女子フィギュアスケートは、成熟していない少女たちのスポーツであり続けるのか?

最近頻繁に語られていたフィギュアスケートの革命は起こらなかった。国際スケート連盟(ISU)の総会は、女子フィギュアスケートの年齢制限引き上げに関する問題を議題から外した。これは規則は変わらず、15歳に達した女子フィギュアスケート選手はシニアの大会に出場することができることを意味する。このまだ起こっていない改革に対する賛否両論、そして政治的な含みについて通信社スプートニクがお伝えする。
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年齢制限の引き上げに関するオランダ連盟の提案は、議案となるために必要とされる80%の賛成に届かなかった。したがって次のシーズンも氷上では成熟した選手と若い選手たちが一緒に演技することになる。
改革の支持者らは、シニアの大会やオリンピックへは成熟した選手が出場するべきだと主張している。体が完全に成熟する前の若い選手たちは、より複雑な要素を行うことができる。だがそれによって成熟した選手たちは若い選手たちと競い合うことができない。現在フィギュアスケートは、ウィンタースポーツの中で年齢制限が最も低い。

ロシア女子フィギュア現象
なお改革反対派は、年齢制限がフィギュアスケートの発展を止め、特に女子フィギュアスケートへの観客の関心を低くすると主張している。反対派は、女子の試合が複雑な技術要素は最低限しか含まれていない美しい振り付けのアイスショーになってしまうと考えている。シニアの女子の大会に代わって、ジュニアの大会が観客の一番人気となり、ジュニアでは17歳以下の少女たちが高難度の要素を取り入れた演技で光り輝き、世界記録を打ち立てることになると考えられている。

なおロシアのスポーツ界には、女子フィギュアスケートの年齢制限の問題に関するコンセンサスはない。それはよく理解できる。なぜなら近年ロシアの若い女子選手が表彰台に上がることが益々増えており、エフゲニア・メドベージェワやアリーナ・ザギトワのコーチ、エテリ・トゥトベリーゼの若い教え子たちと競い合える選手は少ないからだ。13歳のアレクサンドラ・トゥルソワが2018年世界ジュニアフィギュアスケート選手権で叩き出したスコアは、カナダのケイトリン・オズモンドが2018年のシニアの世界選手権で優勝した時の点数より高かった。

エテリ・トゥトベリーゼとアリーナ・ザギトワ

ここに政治的な含みを見る人もいれば、女子フィギュアスケートが子供の集まりとなるのは間違っていると考える人もいる。著名なロシア人コーチのニーナ・モーゼル氏は「もちろんこれは政治です。米国でもかつて今ロシアで起こっているようなフィギュアスケートの若い女子選手たちの盛り上がりがありました。でもその時は誰も不満を抱かず、このテーマは提起されませんでした。しかし今ロシアの少女たちが先頭に立つと、すぐに邪魔を始めました」と語っている。

なお同じく著名なコーチのアレクサンドル・ズーリン氏は、年齢制限の引き上げについて「これは、まだ成熟していない少女たちではなく、女性たちの戦いとなるだろう」との確信を示している。同氏は「このようなルールが採用された場合、コーチは女子選手をより適切に育成し、ケガをすることなく彼らを試合に出場させることができるようになります。なぜなら4回転ジャンプに挑戦することでケガをする可能性が非常に高まるからです。大人は14~15歳の子供たちとどうやって競い合ったらいいのでしょうか?さらに、若いフィギュアスケート選手たちは15歳までに勝ってすべてを手に入れようとします。でもその後はどうするのでしょうか?彼らは非常に高い技術で滑りますが、まだつくり上がっていない少女たちなんです」と述べている。

羽生選手は五輪で何度も世界記録を更新できる=プルシェンコ
年齢制限の引き上げは、エフゲニー・プルシェンコ選手も支持した。なおプルシェンコ氏自身も15歳の時に世界選手権に初出場している。プルシェンコ氏は「私だったらシニアへ移行できる年齢として18歳を支持します。大勢の若いフィギュアスケート選手たちは、この年齢の自分のチャンスに執着するのではなく、もう少し長く滑ることを考えるようになるでしょう」と語っている。

フィギュアスケートの革命について語られるのは今回が初めてではない。遅かれ早かれこの革命が起こる可能性は高い。だが、それが良いか悪いかを判断するのはまだ難しい。

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