An unarmed Minuteman III intercontinental ballistic missile launches during an operational test on Wednesday, May 1, 2019, at Vandenberg Air Force Base, Calif - Sputnik 日本

新START 露米が歩む核削減への道

新STARTとは
ロシアと米国の新START(新戦略兵器削減条約)は両国の核戦力の規模を制限する協定で、正式名称は「戦略攻撃兵器の更なる削減と制限に関する条約」。
制限される兵器
条約の対象は戦略攻撃兵器
1

核弾頭

2

運搬手段(弾道・巡航ミサイル、航空爆弾)

3

発射装置(移動式発射装置、固定式発射サイロ、大型爆撃機)これらは大陸間(ここでは5500キロ以上)で運用し、相手の領土奥深くの重要目標を攻撃できるものを念頭においている。

i

これらに該当するもの:

• 大陸間弾道ミサイル(米国のミニットマンⅡ~Ⅲ、ピースキーパー、ロシアの「トーポリ」シリーズのミサイルシステム、液体燃料式の大陸間弾道ミサイル、R-36M、RS-24「ヤルス」)、これらの発射装置と弾頭。

• 潜水艦発射弾道ミサイルとその運搬手段(米国のトライデントIIとロシアのR-29R、R-39、R-39RM、R-30) 。

• 核兵器搭載可能な重爆撃機(ロシアのTu-95MSとTu-160、米国のB-52G、B-52H、B-1B、B-2A)。

条約は明確な上限を設定

1

配備済み運搬手段数は700以下。

2

発射可能な搭載核弾頭数は1550以下。

3

配備と未配備の発射装置と爆撃機は800以下。

したがって、この条約により、双方は自国の「核の三本柱」の構成比を独自に決めることができた。 条約は戦術核兵器、ミサイル防衛システム、非核戦略兵器(極超音速ミサイルなど)は対象としていない。 監視は二国間協議委員会と査察体制を通じて行われた。

条約をめぐる経緯
Then-US President Barack Obama and then-Russian President Dmitry Medvedev after signing the New START Treaty at Prague Castle on April 8, 2010. - Sputnik 日本
ドミトリー・メドヴェージェフとバラク・オバマの会談 2010年4月8日

2010

新STARTは2010年4月8日、当時のドミトリー・メドベージェフ露大統領とバラク・オバマ米大統領によってプラハで署名された。旧条約のSTARTⅠ、モスクワ条約(SORT)に代わるもので、戦略的安定性の礎と位置づけられてきた。

2018

両国は2018年までに条約上の義務を履行した。

2021

新STARTは当初10年間の期限で、1回に限り5年間の延長が可能とされており、実際に2021年に延長された。

2023

2023年2月、ロシアは米国による条約違反を理由に、条約への参加を停止すると発表した

2025

2025年9月、プーチン大統領は、2026年2月5日以降も1年間にわたり、条約に基づく制限を引き続き遵守する用意があると表明した。

2026

条約は2026年2月5日に失効する。

条約の履行状況と米国による違反
ロシアは2018年までに制限を履行し、戦略兵器の規模を条約で定められた水準以下に削減した。
ロシアの新STARTに基づく総戦力は以下の通り

o 大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、重爆撃機の配備数:527

o 搭載された核弾頭数:1444

o 配備・非配備のICBM・SLBM発射装置および重爆撃機の合計:779

米国も合意された新STARTの量的上限に達したと表明したが、その達成は「改修済み」と宣言された一部兵器を不当に算定から除外することによって行われた。具体的には、SLBM「トライデントⅡ 」の発射装置56基と、B-52H重爆撃機41機が対象である。ロシア外務省の評価では、これにより運搬手段の上限を101基超過する結果となった。

A US Air Force B-52 bomber flies over Training Range in Pabrade during a military exercise 'Iron Wolf 2016' some 60km.(38 miles) north of the capital Vilnius, Lithuania, Thursday, June 16, 2016. (AP Photo/Mindaugas Kulbis) - Sputnik 日本
米空軍のB-52爆撃機が軍事演習「アイアンウルフ2016」中にパブラデの訓練区域上空を飛行する

また、米国側が申告した2022年9月1日時点のデータ(配備済み運搬手段659基、条約上算定される核弾頭1420発、配備・非配備のICBM・SLBM発射装置および重爆撃機800基)についても、ロシア側は実態を反映していないものと主張した。

新STARTに対する中国の立場
• 中国は、自国の核戦力規模が著しく小さいことを理由に、新STARTへの参加を拒否してきた。

• 中国側は、ロシアと米国の核戦力が中国と同水準、すなわち現在の約20分の1にまで削減された後であれば、参加を検討する用意があるとしている。
The upper stage of the newly upgraded DF-5B Chinese intercontinental ballistic missile, as seen after the military parade held in Beijing on September 3, 2015 - Sputnik 日本
北京で行われた軍事パレード後に撮影された、新型に改良された中国製大陸間弾道ミサイルDF-5Bの上段部 2015年9月3日
新STARTの延長と危機

新STARTはトランプ政権下での不透明さが続いた後、2021年2月、バイデン政権により変更なしで2026年2月5日まで延長された。だが、ウクライナにおける特別軍事作戦開始後、対話は中断。パンデミックにより一時停止されていた査察活動は、制裁による障害(空域閉鎖、米国がロシア査察官にビザ発給拒否)もあり、再開されていない。

ロシアによる参加停止とその原因

2023年1月31日

米国は、ロシアが自国施設への査察を許可せず、協議を延期したとして条約違反でロシアを非難した。

2023年2月21日

プーチン大統領は、条約へのロシアの参加の一時停止(条約脱退ではない)を発表。この際にプーチン大統領は、米国が新型の核弾道を開発中であることも考慮し、米国が実際の核実験を行う可能性を検討していると強調した。

条約参加一時停止の原因
1

欧米によるウクライナへの武器供給、及びロシアの戦略航空基地への攻撃に対する欧米の支援。

2

米国とNATOは、ロシアに戦略的打撃を与えるという目標を公言。

3

新STARTの議論を再開には、英仏の戦力、すなわちNATOの総合的な攻撃能力を考慮する必要がある(プーチン大統領)。

4

条約に基づく査察の実施を米国が妨害。

ロシアによる新START参加一時停止後の米国の行動
1

2023年6月、米国はロシアとの核兵器に関する情報交換を停止した。

2

2023年6月、米国はロシアに対し、米露の意見が相違する他の国際問題と関連付けない「コンパートメンタリゼーション」方式の対話を提案。ロシアはこの形式を拒否。同年9月、米国は新STARTの協議を「前提条件なし」で行う用意があると表明した。

3

2025年1月、トランプ大統領はロシア、米国、中国の核削減を支持し、中国との会談について言及した。トランプ氏は、中国は交渉に参加する可能性があると見ている。

4

2025年7月、トランプ大統領は米露の核ポテンシャル制限に向けた取り組みを発表した。その1か月後の8月、プーチン大統領も米国との新STARTの交渉再開の可能性を示唆した。

新STARTの現況と将来性
2025年9月、プーチン大統領は、条約の失効後(2026年2月5日に失効)も、米国による相互の条約順守を条件とし、1年間は条約の制限を順守する用意があると表明した。
ロシアは新戦略兵器削減条約の期限が切れる2026年2月5日以降も制限を遵守する用意がある=プーチン大統領
このイニシアチブは米国から肯定的に評価されたが、2026年2月初旬時点で、米国からの公式な回答は得られていない。
制限が一切ないという状況に陥る恐れはあります=ロシアのリャブコフ外務次官

ペスコフ露大統領府報道官: 新STARTの決定の期限は迫っており、「数日後に世界は、それ以前よりもさらに危険が増した状況に陥る恐れがある」。

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