深80メートルの地点で「ノルドストリーム」と「ノルドストリーム2」の4本のパイプのうち3本が爆破され、4箇所でガス漏れが確認された。
  • 緊急事態が発生した場所はデンマークの排他的経済水域。スウェーデンの地震学者は、パイプラインの敷設ルート上で2回の爆発があった事実を確認している。
  • デンマーク、スウェーデン、ドイツの当局は、破壊工作の可能性を排除していない。爆発により、数十年にわたってドイツや他の西欧諸国に安価なロシア産ガスを供給してきたインフラが、前代未聞の被害を被った。
  • 9月28日、ロシア連邦検察庁は国際テロ行為に関する事件を立件した。
  • 9月30日、プーチン大統領は、爆発は「欧州全体のエネルギーインフラの破壊」を目的としたものだと述べた。
  • テロの依頼者は未だに特定されていない。
「ノルドストリーム」破壊に関するインフォグラフィック。 - Sputnik 日本
「ノルドストリーム」破壊に関するインフォグラフィック
テロの捜査 公式声明と西側が報じる説
  • 2022年10月、ドイツ、デンマーク、スウェーデンはロシアの参加を退け、国内での捜査を開始した。スウェーデン保安庁は現場で爆発物の痕跡を発見。破壊工作が行われた事実を確認した。
  • ロシアは、ロシアも国際捜査に参加させるべきだと繰り返し要求し、資料の開示を求めてきた。ロシア外務省はこの状況を「詐欺」、「不正操作」と呼んだ。

2022年10月、スウェーデンのExpressen紙は「ノルドストリーム」の損傷個所の映像を初公開。ガスパイプラインの受けた大きな損傷は水中ドローンによって記録された。

損傷した「ノルドストリーム」の最初の映像
  • 2022年10月31日、プーチン大統領は、ガスプロムに「ノルドストリーム」の爆発現場の調査が許可されたと発表。大統領によると、現場には2か所で漏斗状の陥没が見られ、パイプは40メートルにわたって破裂し、90度に曲がっていた。プーチン大統領は、パイプの破片が近くに敷設されていた「ノルドストリーム2」を損傷したと推測している。
  • 2022年10月、ロシア国防省は、「ノルドストリーム」爆破の準備と実行にはウクライナのニコラーエフ州オチャコフにいた英海軍の代表者が関わっていたと発表。ドイツ系フィンランド人実業家で、ファイル共有サイト「Megaupload」の創設者キム・ドットコム氏は、当時のトラス英首相が、爆発の直後にブリンケン米国務長官に「すべて完了」というSMSを送信したと指摘。ロシア連邦安全保障会議のニコライ・パトルシェフ書記は、このやり取りが「爆破への英海軍の関与を確証している」と述べた。ロシア対外情報庁のナルィシキン長官も、ロシアには、このトラス氏のSMSが「ノルドストリーム」の爆破に関係すると間接的に考える根拠があると述べている。
ガスパイプライン「ノルドストリーム2」からガスが漏れ出している現場 - Sputnik 日本

ガスパイプライン「ノルドストリーム2」からガスが漏れ出している現場

2022年9月27日にスウェーデン沿岸警備隊の航空機から撮影されたバルト海での「ノルドストリーム」のガス漏洩。スウェーデン沿岸警備隊が提供 - Sputnik 日本

2022年9月27日にスウェーデン沿岸警備隊の航空機から撮影されたバルト海での「ノルドストリーム」のガス漏洩。スウェーデン沿岸警備隊が提供

2022年9月28日の「ノルドストリーム2」からのガス漏れ。規模が小さくなっている。スウェーデン沿岸警備隊が提供 - Sputnik 日本

2022年9月28日の「ノルドストリーム2」からのガス漏れ。規模が小さくなっている。スウェーデン沿岸警備隊が提供

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ガスパイプライン「ノルドストリーム2」からガスが漏れ出している現場

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2022年9月27日にスウェーデン沿岸警備隊の航空機から撮影されたバルト海での「ノルドストリーム」のガス漏洩。スウェーデン沿岸警備隊が提供

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2022年9月28日の「ノルドストリーム2」からのガス漏れ。規模が小さくなっている。スウェーデン沿岸警備隊が提供

  • 2023年、米ジャーナリスト、ハーシュ氏は独自の捜査で、爆破は米海軍がノルウェーの支援で行った作戦で、バイデン大統領自身が承認し、CIAがバーンズ長官の指揮下で破壊工作を計画したと主張。ハーシュ氏によれば、破壊工作は「バルト海における多国籍作戦演習」を装い、潜水士たちによって行われた。米国とノルウェーの当局は、この主張を「でたらめ」と一蹴した。
  • 2023年3月から、欧米メディアは破壊工作に「ウクライナの痕跡」ありという説を積極的に展開。ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、シュピーゲル、ARD、ディ・ツァイト各紙は調査を行い、作戦はウクライナの将校グループが準備し、実行にはヨット「アンドロメダ」が使用されたという推測を報じた。メディアはまた、破壊工作にはザルジニー宇軍司令官(当時)が「ゴーサイン」を出したが、ゼレンスキー大統領はこれについて知らされていなかったと報じている。
  • 2024年2月、スウェーデンとデンマークは捜査を終了したが、結果は公表しなかった。
  • 2025年8月、イタリアでウクライナ人のセルゲイ・クズネツォフが逮捕された。ドイツ検察は、クズネツォフが爆発装置を仕掛けたグループの調整役だと見ている。
  • 2025年9月16日、伊ボローニャ裁判所は、同国で逮捕のクズネツォフのドイツへの身柄引き渡しを決定。9月25日、クズネツォフの弁護士はこの決定を不服とし、イタリア最高裁判所に上訴した。
  • ロシアは、「ノルドストリーム」爆破にウクライナだけが関与という説は説得力がないと考えており、爆破の責任は米国とその同盟国、特に英国にあると直接的に主張している。
  • ドイツは依然として調査を継続している。
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