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北朝鮮の核実験停止 平和への一歩か術策か

北朝鮮が核・ミサイル実験を停止し、5月24日には海外からの記者団を招待して同国北東部豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の爆破を公開した。だがこれは金正恩朝鮮労働党委員長の誠意を示すものではなく、迫る米朝首脳会談でトランプ米大統領から譲歩を引き出すための術策である可能性が高い。香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙が、国際研究チームが比較的最近手に入れたデータを基に報じた。
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科学誌「Science」に掲載された論文では、豊渓里の核実験場での核実験により、万塔山が事実上崩落したとしている。万塔山地下には24日に爆破された坑道がある。以前は北朝鮮の核爆発を、国外からの地震波計測により分析していたが、今回は3次元画像が用いられた。画像には山の変位と大規模な地盤沈下が写っていた。

北朝鮮、核実験場を廃棄
「この発見から、豊渓里の実験場の大部分はすでに使用できなくなっており、今後の実験には多くの資金投入と別の場所での新たな実験場建設が必要となる可能性がある」と論文の共著者であるシンガポールのシルバン・バルボー氏は指摘する。

新たなデータは正恩氏の平和的提案を違った目で見ることを余儀なくすると、ウォールストリートジャーナルは伝える。同紙は、豊渓里の実験場が使用不可能になったとの見方を示した。

しかし独立した専門家のドミトリー・ヴェルホトゥロフ氏は、実験場はまだ使える状態にあると見る。

「一見すると、北朝鮮の核実験場は長期間もしくは永久に使用不可能になったとさえ思われる。しかし現場で撮影された写真を分析すると、実験場のインフラは、核実験が再開できないほど大きい損傷をしていないと考えられる。豊渓里の実験場は、万塔山の奥深くに掘られた4つの坑道からなる。うち北側と東側の2つの坑道では、核実験が行われていた。西側と南側の坑道では核実験は一度も起きていない。北側坑道の写真からは、爆破のルールに則って、爆薬がお互いから2〜3メートルの距離で設置されるよう壁に5つの隙間が作られていることがわかる。また天井に設置された爆薬も見える。つまり、北側坑道の入り口は完全に廃棄されたとかなり自信を持って言うことができる。一方で西側坑道では、爆発準備が行われたのは入り口から10メートルほどの、坑道の端だけだった。爆発により入り口の木製構造は破壊され、脆い土の落盤が起きた。しかし山中奥深くにある坑道の残りの全区間は損傷せずに残っている。北朝鮮の軍事建設部門はわずか数日で西側坑道の入り口にある土砂を撤去できる。未完成の西側坑道と南側坑道は、見た目上の効果を引き起こす一方ですぐに復旧できる可能性を残すよう爆破されたと見ることができる。坑道の建設には多くの時間とマンパワーが費やされ、これらの坑道では核爆発がまだ行われていない。」

豊渓里核実験場、完全に廃棄=朝鮮中央通信 【動画】
NHKも米研究チームの分析を基に北朝鮮の動きを疑問視。米ジョンズ・ホプキンス大学が運営する分析サイト「38ノース」は衛星写真を分析し、北朝鮮・寧辺にあるプルトニウム抽出に使われる核燃料再処理施設から煙が上がっていると発表。これまでの例ではこれは使用済み核燃料の再処理の兆候だと指摘した。しかし同時に38ノースは、今まで確認されていた専用車両が施設付近に見当たらないため、準備が行われているか不明だとしている。

米朝首脳会談では北朝鮮の完全な核兵器放棄に向けた条件が話し合われると見られる。トランプ氏は核実験停止に関する北朝鮮からの発表を歓迎する一方で、会談の成功はまだわからないと強調した。

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