プーチン大統領はどのような兵器を示し、誰を念頭に演説したのか

ロシアのプーチン大統領が連邦議会に対して行った年次教書演説について、世界のメディアが詳細に議論している。プーチン大統領は演説のかなりの部分を、ロシアの最新型兵器の説明に費やした。全体的な印象としては、外国メディアは興奮している。特に、ロシア政府が「無敵の兵器」を保有しているとの宣言について、一部の外国メディアでは、西側諸国に向けられたあからさまな脅威、新たな「冷戦」の布告にほかならないと解釈されている。
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例えば、ノルウェーで発行部数最大の新聞である高級紙「アフテンポステン」は、「プーチン大統領、最後の審判の日の新兵器を発表」と題した記事を載せ、英大衆紙「サン」のスコットランド地方紙「スコティッシュ・サン」は「核のボタンに乗せた指」との見出しで注意を引いた。また、フランスの週刊誌「パリ・マッチ」は社説に「プーチン大統領、新兵器を誇示」との見出しをつけている。米紙「ワシントン・ポスト」は、米トランプ政権によって最近発表された新型核兵器の開発計画を理由に、プーチン大統領の演説を「米政府のための発表」とみなしている。一部のメディアが、ロシア側のレトリックが厳しくなった主な引き金として、まさに米国の新たな核計画を検討しているのは偶然ではない。

プーチン大統領 最新兵器の実験成功を明らかに
この見解を、ロシア側の専門家である、ロシア政府付属財政金融大学のゲヴォルク・ミルザヤン准教授(政治学科)も共有し、「スプートニク」とのインタビューで以下のように語っている。「核による国家安全保障についての米国の新たな戦略指針は、文字通り最近2、3カ月の間に承認されたものだ。その中で米国は、自国の地政学的パートナーについて、まさに米国が必要と考える形で行動するよう、強硬な力による手法で強制する意図を隠していない。プーチン大統領は、我が国に対するそのような種類のいかなる力による圧力も受け入れられないことを明確に示した。それも口先だけではなく、ロシアの最新兵器を見せることによってだ」。

米政府は2月初め、新たな核戦略を承認している。この文書は実際、ロシアで大きな反響を呼んだ。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が、これが理由で「プーチン大統領による脅威が米国にとって、恐らくサプライズにはならなかっただろう」と書いているのは偶然ではない。

プーチン氏、新冷戦の開始を否定
しかしながら、外国の記者のうちで事実上誰も、プーチン大統領の演説の最も重要なメッセージを指摘していない。最新型兵器を発表しながらも、プーチン大統領は以下のように特に強調した。「我々の政策が野心や排他性に基づくことは、将来において決してない。我々は自らの利益を守るが、その際、他国の利益についても尊重する」。今後事態がどのように発展するかは、米国自身の行動にかかっていると、ミルザヤン准教授は指摘する。「第一の可能性は、米国が今後も巨額の資金を、ロシアの兵器体系を撃破する手段の開発に投じ続けるというものだ。あるいは、70年代と80年代に世界に存在していたものを確立するほうが、より将来性があると米政府が理解するかだ。そして、まさにこの戦略的安定のシステムを、事実プーチン大統領は再現するよう提案している。なぜなら、現在存在している露米両国による核の均衡のもとでは、いかなる場合でも人類は平穏に生きることができないからだ。というのも、双方がそれぞれ等しく自らの敵国を破壊することができるからだ。これはつまり、平和を保証できないということだ。一方で、欧州における集団安全保障機構の創設についての具体的合意は--これはプーチン大統領がかなり以前から、リスボンからウラジオストクまでを理想に創設を提案しているものだが--緊張緩和を保障することが現実的に可能だ」。

だが現実には、このことに切迫した必要性を米国が迅速に認識することは恐らくないだろうと、ミルザヤン准教授は予想する。「プーチン大統領はある種の新たな現実を描き出した。この新たな現実に対する反応について、心理学者らはいくつかの段階に区別している。一つ目の段階は、常に怒りと拒否反応を起こし、新たな現実を客観的現実として受け入れることを拒否するというものだ。まさにこの段階を、今我々は外国メディアの中に見ている。しかし、ロシアはこれを、対抗してヒステリーを起こすことなく静かに耐え抜き、アナリストらを冷静にさせる必要がある。そしてその後は確実に、この新たな世界で今後どのように生きるかという、より責任能力のある分析が現れる。とは言うものの、もちろん、米国においてここまで到達するのは速くはないだろうが。なぜなら、現在の米国の政策は、ロシアの脅威とロシアとの新冷戦という神話に文字通りはまり込んでいるからだ」。

ロシアのペスコフ大統領報道官が述べたところによると、ロシアの新たな兵器は、ロシアを攻撃するという目的を抱いていない者に対しては脅威にならないという。

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