ジェトロ石毛理事長「ロシアに必要なのは競争概念」

25日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに参加した日本貿易振興機構(ジェトロ)の石毛博行理事長は、スプートニクのインタビューに応じ、日ロ経済関係は改善傾向にあり、中小企業のロシアに対する関心は確実に高まっていると述べた。
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安倍首相がプーチン大統領に「8項目の協力プラン」を提案してからちょうど2年が過ぎた。この2年間でジェトロに寄せられたロシア進出の相談は、約2100件にものぼった。同期間に寄せられたドイツ進出に関する相談が約1800件だったことを考慮すれば、非常に多くの企業がロシアビジネスに新しく関心を持ったことがわかる。

また、8項目の協力プラン提案後にジェトロが開催したロシア進出に関するセミナーは20回にものぼり、中小企業を中心に1500名以上が参加した。ロシアセミナーでこれほどの希望者が集まるのは、かつてなかったことだ。

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ロシアに進出済みの日系企業にも、明るい兆しが見えている。ジェトロの最新調査によれば、ロシアで活動する日系企業のうち、3分の2が黒字経営となっており、この結果は過去最高だ。調査では、全体の約6割の企業が、今後もロシアビジネスを拡大していく意向を示している。

石毛氏「これだけ日本の中小企業が積極的にロシアに関心を持つのは初めてのことで、喜ばしいのですが、まだまだ、ロシアについてはよく知られていません。より多くの日系企業が進出するためには、もっとロシアを知り、ロシアを訪れ、ロシアのビジネスマンと会うという3つの要素が不可欠です。日本の中小企業は約380万社あり、優れた技術をもっている会社はたくさんありますが、海外でビジネスをすることにためらいがある。こういった心理的障壁を取り除くのも私たちの役割です。ジェトロはそのための機会を提供します。」

しかし、問題点もある。現在、世界の貿易環境は大きく変化しており、米中間の貿易摩擦、米国の貿易制限など、マクロの経済環境に悪影響を及ぼす要因が存在している。世界経済全体が停滞すると、企業もリスクを避け、ひいては対露貿易にもマイナスに作用するのではないかと懸念されている。

更に、ロシアに特有の課題もある。石毛氏は、ロシアビジネスの問題点を解決するには、ロシアの企業や地方政府が競争概念をもつことが不可欠だと指摘する。

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石毛氏「税関手続きや許認可手続きの遅さ、複雑さや不透明感がロシアビジネスの障害になっています。責任の所在が明確でない、法律上のルールと実際の運用がイコールでないといった問題点の改善を徹底して進めなくてはいけません。世界銀行のビジネス環境ランキングでロシアの順位はずいぶん上がりましたが、日系企業からは『まだまだ改善点が多く、改善スピードも遅い』との声が出ています。地方政府ごとのビジネス環境ランキングも公表されており、こういう取り組みは非常に有効だと思います。改善は、競争の中で行われていくものです。ロシアは競争という概念をもっとしっかり強調して、それをビジネスの基本にするべきです。企業間、地方間で競争することで、ビジネスに適した環境が作られていくのだと思います。」

ジェトロは、日系企業のパートナー探しの一環として、ロシアを含む様々な国を対象にビジネスマッチングを行っている。しかしロシア側はビジネスマッチングに取り組み始めてまだ日が浅く、どのような企業が何を得意とし、どういうパートナーを探しているのかといった情報収集・提供が十分ではない。石毛氏は、マッチングをより促進するために、数字だけにとどまらない具体的な情報を収集・提供する体制を整えてくれるようロシア側に呼びかけた。

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